心に残ったあるお話
以前自己催眠のテープを購入した時に、付いていたコラムです。

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 あなたの身近に、魅力的で、成功した幸福な人間はいないでしょうか。そのような人間には普遍的で共通した特徴があるといわれています。これは人生を、自分が望むような姿にではなく、あるがままの姿で見るという能力である。自分の願望、夢は常に現実に即して、その実現の為、客観的に行動する人間と言えます。

 悩みの本質、あるいは根本原因が自分を隠すことにあるとすれば、そこから遠のく最も有効な手段は、その逆ということになるでしょう。あるがままの自分∞実際の自分≠さらけ出すこと、即ち「自己開示」です。

 他人に対して自分をさらけ出すということは、その前提として、先ず自分に自分をさらけ出さなければなりません。妙な言い回しですが、要するにあるがままの自分≠見つめるということです。

 私の知人A氏の話をしてみましょう。彼は、何も喋らずに座っていれば全くわからないのですが、かなり重い障害を背負っています。歩くときに、彼は大きく引きずりますし、何かを話そうとすれば、口ばかりでなく、顔全体を歪ませなければ言葉が出て来ません。恐らく、彼と同じような障害を持った方の多くは、なるべく外出を控えようとするのではないでしょうか。しかし、彼はそうしません。なぜなら、彼は人と会うのが大好きであり、人と語り合うことに喜びを見出しているからです。

 彼は生まれつき、性格が明るかったのでは決してなかったということです。子供のときは、いじめられっ子で深刻に悩んだ時期があったのです。どんなに悩んでも、どうもがいても、堂々めぐりを繰り返していました。青年期に偶然にも古本屋で手にした催眠法の本がきっかけとなったのです。それからは「催眠」「潜在意識」という関心が高まってむさぼるように本を読んだ。そして実践を重ねるごとに、あるときから、他人の目の重圧から解放されました。欠点も自分なんだ、他人とかけがえのない自分。と気づくようになった。全体の自分で生きることを決意したということである。

 要するに、彼は、他人が自分をどう見るかではなく、自分が何をしたいか、を基準に行動しているだけなのです。それでも、少しも気負ったところがなく、ごく自然にやっています。

 従って、仲間うちの集まりがあれば必ず出席し、何かしらの係りを引き受けます。大勢の人の前で、挨拶もやります。全てが自然に見えるのは、彼自身が極く自然体でいるからでしょう。だから、彼が挨拶に立つと、他のどんな偉い人のときよりも会場は静かになるのです。勿論、彼の自然で、しかも堂々たる態度に敬意を表してのことです。

 そればかりではありません。彼は、カラオケスナックにも好んで繰り出します。そして、率先して楽しく歌いまくります。初めての店であれば、やはり周囲の人は彼に注目します。かなり無遠慮にジロジロ見る輩も当然中にはいます。しかし、彼にはそんなものは関係がないのです。自分は歌が歌いたいから歌う。ただそれだけのことであって、他には何の思惑もないのです。そこが実に爽やかです。

 A氏は結局、自分自身を大切にしていると言えるのではないでしょうか。他人の目や思惑より自分の信条、自分の欲求にしたがって生きている。仲間達に尊敬されるのも、その点が最も大きな理由だろうと、私は考えています。
 
 他人に好かれたい、尊敬されたい、認められたいという欲求は誰にでもあります。しかし、そのために自分を出さない、欠点を隠すといったことをしたとして、果たして結果はどうなるでしょうか。他人に好かれたいばっかりに自分を繕い、そのために過大な緊張を自分に強いることになれば、それが相手にも伝わり、その人をも緊張させてしまいます。第一自分自身の人生を生きないで、他人に好かれたい尊敬されたいというのはやはり無理があり、他人の人生を生きていることになるからです。

 自分の人生を生きていないということは、取りも直さず、自分自身を好いていない、尊敬もしていないということです。自分さえ好きになれない自分を他人が好きになってくれるはずがないのです。

 自己愛≠ニは同時に、自己信頼=自信でもあります。自分に対する愛、信頼があれば、自分の弱さ欠点を(少しずつ)でも他人の前にさらけ出す勇気も生まれます。

 あるがままの自分≠受け容れること、ましてや人前にさらけ出すことは、実に勇気のいることです。自分自身で気になる、たったひとつの欠点によって、自分という人間が全部ダメになってしまうような錯覚に陥ってしまう人が少なくありません。しかし、弱さ、欠点を内に持つ人こそが、自らの悩みの本質≠ノ気づき、自分を愛せるようになり、さらに自分を屈託なく表現できるようになれば、最早恐いものなしと言っていいでしょう。

 隠す必要がないということは、緊張し、片肘張って防御する必要もないということです。それはかつてない解放感をもたらしてくれるはずです。

 

 



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