Semiramide
Melodramma tragico in due atti


役名 声域 役柄
セミラーミデ
(S)
バビロニアの女王
アルサーチェ
(Ms)(T)
アッシリア軍の士官(実はセミラミーデの実子)スキチア人
アッスール
(Br)
バールの子孫の王子
イドレーノ
(T)
インドの王子
アゼーマ
(S)
王女
オローエ
(B)
マージ僧の大祭司長
ミトラーネ
(T)
衛兵隊長
ニーノの亡霊
(B)

Synopsis あらすじ
【第一幕】

第一場:バールの神殿
祭司長のオローエが神に祈りを捧げている。オローエが祈りを終え我に返り、神に向かってその言葉を理解した事を答える。オローエは神殿の扉を開き民衆の入殿を許し、祭司たちに祭壇に入るように命じる。民衆は神を讃えて讃歌を歌う。
インドの王子イドレーノが貢物を神に捧げ、王女アゼーマとの愛の成就を祈る。アッスールが現れて女王のセミラーミデが新王を近々、指名することを告げる。その様子がまるで自分が選ばれるような口ぶりであるのに気付いたオローエやイドレーノはアッスールの不遜な態度を責める。
セミラーミデがアゼーマたちを従えて登場し、民衆は歓呼で迎える。セミラーミデは祭壇に貢物を捧げる。アッスールはセミラーミデに今日にも新王を指名するようにと迫る。セミラーミデは躊躇するが決意をして「ニーノの・・・」と言いかけるが、その時激しい閃光とともに祭壇の聖火が突然消える。それを見た民衆は恐れを抱き皆立ち去ってしまい神殿には誰もいなくなってしまう。
セミラーミデによって内々の帰還命令に従ったアルサーチェが最前線から戻ってきて神殿に現れる。彼は壮麗な神殿の前でこころにざわめきを覚え『やっとバビロニアに着いた』を歌う。さらに彼は以前に蛮族から命を救ったアゼーマ姫への愛を歌う。そこに祭司長のオローエが現れいきなり彼を抱きしめる。オローエはアルサーチェが持ってきた箱の中に在った古い遺品と剣を示して、これこそは前王ニーノ持ち物であると言って、前王を殺害したアッスールにこの剣で復讐をしなければならないと言って立ち去る。
アルサーチェ帰還の知らせを聞いたアッスールが駆けつけ、前線を離れて何故帰還したかを問い詰める。アルサーチェはセミラーミデの命令によって帰還したことと、アゼーマへの再会が出来ると思ってこの王宮を訪れたことを答える。それを聞いたアッスールは、アルサーチェのごとき一介のスキチア人の兵士とアゼーマ姫では身分が違いすぎるといってあざ笑う。アッスールはアゼーマ姫が今は行方不明の王子ニーニャの許婚であったことから、彼女の夫となればそれは国王の位を意味する事を知っておりその座を狙っていた。アッスールが自分もアゼーマを愛していると言うので、それを聞いたアルサーチェは、お前のような男がもし王になっても自分は決して従わないと言う。

第二場:バビロニアの空中庭園
中庭でセミラーミデがアルサーチェを待っている。アルサーチェの到着が知らせられセミラーミデは『美しくも魅惑的な光りが』を歌って喜びを表わす。その時、近衛隊長がマージの神殿からの神託を持って現れる。そこにはアルサーチェの帰還と新しい結婚式によって平和が取り戻されると記されていた。それを読んだセミラーミデは自分がアルサーチェと結婚すれば良いという事と解釈する。アルサーチェが現れ、アッスールにアゼーマ姫を与え玉座に着けるようなことのないように女王に願い出る。セミラーミデは決してそのようなことは無いと言うので、アルサーチェは喜び、女王への忠誠を誓う。それを聞いたセミラーミデはそれが自分への求愛と勘違いして、彼に向かって望むものは何でも与えようと、暗に自分との結婚を仄めかす。一方のアルサーチェは女王のこの言葉にアゼーマを与えてくれるものと思い込む。互いに勘違いをしたまま喜びの2重唱『その忠誠を永遠に』を歌う。

