●まずは「よく働く動詞」を身につけなさい
「よく働く動詞」というのは、行為の外形をなぞらえるような純粋に動作だけを表す動詞のことです。私たちはこのような動詞を徹底的に身につけるべきですが。それをmakeは「作る」、getは「得る」、giveは「与える」、putは「置く」、takeは「取る、連れていく」、keepは「保つ」などと、一語一語に安易な訳語をセットして覚えてしまっています。英語の学習で最も大切で決して欠けてはならないのはネイティブが日常会話で多用するこの「よく働く動詞」を徹底的に身につけることです。
また多くの人が「自由に英会話が話せる」には、なるべく多くの単語を覚えることが欠かせないと考えていますが、これはある意味で間違っています。
イギリスの言語学者、C. K. Ogden (1889-1957)は、たった850語が20,000語に相当する働きをするとし、Basic
Englishというものを提唱しました。この内動詞だけに注目すれば、動詞はたった16です。彼は無制限な語彙を使わなくても、英語は一定の範囲の基礎語の組み合わせで多様な意味を表し、かつ英語にはそのようなことばを好んで使う傾向があるとしました。
| be |
have |
do |
make |
get |
give |
put |
take |
| keep |
let |
go |
come |
seem |
say |
see |
send |
C.K.Ogden氏は、どうしてたった16の動詞で英語のすべてが表現できると指摘したのでしょうか。
その秘密は3つあると私は考えます。
1つ目は、英語は方位や空間を用いて表現する発想を持っているので、この16の動詞と方位語(方位副詞と前置詞)との組合せで様々に表現できることです。これをイディオムとか、Two
word verbsとか、あるいは群動詞とかと名付けられていますが、これが英語の神髄だと言えるでしょう。
例えば、「私は元気だ、起きている」= I am up.とか、「私は滅入っている」=I am down.とか、「コンピュータが故障している」をThis
computer is down.とか、This computer is out of order.とか、「私は彼女のことが忘れられない」といったことで、She
is on my mind.とかと表現するものです。
最後の文では「彼女が私の心に密着・継続している」ということです。
2つ目は、「動詞を軽く」する表現です。これは名詞をそのまま使って表します。
| have
a sleep 「眠る」 |
have
a dream 「夢を見る」 |
| have
a cold 「風邪をひいている」 |
have
a headache 「頭が痛い」 |
| take
a walk 「散歩する」 |
take
a shower 「シャワーを浴びる」 |
| give
a cry 「叫び声をあげる」 |
give
a good boil 「よく煮る」 |
| make
a joke 「冗談を言う」 |
make
a wish 「願い事をする」 |
動詞を軽くすれば、変化も間違わないし、加えてそんな表現の方が英語らしい表現と言えるのです。またhave
a long talk「長く話をする」といた表現はとても楽だと思います。残念ながら日本の英語教科書にはほとんど登場しないのが不思議です。
3つ目は、品詞を変化させて表現する方法です。
転用と言っても何かむずかしく感じられますが、実は英語の発想には、他の品詞からの転用によって様々な表現をすることがあります。
例えば、sleepyは、動詞や名詞のsleepからの転用でyをつけて形容詞にします。つまり、「眠る」「眠り」を「眠い」にするわけです。
Ogden氏は、これと同じように動詞や名詞にingをつけて「〜しながら」いった意味にする英語の造語法にも述べています。つまり彼はsleepingを動詞としてカウントしないということです。
She is
sleepy.
彼女は眠たがっています |
She is
sleeping.
彼女は眠っています |
Sample6では、動詞に-erをつける品詞の転用例を見ていただきます。
●自分の言いたいことは直接英語で
自分が言いたいことを日本語に置き換え、それに応じる動詞を思い浮かべようとするのはとてつもない遠回りをしていることになります。あるいは日本語の発想で処理することはむしろ危険なものだと言えるでしょう。例えば、「靴は脱がなくてもけっこうです」が、単にKeep
your shoes on.ですませることができる英語の発想を身につけるべきです。
むしろ英語で何かを表現したいときには、日本語の意味に当たる英語の動詞が何かと考えるよりも、「よく働く動詞」の内の何を使うかと考える方が、はるかに効率がいいと言えるでしょう。
場面に応じた自由な英会話をする場合には、「よく働く動詞」の守備範囲と応用範囲を徹底的に学ぶ必要があります。
誤解してもらっては困りますが、私は動詞は16だけで十分だと言っているのではありません。やはり「そのままの行為を表す動詞」も使うことが欠かせないこともあります。しかしまずは「よく働く動詞」をきちんと身につけて、いわばありあわせの英語でしのがなければならないというのは、私たちが英語世界に身を投じる第一歩となるべきです。
またこれが基礎となることで、他の動詞も使いこなすように展開することが英語を身につける最も効率的な学習法となります。
● 一つ一つの単語の発音がわかっていても
She is on my mind.とかI am your guide.といった文では、すべての単語のリスニングは可能だと思います。しかしその意味が分かっていなければ、リスニングができたことにはなりません。「リスニングができる」というのは、音を聞き分けることだけではなく、その意味をとらえることなのです。