|
事故削減目標の達成に向けて当面講ずべき施策は、別表のとおりである。その中でも特に、次の施策について、今後重点的に取り組むべきである。 |
|
(1)安全体質の確立
|
言うまでもなく、安全の確保は自動車運送事業における最大の課題である。事故防止のためには、各事業者における日々の自主的な努力の積重ねが最も重要であるが、中小規模事業者の中には未だ安全に対する意識が不十分な者も見られ、業界全体として安全に対する取組を進めることが必要である。
中小規模事業者を含む全ての事業者において安全体質が確立されるよう、各事業者、事業者団体等による一層の自主的な努力に加え、行政としても必要な支援を行うべきである。 |
|
重点施策
| @ |
安全マネジメントの評価の対象を中小規模事業者にも拡大。 |
| A |
講習会の開催等事業者団体による安全マネジメントの浸透のための支援の拡充。 |
| B |
メールマガジンの発信等による業界全体での事故情報の共有。 |
| C |
映像記録型ドライブレコーダー、デジタル式運行記録計等の活用による運行管理の高度化。 |
| D |
労働・社会保険関係法令違反に対する行政処分の強化、労働・社会保険関係行政機関との連携、運行記録計の義務付けの拡大等による、運転者の労働環境の改善。 |
|
等 |
|
(2)コンプライアンスの徹底
|
近年、コンプライアンスは、企業活動の生殺与奪を握る要素としてその重要性が認知されつつあるが、自動車運送事業における事故惹起や法令違反は、事業継続の観点のみならず、人命の損失等国民の安全・安心に直接支障を及ぼすことになりかねないことから、自動車運送事業者に対しては特に高いコンプライアンスの徹底が求められる。
加えて、自動車運送事業者がコンプライアンスを徹底するためには、荷主や旅行業者等、発注者サイドの理解や協力のもと、公正な事業環境の醸成に努めることが重要である。
行政においても、事故につながりかねない法令違反を犯す悪質事業者等に対しては、質・量ともに一層の監査機能の強化に努め、国民の目線に立って毅然として対応すべきである。 |
|
重点施策
| @ |
監査要員のさらなる増員。 |
| A |
労働・社会保険関係法令を含む法令違反に対する行政処分の強化。 |
| B |
被監査事業者の車両移動等による処分逃れを防止するため、事業譲渡先への処分を可能とする等の処分基準の改正、刑事告発の活用等。 |
| C |
重大事故の発生等に関与した発注者の名称等の公表。 |
| D |
点検整備未実施に係る行政処分の強化等による整備管理の徹底。 |
| E |
スピードリミッターの不正改造に係る改造施工者、運送事業者に対する監査の実施。 |
|
等 |
|
|
|
(3)飲酒運転の根絶
|
乗客の生命、顧客の財産を預かる運送事業者にとって、飲酒運転は言語道断の恥ずべき行為である。
飲酒運転ゼロを実現するためには、運転者1人1人が運送のプロとしての自覚と誇りをもち、厳しい目で自らを律する必要があることは言うまでもないが、加えて、各事業者においても、「飲酒運転ゼロ」の方針のもと、運行管理者を中心に飲酒運転につながる意識や行動の芽を確実に摘み取る体制を構築することが求められる。
行政においても、飲酒運転の防止及び監督の観点から、ソフト面・ハード面の双方で現時点で考えられる最大限の措置を講じ、これまで以上に厳格な姿勢で臨むべきである。 |
|
重点施策
| @ |
点呼時におけるアルコールチェッカーの使用の義務付け。 |
| A |
飲酒運転に対する行政処分の強化。 |
| B |
アルコール・インターロック装置の普及。 |
|
等 |
|
|
|
(4)IT・新技術の活用
|
自動車に係る新技術は、概して、実用化までに長期間を要するものの、一旦普及が進んだ後には極めて大きな事故削減効果を発揮することから、現在開発が進んでいる新技術については、行政による強力なリーダーシッ
プのもと、今後10年間のできる限り早期に本格的な普及を実現すべきである。
車両安全については、これまで重視されてきた衝突安全技術(=事故による被害を軽減するための技術)から、予防安全技術(=事故を未然に防ぐための技術)に軸足を移し、事故発生そのものの防止に資する車両の開発・普及を強力に推進する。
映像記録型ドライブレコーダー、デジタル式運行記録計等の運行管理に係るIT機器については、安全や事故防止の観点にとどまらず、業務の効率化、燃費向上、事故処理費用の削減等を通じて経済的なメリットをももたらすものとの認識を業界全体で深め、飛躍的な普及につながる方策を早急に検討すべきである。 |
|
重点施策
| @ |
実用化されたASV技術の普及促進、新たなASV技術の開発。 |
| A |
衝突被害軽減ブレーキの普及促進とそのための装着義務化の検討。 |
| B |
映像記録型ドライブレコーダー、デジタル式運行記録計等の一層の普及促進。 |
|
等 |
|
|
|
(5)道路交通環境の改善
|
事業用自動車に係る事故削減目標を達成するためには、自動車運送事業自体の安全性の向上のほか、事業用自動車をとりまく道路交通環境の改善も重要な要素である。
幹線道路では、交通事故が特定の区間に集中して発生していることから、事故の発生割合の高い区間において重点的な対策が必要である。
また、交通事故死者数に占める歩行中の死者数の割合が欧米に比べて高いこと等にかんがみれば、歩道等の整備や生活道路への通過交通の抑制等、安全・安心な歩行空間の確保が重要である。
関係行政機関間において引き続き連携を図るとともに、事業者団体等においても、各地域における交通安全のための取組に主体的に参加するなど、よりよい道路交通環境の実現に貢献することが求められる。 |
|
重点施策
| @ |
事故の発生割合が高い区間における交差点改良や歩道の整備、中央帯の設置、信号器改良等。 |
| A |
通学路における歩道の整備やカラー舗装、防護柵の設置等。 |
| B |
生活道路への通過交通が多く、事故の発生割合が高い地区において、生活道路への通過交通を抑制するためのクランクやハンプ等の整備による、歩行者等の安心・安全の確保。 |
| C |
防護柵や道路反射鏡等の交通安全施設の適切な維持・管理を実施。 |
|
等 |
|
|