Bedrich Smetana
(1824-1884)
Mein Vaterland

Uraufführung Prag, 5, November, 1882

連作交響詩 《わが祖国》
作   曲 ベドルッチ・スメタナ
作曲時期 1874年〜1879年
各曲の作曲時期詳細は後述。
初   演 全曲初演:1882年11月5日 プラハ
演奏時間 約76分
Explanation
チェコの国民主義的音楽をオペラで促進させたスメタナは、管弦楽曲でもその傾向を強めるが、その代表作がこの連作交響詩《わが祖国》である。
スメタナは1872年にオペラ《リブシェ》を作曲した。リブシェはチェコ建国の女君と呼ばれ、このオペラでもチェコの栄光の未来を予言する。
この思想をもとに作曲されることになった《わが祖国》は、《リブシェ》完成後直ぐに構想が着手された。
第1曲《ヴァシェフラド》は1874年11月18日に完成され、第6曲の《ブラニーク》が完成されたのは1879年のことであった。
1874年10月ごろからスメタナは全く耳が聞こえなくなっており、この障害を織り込んだ作品弦楽四重奏曲《わが生涯》を1876年には書いている。
全6曲の初演は、1882年11月5日プラハにおいて行われた。
《わが祖国》はスメタナの命日に開催される『プラハの春』の音楽祭初日の5月12日に毎年チェコ・フィルによって演奏されている。

第1曲《ヴィシェフラド》
1874年11月18日完成。
《ヴィシェフラド》のヴィシェフラドとはプラハ南のモルダウ(ヴルタヴァ)河の東岸にある城のことで。ここは嘗てのチェコの王たちの居城であったと言われている。
伝説的な吟遊詩人ルミールが竪琴を用いて祝典の歌を歌ったと言わるが、烈しい戦闘によってこの城は廃墟と化してしまったとも語られている。
第2曲《ヴルタヴァ》(モルダウ)
1874年12月8日完成。
《モルダウ》は、全曲中最も有名であるが、これはプラハ市を流れる河の名前である。
「この河は、二つの水源から発し、岩にあたっては快い音をたて、陽の光を受けると輝き、しだいにその幅を増してゆく。両岸には狩の角笛と田舎の踊りの音楽が木霊する。-つきの光、妖精の踊り。-やがて流れは聖ヨハネの急流にさいかかり、波はしぶきをあげてとび散る。ここから河はプラハ市に流れ込み、ここで河は古く貴いヴィシェフラドに敬意を表す」という表題を持っている。
第3曲《シャールカ》
1875年2月12日完成。
シャールカとは、アマゾーネと呼ばれる女性軍の一人のこと。ツティーラトとの戦いでシャールカは自分の身体を自ら気に括りつけて、敵軍の同情を誘って敵に入り込み、敵兵を泥酔させて眠り込ませて、夜陰に味方を導きいれて勝利を導いた。スメタナはこういった伝説をシャールカ谷に立って想起してこの曲を作曲したと言われている。
第4曲《ボヘミアの森と草原から》
1875年10月18日完成。
この連作交響詩の中で、この曲は伝説から離れ文学的題材とは異なった、祖国の風景を描いている。
第5曲《ターボル》
1878年12月13日完成。
チェコに現実の歴史と密接に関係した曲で。ターボルとはプラハの南約100キロにある町の名前である。
14世紀から15世紀にかけチェコの思想的指導者であったマン・フスの教理を信奉するフス教徒たちは、カトリック的な主張を持って国民主義的な思想を『真実は勝つ』というスローガンに基づいて行動した。これに対抗する新国王とカトリック教会を相手にフス教徒は所謂フス戦争を起すが、結果的にはフス運動は失敗に帰することになる。
この事はチェコ人に更に国民意識を高める結果を生んだ。
「フス教徒の賛美歌《汝らは神の戦士たれ》がターボルの町で歌われ、キリスト教徒全体がそれに対抗する。そこに信仰の自由と安全を守るための要塞が築かれた。賛美歌は。自分の信念のために戦闘に赴くターボル人たちの勇気を燃え立たせ、自分たちの運動の神聖さについて断乎とした確信を与えた。戦闘の真最中にそれが聞こえてきて、神の真理を否定するよりはむしろ滅亡した方がよいというターボルの人たちの激しい主張で敵方は恐怖に陥ったのだった。」と語られる。
第6曲《ブラニーク》
1879年完成。
ブラニークとはボヘミアの山の名前。伝説ではこの山で国の危機を救うべく騎士たちが眠っていると言われている。


