プロローグ
英語脳をどう構築するか?
[1]脳のしくみ
人間の脳には「記憶の束」があり、ある刺激に対してシナプスという神経がその取り持ちをするという。その内言語脳は,発音や文法を理解する働きする部分であると言われている。思考は言語と密接な関わりを持って行なわれ、物事を認識するときには言語に置き換えて開始することになる。
私たちは、暇そうな人を見て「あなた、暇なの?」と聞いたり、気分の悪そうな人を見て「あなた、頭が痛いの?」などと聞き、一方英語のネイティブスピーカーはAre
you free?とかDo you have a headache?などと聞く。つまりシナプスが刺激に反応して「記憶の束」にある言語脳に蓄積されてきたそれぞれの言語を取り持ったことになる。
●日本人の英語脳?
私たちが、「あなた、暇なの?」といった英文を生産する場合を考えてみよう。この場合、「あなたは暇ですか?」ととらえ直して、「あなた」はyou、「暇な」はfree、「です」はareと考え、文法に従ってbe動詞areを文頭においてAre
you free?といった英文を生産する。
一方「あなた、頭が痛いの?」といった英文を生産する場合では、まずこの日本文を「あなたは頭痛を持っているのか?」ととらえ直して、主語の「あなた」はyou、「頭痛を」はa
headache、「持つ」はhave、さらに疑問文だからDoを文頭において、Do you have a headache?という手続きを経て英文を生産することになる。
以上は今まで学習してきて私たちの言語脳に蓄積してきた英語に関する単語情報と文法的な情報をシナプスが取り持ちしていると考えられる。
以上の処理はいずれも日本語と英語の単語が一対一に対応しているものとして、それをシナプスが取り持ち、なおかつ文法に従って単語を並べる作業と言えるだろう。
You are free. →Are you free?
S V C 〜ですか? あなたは 暇
You have a headache. → Do you have a headache?
S V O ですか?あなたは 持っている 頭痛を
あるいは、そんな文法的な手続きをまったく経ないで、「あなたは暇なの?」=Are
you free?とか、「あなたは頭が痛いの?」=Do you have a headache?とセリフ覚えのように一文丸暗記をしようとする人たちも多い。しかしこれではNice
to meet you.やHow are you?などと覚えたとしても、多くの情報を蓄積しなればならず、取り持つシナプスの負担には耐えられないのは当然だ。英文と日本文を一対一に記憶するなど途方もないことなのだ。
いずれにしてもこれらは日本語の発想から処理しようとするものでおよそ英語脳とはほど遠いものだ。
●ネイティブの人たちの英語脳
一方、ネイティブの人たちの英語脳というものはどのようなものか。まず「あなた、暇なの?」という表現では、「暇な状態」を表すfreeと、「あなた、頭が痛いの?」といった表現では、have
a headacheを頭に思い浮かべる。いずれも彼らにとって「記憶の束」に蓄積されたfreeとhave a headacheがシナプスによって取り持たれると言える。だからそのまま相手にFree?とかHave
a headache?などと上げ調子で聞くこともある。
ここで何より私たちの英語脳?とは異なっているのは、freeが形容詞だとか、haveが動詞でa headacheがその目的語だという意識はないということだ。彼らは「猫」がa
cat、「犬」がa dogと頭にイメージするのと同じようにそれらを映像のようにイメージする。