シネマ1987online更新情報

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★ここには書いていませんが、日記(映画とネットのDIARY)毎日ときどき更新しています。映画パンフコレクションも随時、画像を追加してます。

表紙に「おくりびと」(2008-09-15T20:11:51+09:00)
遺体を棺に納める納棺師を主人公にした滝田洋二郎監督作品。本木雅弘が遺体の身繕いをし、化粧をする仕草だけでも死者への敬意が感じられて感動的です。モントリオール映画祭でグランプリを受賞しましたが、その名に恥じない傑作だと思います。脚本はこれが映画は初めての小山薫堂。オーソドックスな作りを山崎努や余貴美子、吉行和子、笹野高史らの出演者がしっかりとした演技で盛り立てています。滝田監督は昨年の「バッテリー」に続いて絶好調ですね。チェロを中心にした久石譲の音楽も素晴らしいです。

横山秀夫の原作を原田眞人監督が映画化。日光ジャンボ機墜落事件を報道する群馬県の地方紙の人間模様を熱く描いた傑作。原田眞人監督最良の作品だと思います。「金融腐蝕列島 [呪縛]」に連なる映画で、社内の権力闘争がめっぽう面白く描かれています。主人公はさまざまな障害に遭いながらも紙面製作に邁進します。どこの会社や組織でもありうることと思えるのは原作を読んだ時にも感じましたが、映画もそういう作りになっていますね。堤真一、堺雅人、遠藤憲一ら登場人物が端役に至るまで素晴らしいです。今年のベストテン入りは確実。

明らかに「ターミネーター」や「ドラえもん」の設定を借りたラブストーリー。至る所に引用的な描写があり、説明しすぎる終盤のくどさも何とかしてほしかったところですが、「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨン監督は破綻なくまとめていると思います。強みは描写に大衆性があることでしょう。主人公が故郷に行くシーンはまるで昭和30年代の田舎を描いているようで、主人公の年齢とまるで合いませんが、吉行和子が良い味を出しているこのシーン自体に文句を付ける筋合いはありません。いろんな部分に陳腐さを感じるにもかかわらず、「悪くないや」と思えるのは綾瀬はるかと小出恵介の良さを引き出しているから。それも監督の手腕だと思います。

1人の男の生涯に焦点を当てたこの映画の場合、主人公の振る舞いの基盤や規範を描かなければ、説得力が薄い。悲惨であったり、ショッキングであったりするさまざまなエピソードにいちいち納得しながらも、奥行きを感じないのはそのためだろう。デイ=ルイスの熱演と描写の強さによって騙されるけれども、アンダーソンが描いたのは1人の男の生涯のアンサンブルに終わっていて、その男の根底にある情念に迫っていかないのが見ていてもどかしい。なぜこの男はこんな振る舞いをするのかという疑問がつきまとう。画竜点睛を欠く力作だ。

映画としてはあさま山荘の部分をもっとコンパクトにした方が良かったかもしれない。若松孝二監督が所有する別荘を破壊しながら撮ったそうだが、予算に限りがあったようで山荘内部の描写に終始する。時折、インサートされる浅間山の遠景だけではなく、当時のニュース映像を使うと、効果的だったのではないか。ここが予想以上に長いので山岳ベース事件の陰惨な衝撃がやや薄れる結果になっている。もっとも、この部分、警察視点に終始して山荘内部をまったく描かなかった「突入せよ! あさま山荘事件」へのアンチテーゼでもあるのだろう。ヤワな題材が多い日本映画に活を入れる力作であり、「これを描かずに死ねるか」という若松孝二の気迫がみなぎる3時間10分だ。

映画評に「ノーカントリー」(2008-05-20T19:50:07+09:00)
映画で印象に残るのは、ほれぼれするような映像のスタイリッシュさと描写の力強さ、ハビエル・バルデム演じる殺し屋の不条理で強烈なキャラクターの方である。この映画の在り方はジョエル&イーサン・コーエン兄弟のデビュー作「ブラッド・シンプル」にまっすぐにつながっており、結論をどう強引に決めようが、その魅力はいささかも揺るぐことはない。物語よりも映像で語るのはコーエン兄弟映画の常だが、今回はそれが非常にうまくいった。

表紙に「ミスト」(2008-05-12T22:13:40+09:00)
スティーブン・キングの原作をフランク・ダラボン監督が映画化。霧に包まれた町でスーパーマーケットに閉じ込められた人々の苦悩と恐怖とパニックを描きます。 霧の中から現れる怪物の造型がどれも良くできていますね。ダラボンがキング原作を映画化するのは「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続いて3度目。前2作がいずれも人間ドラマに重点を置いていたように今回もドラマに見応えがあり、B級ホラーとは異なったテイスト。やや長いのを除けば、作品の出来に文句を付けるところはありませんが、個人的にはストレートなホラーの方が好みです。皮肉と悲劇と希望が混在したラストは評価が分かれるかもしれません。

表紙に「うた魂♪」(2008-04-13T20:17:25+09:00)
序盤のオーバー演技の漫画チックな描写にがっくりし、これはダメかなと思ったら、中盤から良くなり、終わってみたら、まあ満足できる出来栄え。前半がダメダメなのは意図的だったんじゃないかと思えるほど後半が良かったです。クライマックスでじっくり合唱を聞かせるのがいいし、夏帆もだんだん本来の魅力を見せますね。好きな男子にふられた(と思った)悲しい顔が歩いているうちに明るさを取り戻す短いシーンとか、ガレッジセールのゴリに啖呵を切るシーンとかうまいです。脚本の栗原裕光はこれが初の劇場用映画。監督の田中誠もメジャーな作品は初めて。だから完璧な出来には遠いし、もう少し洗練された演出がほしいところですが、少女の人間的な成長を描くというオースドックスな構成は外していません。

表紙に「母べえ」(2008-01-27T18:53:12+09:00)
野上照代の原作を山田洋次監督が映画化。戦前の東京を舞台に、治安維持法違反で逮捕された父親不在の家を守る母親と周辺の人たちを描きます。山田洋次の物語を語る技術は細部まで素晴らしく、泣かせどころが満載。同時にしっかりとした反戦のメッセージを伝える映画になっています。山田洋次が今、この映画を作る意味は今の世情が戦前同様になっているからにほかならないでしょう。理不尽な社会への抗議をこめた映画化で、現状に警鐘をならすものになっています。庶民が苦しみ、犠牲になる戦争を絶対に許してはいけないという姿勢が鮮明な作品だと思います。

日本映画1位は「それでもボクはやってない」、外国映画1位は「善き人のためのソナタ」に決まりました。

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