構成
Vyseharad ヴィシェフラド
ルミールを象徴するような、ハープのカデンツァの中では、《ヴィシェフラドの動機》によって始められる。
レントkらラルゴ・マエストーソを経て、アレグロ・ヴィーヴォ・マ・ノン・アジタートになって戦闘が描かれ、やがて速度が落とされて、過去の栄光の追憶が描かれる。
Vltava(Die Moldau) ヴルタヴァ(モルダウ)
2つの水源を暗示するフルートの音によって曲が始められ、間もなくオーボエとヴァイオリンの旋律が美しく河幅の変化を描く。
ホルンによって狩が告げられて、一方で弦はモルダウの流れのざわめきを現れ続いて、楽しげな田舎の踊りが遠くから聞こえて来てやがて近づき、そして遠ざかっていく。
月の光と妖精の踊りと前の主題の様々な変化によって急流の様子も描写される。
流れはプラハ市内に至り、壮大な流れが、木管によって《ヴィシェフラドの動機》とともに描かれていく。
Sárka シャールカ
アレグロ・コン・フォーコ・マ・ノン・アジタートによって女性軍とツティーラト軍の戦闘が描かれる。
テンポを落として、クラリネットによってシャールカの主題が訴えるように奏される。
これにチェロの独奏とファゴットによるツティーラトの主題が応じる。
2つの主題は次第に熱を帯び、金管の壮大な合図によって民族的な舞曲となって、ツティーラト軍での宴会の様子が描かれる。
音が消えそうになったところでホルンの信号が響き、女性軍が来襲しクライマックスとなる。
Z ceských luhu a háju (Aus Böhmens Hain und Flur) ボヘミアの森と草原から
夏の田園の様子や秋の収穫の農民のポルカの舞曲が挿入され、このポルカは曲のクライマックスを形作っている。
Tábor ターボル
「フス教徒の賛美歌《汝らは神の戦士たれ》がターボルの町で歌われ、キリスト教徒全体がそれに対抗する。そこに信仰の自由と安全を守るための要塞が築かれた。賛美歌は。自分の信念のために戦闘に赴くターボル人たちの勇気を燃え立たせ、自分たちの運動の神聖さについて断乎とした確信を与えた。戦闘の真最中にそれが聞こえてきて、神の真理を否定するよりはむしろ滅亡した方がよいというターボルの人たちの激しい主張で敵方は恐怖に陥ったのだった。」
レントによるホルンのリズムで曲は始まり、徐々に力強さを増して《汝らは神の戦士たれ》の一部が管弦で奏される。
この賛美歌から新しい主題が導かれて、曲はモルト・ヴィヴァーチェとなる。途中では賛美歌は切れ切れに聞こえるがクライマックスに至って賛美歌は大きく奏され、そこでは《ヴィシェフラドの動機》がトロンボーンで聞こえてくる。
Blanik ブラニーク
ブラニークの騎士をフス教徒として扱い、山の麓で、ボヘミアを圧政から救おうとして騎士たち召集を待って眠っていた。
そこに賛美歌《汝らは神の戦士たれ》が聞こえて来る。
羊飼いの牧歌的な間奏が入り、羊飼い達が山の斜面に現れ、そこに敵の来襲があって、新しい賛美歌《汝らの側の神とともに、終末において勝利を収めん》が現れる。
フス教徒たちは戦闘に立ち上がり、大勝利を得て、音楽はテンポをラルガメンテ・マエストーソに落とし、力強い《ヴィシェフラドの動機》も姿を見せて、《汝ら神の戦士たれ》と結びつく形でクライマックスとなって全曲を閉じる。

※楽曲名に関して表記可能なものはそのまま表記しましたが、不可能なものは代替しました。

■ディスク リスト (録音されたメディアの一部です。)
録音 指揮者 オーケストラ Disc No. 所有
1941 ヴァーツラフ・ターリヒ チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Documents 223513
1954 ヴァーツラフ・ターリヒ チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Supraphon Talich SU3826
1955 カレル・シェイナ チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 コロムビア COCQ83806
1963 カレル・アンチェル チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Supraphon COCQ-84080
1965 ヴァーツラフ・ノイマン ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Berlin Classics BC 0185652
1967 ヴァーツラフ・ノイマン ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 テルデック WPCS-22053
1975 ヴァーツラフ・ノイマン チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Supraphon COGQ-11
1978 ワルター・ヴェラー イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 ユニバーサル UCCD7026
1981 ズデニェック・コシュラー 東京都交響楽団 フォンテック FOCD-9251
1984 ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 Orfeo C 115 841 A
1986 アンタル・ドラティ ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 Philips UCCP-7084
1986 ジェイムズ・レヴァイン ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 DG UCCG7024
1988 インバル フランクフルト放送響 Ultima Series 3984.28174
1989 グスタフ・クーン バンベルク交響楽団 Sony 82876890042
1990 ラファエル・クーベリック チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Denon COCO-70713
1990 ラファエル・クーベリック チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 コロムビア COBO4325(DVD)
1990 イルジー・ビエロフラーヴェク チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Supraphon SU3891
1991 ラファエル・クーベリック チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Altus ALT098
1996 ロジャー・ノリントン ザ・ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ EMI TOCE-13068
2001 ニコラウス・アーノンクール ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 RCA BVCC-34090
2002 小林研一郎 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 コロムビア COBO4321(DVD)
2004 コリン・デイヴィス ロンドン交響楽団 LSO LIVE LSO0061
2005 小泉和裕 大阪センチュリーSO ライヴノーツ WWCC-7504

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