2012
5月21日(月)
快晴に恵まれて素晴らしい金環日食であった。
今日は休暇を取り、妻と松本空港へ観測に出かけた。松本空港は日食の北限線が通っていて、べーリービーズを見るのに最適の場所である。Borg 125ED と 8x50 双眼鏡を眼視用に、Borg 60ED を撮影用にセットした。
日食の全課程を見ることが出来、べーリービーズが美しかった!金環食のとき、急に気温が低下し、上着を羽織らないと居られなくなった。
左から、Borg 60ED,
Borg 125ED , 8x50

07:34:04 JST, May 21, 2012
Borg 60ED, Canon 20Da, Baader Planetarium AstroSolar Safety film
偶然、観測場所で国立天文台の某氏、それにアストロアーツ社長に出会い、楽しい時間を過ごすことができた。
5月20日(日)
明け方、起きてみてもいつも曇りである。今のところ、今月は1回しか掃天していない。しかし、明日の金環日食はきっと晴れると思う。快晴ではないかもしれないが、天気予報によると期待できそうだ。
エドガー・ウイルソン賞のプレートを受け取ったので、「自己紹介」をアップデートした。まだ受賞の発表はないようだ。
5月12日(土)
今月も寒冷で天気が思わしくなく、掃天は1回行ったのみである。過去には太陽活動が不活発で寒冷化した時代があったが(マウンダー極小期:メカニズムは不明)、これから数十年もそのようになるのではないかと思う。
人類が排出する二酸化炭素によって地球温暖化が起きるとの説については、観測による直接的な証拠がない。日本政府はこの説を支持しているが、私は一研究者として支持できない。強く否定もしないが。
先週、南魚沼市の坂戸山634mに登った(37°03’33”N,
138°53’55”E)。このところほぼ毎週登っている。
http://www.kimurass.co.jp/sakatoyama.htm
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4月28日(土)
今月は今朝で5回目の掃天となる。今月はいつも雲が多くて落ち着いて掃天できなかったが、ようやく雲ひとつない快晴となり、満足な掃天ができた。
無難に黄道付近にコメットシーカーを向け、わし座南部、やぎ座、それにみずがめ座を中心に掃天した。視野に入ってきた彗星状天体はM72とM2のみで、少し寂しい。久しぶりに落ち着いて眺める星々は美しく、わし座の天の川は天に蒔かれた砂金のようである。
− 掃天中の想い −
はるか宇
宙の彼方で輝いている星々。このような美しいものには、穢れ(けがれ)がない。しかし、この神聖なる星の輝き(核エネルギー)を自分の手にしようとした者
達は、しかもそれを覇権や利権に利用しようとする者達は、穢れている。いや、そもそもこの輝きは人が手にしてはいけない神聖なる火なのである。穢れている
者達は、多くの人を傷つけてもなお穢れを隠そうとしている。何と愚かしいことか。
地球上のすべての原子の火はもう消さなくてはならない。
−−−−−
4月17日の掃天では、過去に何度も見ていながらその名前を調べてみようともしなかったある星の並びについて、ようやくNGC番号を確認した。NGC7510、ケフェウス座の散開星団である。ザ・ナイトスカイ・オブザーバーズ・ガイド(The Night Sky Observer's Guide) では、「何倍で見ても、まさに驚きである」書かれている。とても印象深い星の並びである。

NGC7510 画像サイズは10’角
The Digitized Sky Survey copyright©1994
4月19日の掃天でも、興味深い天体を捕らえた。いて座の球状星団NGC6717である。5等星、ν2のわずか2’南にあり、46cmでは視直径は1’ほどと目測した。9等とのことであるが、輝星のすぐ近くにあることと、視直径が小さなことが災いして、これまでたぶん捕らえたことはないように思う。倍率を157倍に上げると、散開星団のように星がまばらであるが、天文学的には球状星団である。