第三場:玉座の大広間
セミラーミデは皆を集め、自分の決定に従う事を誓わせる。そして、新王は女王である自分の夫となる事、そしてその夫とはアルサーチェであると宣言する。さらに、娘のアゼーマはインドの王子イドレーノの結婚することになったと告げる。セミラーミデとともに前王の暗殺に加担したアッスールはこの決定に怒るが、セミラーミデは彼を無視して、すぐにでも結婚式を執り行うように祭司長に命じる。その時、突然雷が鳴りひびき地鳴りとともに祭壇の奥の扉が開き奥のニーノの棺が動き出す。前王ニーノの亡霊が現れ、人々が恐怖の余り地にひれ伏すが、セミラーミデは気丈に亡霊に向かって、「私を罰するために現れたのか?それとも許すために現れたのか?」と問う。亡霊はアルサーチェに向かって、彼が新王になることは許すが、それには自分を殺害した者を自分の墓の前で殺さなければならないと告げる。アルサーチェはその犯人を問うが、亡霊はオローエに訊けといって消えていく。

【第二幕】

第1場:王宮の広間
アッスールとセミラーミデが『もし命が大切なら(2重唱)』で激しく言い争いをしている。新王の座を期待して、前王に毒を飲ませたアッスールは、報いの無いことに腹を立てるが、セミラーミデはもともとはアッスールが前王が自分を女王の座から引き降ろそうとしていると吹き込んだお前に罪があると言って口論は激しさを増す。その時外からアルサーチェが王になることを讃える音楽が聴こえてくるのでセミラーミデは喜び、アッスールは自分が倒される前に復讐はされるだろうと叫ぶ。

第2場:寺院の内部
オローエはアルサーチェに、貴方はニーノとセミラーミデの息子ニーニャであると告げ証拠として1巻のパピルス紙を手渡す。そこにはニーノが自分が殺害されることと、ニーニャの身を案じる言葉とともに、その犯人がアッスールとセミラーミデであることが記されていた。それを読んだアルサーチェは嘆き悲しむが、祭司たちが復讐をすすめるのを聞いて、アッスールには復讐できても、実の母に手を下すことは出来ないと『この惨い禍の一瞬』で悩む。

第3場:セミラーミデの部屋
アルサーチェがよそよそしい様子を示すのでセミラーミデは落ち着かない。彼女がアルサーチェに甘い言葉をかけるので、アルサーチェはたまらず真実を話しそうになるが、どうしてもそれは出来ない。やむを得ずニーノの手紙を見せる。それを見たセミラーミデは驚く『そうであったか・・・それでは私を殺しなさい(2重唱)』。しかし、アルサーチェは実の母を殺すことは出来ないといって涙ぐむ。それを聞いたセミラーミデは感激して、運命をのろいながらも息子のアルサーチェと再会の喜びに抱き合う。アルサーチェは母に別れを告げ、復讐の為に、父の墓所に向かう。セミラーミデは彼の勝利と帰還を励まし、二人は退場する。
イドレーノとアゼーマが現れる。イドレーノは未だにアルサーチェに思いを寄せるアゼーマに向かって、なんとか自分を愛して欲しいと懇願する。

第4場:ニーノの墓所の近く
アッスールが自分の仲間の太守たちと現れる。太守たちは思惑が違ってきたことでアッスールを責めるが、彼は必ずアルサーチェを倒し、王位を手に入れてみせる宣言する。更に激しい言葉をつのるうちに彼は妄想に捕り憑かれ狂乱して『日はもう落ちた(狂乱の場)』を歌う。正気に戻ったアッスールはアルサーチェを返り討ちにしてやるといってニーノの墓に向かう。

第5場:ニーノの墓所の前
真っ暗闇の中、アルサーチェがオローエに伴われて現れる。オローエがアルサーチェに向かってさぁ復讐をしなさいと命じるので、彼は暗闇の中敵を捜す。一方のアッスールも現れて、アルサーチェを捜す。なかなか相手を見つけられないまま、アッスールは姿を消す。セミラーミデが現れて、ニーノの墓に向かってアルサーチェの無事を祈る。その声に気付くアルサーチェだが引き続きアッスールを捜す。アッスールも再び登場してお互いの気配を感じる。突然オローエが討て!と叫ぶのでアルサーチェは剣を振り下ろす。しかし、その切っ先にはセミラーミデがいた。
その時、衛兵たちが現れ、アッスールを逮捕する。茫然とするアルサーチェの回りに祭司たちが集まり、彼が新王として認められてことを告げ、国王万歳とともに幕となる。(*)

(*)この最後の場面は、母親殺しになるために、それを避けて剣はアッスールの当たるように変更されたこともある。