茅ヶ崎海岸の一部に、写真のような光景が見られます。
砂の崖があるのです。
陸側からは良くわからないのですが、波打ち際に降りると実感します。初めて見たとき、「砂をどこかから運んできて、盛ってあるんだろう」と思いましたが、実は違うようです。 茅ヶ崎海岸をはじめとする相模川河口から三浦半島にかけての沿岸は、もともと一様に広い砂浜が広がっていました。
ところが、近年は砂浜の後退、すなわち侵食が顕著になっています。
もっとも大きな理由は、注ぎ込む相模川の上流でダムの建設や護岸整備が進んだことにより、砂浜の元となる土砂の供給が絶たれたためだと言われています。
しかしながら、地点により、海岸の後退が進むところもあれば、安定しているところもあります。
上の地図にも描かれている石積みの構造物「ヘッドランド」は、砂浜の減少を防止するために造られたものです。
T字型の岩場を設けることで周囲に砂がたまり、砂浜を形成させることができます。
ところが、砂浜が広くなるのはヘッドランドの部分だけ。
沿岸にそって流れる海流の自然な流れが妨げられ、無理な蛇行を生じさせます。このことが、周辺の砂浜に悪影響を及ぼしている、と私は考察します。
これが、今回取り上げた現象です。
不自然な崖は、本来の砂浜が波に削られて生じたもののようなのです。
実際、以前の茅ヶ崎海岸は、数百メートルも沖まで、砂浜伸びていたのだそうです。
こちらはヘッドランドの西側の海岸の様子。さらに西隣には、茅ヶ崎漁港の人工構造物があります。
ここの海岸は、波打ち際がさらに陸側に迫っており、コンクリートによる護岸補強と、テトラポットの設置が行われています。
砂浜は事実上、姿を消している箇所も見受けられます。
ヘッドランドと同様に、漁港のために沿岸流が蛇行し、砂浜が流失してしまったのでしょう。
写真は再びヘッドランド東側です。
飛砂を防ぐために造られている竹製の策は、砂がえぐられた為に沈下し、一部は崩壊しています。
相模川から遠い、鎌倉・三浦方面の海岸では、もっと深刻な砂浜の減少が起きています。
根本的な解決は簡単ではありません。せめてできるのは、美しい砂浜の景色を記憶にとどめておく位なのでしょうか。
(平成16年5月)