NGC6717 画像サイズは10’角
The Digitized Sky Survey copyright©1994
これから数日間は晴れが続きそうだ。
4月7日(土)
先月は明け方に6回起きたが、掃天できたのは2回のみであった。今月に入っても悪天が続き、4月1日に1回掃天したが雲が多くて40分しか出来なかった。今日は雪が降っている。真冬と同じような本降りで、昨日から20cm積もっている!いつになったら春が来るのだろう。
エドガー・ウイルソン賞について
P/2010 V1 池谷・村上彗星はエドガー・ウイルソン賞の受賞対象になるはずであるが、受賞者の発表があるはずの2011年7月が過ぎても何の連絡もなかった。そのため、何かの理由で賞自体がなくなったのだろうと思っていた。
ところが、今年の2月になってからハーバード・スミソニアン天体物理センターの広報担当者、クリスティンヌ・プーリアム
(Christine Pulliam) という人からメールがあり、私の受賞が決まったという。同時に、賞金の振込先を知らせるようにと指示があった。その後、3月末に賞金が振り込まれたが、プレートはまだ届いていない。
しかし、まだIAUCを通じての正式発表はないようだし、振り込まれた賞金の額からすると池谷さんと自分以外にも受賞者がいることになる。確か二人以外の人や組織は受賞とはならないはずだが。。。いったいどうなっているのだろう?
今月になって、またプーリアムさんからメールがあり、池谷さんと連絡が取れていないので、彼のメールアドレスを教えてほしいという。池谷さんがメールを使っておられないことは知っているが、何とかしなくては、と思う。
池谷さんに電話して事情を話すと、スミソニアンから受賞の件で手紙が届いていて、振込先を連絡するように書いてあるところまでは分かったそうである。しか
し、どのように書けばよいのかよく分からないので、英語が堪能な息子さんの帰省を待ってから返事しようと考えている、とのことであった。
確かに書き方がよく分からなくて、自分も手間取った。自分が提出した書類を池谷さんにファックスし、これと同じように記入して相手先に郵送してくださいと伝えた。プーリアムさんにこのことをメールしたところ、池谷さんが振込先を記入して、サインするだけでOKという書式が送られてきた。池谷さんには、それをファックスでスミソニアンに返送してほしい、という。再び池谷さんにファックスと電話をして、国際ファックスの送り方も伝えた。これでようやく池谷さんの元にも賞金とプレートが送られることになる。
それにしても、受賞者の決定が大幅に遅れ、賞の基準も変更となっている(らしい)のはどういう訳だろう。池谷さんもウイルソン賞はもうなくなったと思って
いたそうだ。前回受賞のとき、私はメールで連絡先などのやり取りを行ったが、池谷さんとスミソニアンとのやり取りについてはマースデン博士がご尽力くだ
さったとのこと。
世界的に地殻も大気も不安定となり、そのために政治経済体制やいろいろな組織の運営体制も不安定な時代に突入しているように思う。しかし、星の輝きは不変である。
2002年にC/2002 E2 スナイダー・村上彗星を発見してから今日で丁度10年となる。あの年と同じように今年も2月から今日までに3回しか掃天を行っていない。もちろん怠惰のためではなく、悪天のためである。
これから一週間先まで、またずっと悪天の予報
である。今月はこれまでに午前3時前に3回起きたが、実際に晴れて掃天できたのは1回だけであった。あとの2回のうち、1回は車で観測地へ出発したものの
観測地に着くまでに曇ってしまって引き返し、他の1回は部屋の窓から空を見上げた時点で曇っていて出かけることさえできなかった。これらの3回はいずれも
天気予報では晴れることになっていたのだが、この有様である。

新潟県の週間天気予報 2012年3月12日
気象庁HPより
「新潟県では天気が悪いから彗星を見つけるこ
とは不可能だ」と言っていた人がいた。確かにこんなに天気が悪いと、人をそんな気にさせてしまう。しかし、悪天によるいらだちや欲求不満もある反面、無理
をして掃天することもあまりない。逆に我慢さえすれば、実際に晴天となったときの喜びがより大きなものとなり、星を映し出す心も澄みわたるのである。これ
が掃天を続けられる理由のひとつなのかもしれない。
私は運もよいのだろう。2010年には2個目の発見となったP/2010
V1 池谷・村上彗星を発見し、2006年には公式な発見とは認められなかったものの、 P255 (C/2006 T1) レビー彗星を発見。さらに、幻の発見と終わった 2004年のたて座での彗星発見と、まだ980時間余りの掃天の中で、多くの彗星と巡り会っている。
しかし、この980時間は、よく晴れる太平洋側に住んでいる人の2000〜3000時間に相当すると思っている。明け方、起きても、また起きても晴れてはくれない。それでも粘り強くチャンスを待ち続けるのである。観測地で望遠鏡を組み上げたとたんに曇ったことも数知れない。それどころか、突然雨や雪が降り出したことさえる。
またそのうちに晴れ間がある。その時までじっと待つのだ。美しい星々の輝きとともに貴重な時を過ごすために。そして再び彗星と巡り会う日のために。
2月25日(土)
この一週間に2回の掃天と彗星の観望を行った。
2月19日(日)
2月11日UTに米国のアマチュアが36cm、F2 のシュミットカセグレンとCCDで発見した C/2012
C2 ブリュージンス彗星を観望した。この彗星は眼視光度が10等級と報告されており、眼視でも見つかったはずの彗星である。
中程度の光害がある状況下で、夕空にこの彗星の観望を試みた。光害の源はスキー場のナイター照明である。この彗星は46cm 68倍では見えず、157倍では淡い染みのような像に気づいた。彗星は減光中で、直感で12等と見積もった。78Pゲーレルスも観望したが、こちらはC/2012 C2よりも明るい。
2月20日(月)
今月初めての掃天である。気温はマイナス9℃と低いので、空の透明度はとても良い。望遠鏡をへびつかい座の腰の辺りに向けて掃天を開始した。コメットシーカーの最初のスイングでM12 が視野に入り、間もなくM10 が入ってきた。いずれも美しく、旧友に出会ったかのようであった。同じようなことを以前にも書いたと思うが、季節が巡ってその年に初めて遭遇する星雲星団に対しては、いつもこのような感覚を覚えるのである。
次に確認できた星雲星団は、惑星状星雲NGC6445と球状星団NGC6440である。4:15、掃天を開始して約10分後、突然空が明るくなった。スキー場の照明が灯されたのである!薄明開始後、30分以上経過した5:35まで掃天を続けた。この日は低温のために体力を消耗した。
2月21日(火)
掃天に先立って、火星の観望を楽しんだ。北極冠の白色、縁に見える青白い色の雲、そして表面の模様は感動的である。
午前4時10分、M4から掃天を開始した。昨日よりもずっと暖かく、心地よい。しかし、35分後には曇ってしまい、4:35に掃天を終了した。
新潟ではいつものことだが、12月から2月にかけてはせいぜい月に2~3回掃天できれば良いほうなのである。
1月18日(水)
三日月が南東方向のてんびん座にあり、この方向の極限等級が2等級低下している。午前4時5分、月明を避けてM13にコメットシーカーを向け、そこから掃天を開始した。そうは言っても月明のためにM13の近くにある銀河、NGC6207には気がつかなかった。しかし、その存在を意識すると見ることができた。
2分後、2回目のスイングで彗星が視野に入ってきた!美しい!エメラルドグリーンの尾を持った彗星で、7等級である。すぐにその彗星はC/2009 P1 ギャラッド彗星であることがわかり、しばらく美しさに見とれていた。
そのほかに確認できた天体は、M57とM92だけであった。これは月明のためではなく、もともとこの辺りには自分の望遠鏡でみえる天体がほとんどないのである。

