●言葉の習得はワンフレーズでのオウム返しに始まる
相手に向かって、Hungry?(お腹が減ったの?)、Thirsty(のどが渇いたの?)、Angry?
(怒ってるの?)と上げ調子に聞いただけでその意味がわかります。なぜならそれは会話者同士だからです。つまり「あなた」と「私」ということは当然わかっているからAre
you?もI amもまずはいりません。あるいはレストランで,出された食事がおいしかったら、Good.(おいしいね)と、あるいは食べる前なら、Looks
good.(おいしそうに見えるね)と言っただけで十分意味は通じます。
日本人が英語音痴だとされるのは、これらのワンフレーズ表現をまずきちんと身につく学習をしてこなかったことに大きな原因があります。ところが日本の英語教育や英会話学習法では始めから基本文とやらを丸暗記させて、場面や状況に応じて単語を入れかえて表現するというのが共通している考え方です。言葉の表現というのは小から大へと進むもので決してその逆ではありません。
この本では、徹底してワンフレーズのオウム返しを基本にして、それをきちんとした表現に高めていく学習法を展開しました。それはこれから英会話を学ぼうとする人にも、あるいはもう一度基本から英会話学習をやり直そうとしている人にも、幼い子供がことばを定着・蓄積していくのを短期に追体験敷いただきたいからです。
●どうして英語が言葉として定着・蓄積しないのか?
児童英語でも、中学英語でも以下の会話文は必ず登場します。
A: How are you?
ご機嫌いかがですか?
B: I am fine, thank you. And you?
元気です、ありがとう、あなたはどうですか?
A: I am fine, too. Thank you.
私も元気です、ありがとう
A: Where are you from?
あなたはどこから来られましたか?
B: I am from Canada.
私は、カナダから来ました
A: What animal(s) do you like?
あなたはどんな動物が好きですか?
B: I like dogs.
私は、犬が好きです
このような会話文を丸暗記さされたことがあると思います。でもこんな会話文を丸暗記していた最初の頃は、おそらく英語も楽しいものだった思います。でもいつの間にかこのような一文丸暗記の学習が苦痛になったのではありませんか。
しかし、よく見てください。Aの会話文とBの会話文はほとんど共通した単語がないことに気づかれると思います。これらの会話文に共通するのは、疑問詞と言われるhowやwhatが使われていることです。文法ではこれらはInformation
Questionと呼ばれ、文字通り相手に情報を聞くものなのです。つまり答えるものは相手に「元気だ」「元気じゃない」「そこそこだよ」といった情報を与える必要がある表現です。
一方、英語にはYes=No Questionというものがあります。これは相手が聞いたことに対してYesかNoかで答えるものです。以上の3つの会話文をこれに変えるとおもしろいことがわかります。
A: (Are you) fine? 【オウム返し
No.21】
あなた、お元気ですか?
B: Yes. (I am) fine, thank
you. And you?
元気です、ありがとう、あなたはどうですか?
A: (I am) fine, too. Thank
you.
私も元気です、ありがとう
A: (Are you) from Canada? 【オウム返し No.40】
あなたはカナダから来られましたか?
B: Yes. (I am) from Canada.
そうです。私は、カナダから来ました
A: (Do you) like dogs?
【オウム返し No.60】
あなたは犬が好きですか?
B: (I) like dogs.
私は、犬が好きです
どうですか? Fine?→Fine.、From Canada?→From
Canada.、Like dogs?→Like dogs.と完璧なオウム返しになっていることがおわかりでしょうか。そしてさらに重要なことは、(
)内のことばを無視しても、赤文字で記されたフレーズは単独で、ワンフレーズ表現となっていることです。もちろん、Information
Questionが必要ではないと言っているのではありません。
●ワンフレーズ表現が基礎となって表現が拡大する
幼い子供は、まずワンフレーズ表現を身につけ、それを以下のように展開していくことになります。How are
you?などから始める日本の英会話教育とまったく逆になっていることがわかると思います。
| Fine? |
→ Are you fine? |
→ How are you? |
| From Canada? |
→ Are you from Canada? |
→ Where are you from? |
| Like dogs? |
→ Do you like dogs? |
→ What animal(s) do you like? |
オウム返し学習法は、英語をことばとして身につけるための当たり前の、そして最も有効な学習法なのです。