―夏休み終了間際特別企画―
漫画の更新をすっかりサボっている罪滅ぼしに今回は特別企画をお届けします
コマックの
「びっくり仙台旅行記」
第2部
「押しボタンの怪」
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JR仙石線に乗りました。
仙台から松島を経て石巻に通じている電車です。
普通は外を走ってますが、仙台に近くなると地下を走っています。
上の写真は地下を走る仙石線です。
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私は何の疑問もなく「あおば通駅」(仙台の始発)でこの電車に乗り込みました。
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しかし
この一見何の変哲もない電車にあのような東北人の知恵が隠されていようなどとは
この時まで知る由もありませんでした…
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その時の状況を再現してみましょう。
電車に乗り込みました。
扉が閉まりました。
さあ、次ぎの駅に向かって出発だ!
発車オーラーイ!
電車は走り出します。
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あれ?
走らない。
ドアが閉まったのに一向に走りません。
走らないぞ?
お〜い。
どうしたんだ〜?
故障か〜!?
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左右全部のドアが閉じたまま
電車は沈黙を保ち続けています…
待つこと
30秒
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45秒
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1分
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2分
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3分
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「いつまで待たすんじゃボケェ〜、
走らないやんけ〜っ!!」
関西でしたら、
こんな叫び声があちこちで上がり暴動でも起きかねない状況です。
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さすがに気の長い私も
「いったいどうなってんだ?」
との思いが募るばかりです。
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何のアナウンスもなく、完全に車両に閉じ込められたまま
時が過ぎるのを待つ恐怖…
幸い車両内は冷房が効いていて
暑さで死にそうになるという事態だけは免れていましたが…
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ざわざわ
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ガヤガヤ
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「どうしたんだ?動かないぞーっ!」
叫ぶ出す男性。
「きゃあ!いやあ〜、ここから出して〜」
恐怖におののく若い女性。
「ガラスだ、ガラスをぶち破れぇ〜!!」
我慢出来なくなった若者達がドアを蹴り出す。
ガシャーン、バリバリ、ガチャーン
ガラス扉が破られた。
閉じ込められて怒りに炊け狂った乗客は
電車の外に飛び出して暴徒と化し、
次々に駅員を襲ったのち駅に火を放ち
さらにその火が仙台駅を焼き尽して
やがて仙台一円に燃え広がり
ついには宮城一帯は炎の海と化すのであった…
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と
どこまでも広がる想像に
私の恐怖心は高まるばかりでした。
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しかし、実際に私が目にしたのは
私の想像など到底及ぶべくもないものだったのです。
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私は自分の目を疑いました
そこには
まるで何事も起きていないかのように冷静に
ただ黙然と座り続けている仙台の人達がいたのです。
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それは、
何事にも決して動じない、
伊達政宗以来何百年と続く歴史に培われて来た
東北一の伝統都市仙台市民の誇り高き姿のように思われました。
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東京から400キロ北に行くと人間の行動様式はこんなにまで違うのか?
話には聞いていたが、東北の人はこんなにまで忍耐強かったのか…
恐るべし!東北人の忍耐力!
そして仙台人の誇り高き姿!
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というようなことを考えていた時、
車両の中に
見慣れない奇妙なものが付いているのを発見したのです。
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それは、コレでした
例のごとく、拡大して見ましょう
ボタンを押せばドアが開く?
そうか、これは非常用のボタンだ!
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あ、
そこの
東北地方の貴方
&
東北を旅したことのある貴方…
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ついでに
雪国&雪国を旅したことのある貴方…
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貴方がたはご存じのはずですよね?
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私は知らなかったんですよ…
私のように知らなかった人のために
話を続けさせていただきますね…
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ちょっと巻き戻して…
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ボタンを押せばドアが開く?
そうか、これは非常用のボタンだ!
よしっ、今は非常事態である!
このボタンを押せばドアは開くに違いない!!
これを押せば、この閉塞感から逃れられるのだ。
さあ、押してみるぞ。
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おっとっと。
待て待て。
私にとっては非常事態だが、車両内のこの落ち着きようったらなんだ?
非常事態とは程遠い感もある。
今この非常ボタンを押してもいいのか?
どうしよう?
どうしたらいいのだ?
押すべきか?
押さないべきか?
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私が逡巡していると
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ドアの一つが開いて乗客が入って来ました。
あれ?
ボタン押してないのに。
どーなってんの?
なにこれ?
ドアが1ヶ所だけ開いた
なんじゃこりゃ?
非常ボタンじゃないの?
全部のドアじゃなくて1ヶ所だけ開いたし…
私が不思議に思ってボタンを眺めている時
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見知らぬオッサンに話しかけられました
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オッサンはこのボタンについていろいろと解説してくれたのでした。
以下はこのオッサンの解説です。
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「へぇ〜、非常ボタンと勘違いしてたの、うふふふ。
初めて見る人は何だろ?って思うらしいよね。
ドア開けて待ってるとさぁ、ホラ、夏はいいけど冬は寒いだろ。
乗る時だけ開けりゃ、寒さが中に入って来ないじゃない。
逆に中の暖かさも外に逃げないんだよね。
だからね、待ってる間はドア全部閉めてんの。
まあ、夏もね、冷房の冷気が逃げないし、とってもいいよ。
あ、そうそう、
外から乗る場合は外のボタンを押せばいいんだよ」
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ちなみに外側はこれです
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さらにオッサンの解説は続く
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「へぇ〜、東京から来たの?
僕なんかもさあ、ホラ、東京に20年も住んでたじゃない。
生まれはこっちなんだけど、仕事の都合でね。
東京はかれこれもう10年くらい行ってないなあ。
この電車はね、山の手線のお古を改造して使ってるんだよ。
東京の人にとっちゃ、もういらないもんだろうけどね。
こっち(仙台)じゃ有効利用されてんだよね〜。
こっちは東京と違ってお金ないからねぇ。
お金ないから、いろいろ知恵を絞んなきゃやってけないんだよな。
でも、やっぱりこっちはいいよ〜。
東京は人の住むとこじゃないよね。
通勤だって大変だしね。
まあ、たまに行くにはいいとこなんだけどね〜」
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オッサンの出現によって謎はすっかり解けました。
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みんな辛抱して座ってたんじゃなくて
単に出発するのを待ってただけなんですね…(^_^;)
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「じゃ気ィつけてね。バイバーイ」
私は目的の駅で下車し、
オッサンはしゃべるだけしゃべって行ってしまった。
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「オッサン、いろいろ教えてくれてありがとね」
私は心の中で呟くのでした…
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第2部
「押しボタンの怪」
終
第3部
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