掃天した領域
Copied from MegaStar5
彗星が美しく見えたのはこの寒気のために空気の透明度が増したためであろう。低温に耐えて掃天した甲斐があった。
1月9日(月・祝)
昨年の年末はハワイのマウイ島に滞在した。星見のみに焦点を合わせた旅行ではなかったが、ハレアカラ山(3055m)には4回行った。
ハレアカラ山頂 背の高いドームがパンスターズ(Pan-STARRS)望遠鏡
最初のハレアカラ山への小旅行では天気は快晴で、頂上で写真を撮ったり、日没を楽しんだりした(駐車場は標高3049m)。頂上には幾つかドームがあるが、写真で背が高く写っているもがパンスターズ(Pan-STARRS)望遠鏡である。主鏡は1.8mで、自動サーベイのひとつである。われわれコメットハンターはこの望遠鏡と競争しなくてはならないのだ。
http://pan-starrs.ifa.hawaii.edu/public/home.html
この場所でパンスターズと一緒に彗星捜索をやりたかったのであるが、頂上は風が強すぎて観測できない。そこで第二駐車場(2990m)に移動した。この駐車場でも何度となく突風が襲ってきたので、2時間ほどでホテルへと戻ることにした。
二度目のときは強烈な嵐であった。頂上では晴れているかと期待したが、そうではなかった。単に頂上往復ドライブをしただけとなった。
第三駐車場にて 左下はカフルイの光害
三度目も風が強く、第三駐車場(2845m)に30cm望遠鏡をセットした。小さな三脚を使って写真を撮影したりして1時間ほど経過したとき、空の一部が暗いことに気づく。流れ雲が出たのだ。次の瞬間、雨が降り出した。急いで望遠鏡を片付けた。雨はどんどん強くなって、嵐になった。
この第三駐車場で陽気なツアーガイド、ジュン・リー氏率いる日本人ツアー客と出会った。氏の会社はハレアカラ山のサンセット、サンライズツアーを運営している http://www.mauihoshi.com/index.html
。リーさんとそのお客さん達は運が良い。彼らが駐車場を離れてホテルに向かうとすぐに雨となったのだ。
四度目はさらに風が強い。第三駐車場に車を停めると、再びリーさんと彼のお客さん達と出会った。リーさんは風が強すぎて観測できないので、もっと下の観測地に行くという。リーさんについて行って、望遠鏡を1770m地点に設置した。ところが車中で簡単な夕食を食べている間に突風が望遠鏡をなぎ倒してしまった。被害はそれほど深刻ではなく、ファインダー取り付け板が破損したのみであった。
リーさんによると、12月、1月はいちばん条件が悪いそうで、天気が不安定で風も強いとのこと。しかし、この12月は異常だということだった。実際、市街地でも風が強く、ハワイ諸島全体に強風注意報が出ていた。シーイングは日本の冬と同じくらい悪かった。
クジラのジャンプ撮影成功。このクジラは体長45〜50mとのこと。
星見は不成功だったが、クジラ見物などハワイの他のアクティビティを楽しんだ。