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プロゴルファー杉原輝雄「加圧式トレーニングでガンが消えた!」
                               「週間現代」 2001年5月26日号

あえて手術を拒否した「理由」

「3月ごろに主治医の先生からガンが小さくなったと聞かされたんですわ。MRIの検査結果を見て、先生がそう言うものだから、へえ、そうかいなと思いましてね。先生も不思議そうにしてましたから、やっぱりこれは運がよかったんやろうと思うてます」
 ざっくばらんな口調でそう話すのはプロゴルファー杉原輝雄氏。
 1937年大阪府生まれの63歳。高校の夜間部に通いながらゴルフ修行を続け、'57年にプロ入りし、5年後の日本オープンで初優勝。身長162cm、体重60kgと小柄ながら、正確なショットとパットを武器に長年トッププロとして活躍を続ける。現在までの通算成績は国内トーナメント54勝、シニア6勝、海外1勝。
 そんな杉原プロが前立腺ガンの告知を受けたのは'97年12月。あえて手術を拒否して、それ以外の様々な治療法を試してきたという。
 それから3年数ヶ月。
驚いたことに杉原プロの体内に巣くっていたガン細胞は、ガン告知時よりもはるかに小さくなっていたというのだ。ガン細胞の大きさを表す数値(PAP)は、当初、これを上回ると体に影響がでるだろうという基準値と同じ4.0だったが、最近の検査で、0.3にまで減少していたことが判明した。
 いったい何が杉原プロのガン細胞を退治したのか。あらためて"不死身"のプロゴルフファーに独占インタビューした。

 たしかに最初、ガン告知を受けたときは、ええ気はせんかったです。でも、私はガン細胞の大きさを示す数値というやつをあまり気にしていなかったというか、よくわからなかった。自覚症状でもあればもう少し気になっていたでしょうけど、痛みもなにもありませんでしたからね。
 ですから、ガンを患っていることが公にされた当時、私が遺書を書いたなんていう記事が出ましたけど、あれはウソ。なにせ本人があまり深刻に受けとめていなかったんですから(笑)。
 幸い、早期発見でしたから、すぐに生命の危険があるわけでもない。それで聞いたら、手術と女性ホルモンの投与と二つの治療法があるというので、後者のほうを選んだわけです。というのは、60歳にもなって手術をしたら、それによって落ちた筋力を回復させるのは容易やないし、だいいち筋力を復活させるためのトレーニングに要する時間が惜しい。それで、ホルモン投与にしたんです。
 といって、ホルモン投与だけに頼っていたというわけではないんです。じつのところ、ガンの告知を受けてからというもの、体にいいと聞けば、どんな飲み物や食べ物も、とりあえず試してみました。
 たとえばアガリクス茸とか健康食品のドクダミンエキス、還元波動水なんていうのも試してみましたね。いい水はできるだけ飲んだほうがいいというので、波動水を一日に2リットルくらい、アガリクスの煎じ液は1袋50CC入のものを一日に7〜8袋、何にも割らずに飲んでいました。それと鍼。これは以前からやっていたんですが、ガン患者がよく通っている中国鍼の先生のところに行ったりしました。
 ですから結局のところ、何がよかったかというと、アガリクスがよかったような気もするし、還元波動水がよかったような気もする(笑)。ただ、もうひとつ続けてよかったと思っているのがあって、それは「加圧式トレーニング」というやつなんです。
 これは世界的にも特許が認められている方法で、まず腕や足の付け根をバンドでぎゅっと縛る。すると、筋肉が7000m級の高山にいるのと同じ無酸素状態になり、結果、軽い負荷でも筋肉が酷使されていると脳が勘違いして、成長ホルモンという物質を通常の100倍ちかくも出すというものです。
 毎週1回、この加圧式トレーニングをするようになってこの5月で丸5年になりますけど、これのいいところは、この年齢になっても、成長ホルモンが活性化することでね。私はこのトレーニングがガンにもいい影響をもたらしたと思っています。

「抗ガン剤は飲んでいません」

 杉原プロが加圧式トレーニングに通う東京・府中の「サトウスポーツプラザ」の代表・佐藤義昭氏は、
「このトレーニング方法は、ホースの先を狭めて水を勢いよく出すのと同じで、筋肉を適度に締めつけて血管を狭めることで血流を促そうというものです。そうすることで、新しい血管がつくられ、末梢神経が活性化するわけです。このトレーニングによって成長ホルモンがより多く分泌されることは学術的に証明されていますが、同時にガン細胞を抑制する免疫細胞も活性化すると考えています」
 としたうえで、杉原プロのガン細胞を小さくさせたもうひとつの可能性について、こう続ける。
「なんといっても杉原さんの気力でしょう。自宅のある大阪から。ここまで毎週欠かさず通ってくるパワーは並大抵ではありません」
 おかげで、この5年間でかなりの筋力アップにつながったと思いますね。ゴルフの飛距離は230〜240ヤード。できれば。もう少し伸ばしたいところですが、このトレーニングは、健康には非常にいい。
 加圧式トレーニングを始めたのは、ガン治療のためではありません。ガン告知を受けるよりずっと前から、あくまで筋力増強のためにやっていました。それにこのトレーニングによって分泌される成長ホルモンがガン細胞に抑制効果があることがわかってきたのは、ここ1〜2年のことじゃないですか。
 抗ガン剤については、正直、もらってもあまり飲まなかったです。じつは今ももらってはいますけど、飲んでいません。それでもガンは小さくなったのだから、やはり自分で試したアガリクスとか加圧式トレーニングがよかったんでしょう。
 そんな杉原プロの主治医は、このガン細胞の縮小をどうみているのか。大阪にある西野クリニックの西野国輔院長は、
「まあ、きわめて稀なことで、杉原さんとは30年来の付き合いですけど、今度のことは医者の私もようわからんのですよ。ただ、彼は健康食品をあれこれと試したようですが、そのおかげというよりは、たまたまそうなったといったほうがいいでしょう。
 今も女性ホルモンを処方していて、彼にはひとつニューハーフになったつもりでゴルフやれって言うてますけど(笑)」
 と首をひねりつつも、嬉しそうに言う。

「ガンが私に教えてくれた」

 ところで、私がレギュラープロにこだわっているのは、レギュラーとしてデビューした以上はレギュラーとしてずっと活躍していきたいからです。
 私がレギュラーに出なければ、代わりに若い人がひとり出られると言うけど、そこは勝負の世界やから、若いも年寄りも関係あらへん。そら、できることなら、みんな長いこと現役でやりたいと思うてるわけですよ。そういう意味では、みんなライバルです。
 ジャンボ(尾崎)に勝ちたいとよく言っていたのは、まあ、言葉のアヤみたいなもので。トップにおったのが彼だったから、いまなら丸山(茂樹)でも片山(晋呉)でもええけど、ジャンボの名前出したほうがインパクトある(笑)。本音を言えば、ジャンボだけやなしに、誰にも負けたくない。勝負の世界にいる人間なら、みんなそうです。3年前のインタビューで、たしか「あと2年やりたい」と言いましたけど、これは撤回。できるものなら、あと100年でもやりたい。
 ありがたいことに、体調そのものは以前とあまり変わっていません。ただ、年齢のせいか、疲れが取りにくいとか、5日練習が続いたら体力の回復が遅いといったハンディはありますけどね。
 ガン告知の以前と以後でとくに変わったことはありませんね。人間誰しも、いずれは行くところへ行くんですから。ただ、今回のことで、死ぬ前にやることはやっておかないといかんなと考えるようになりました。たとえば80歳まで生きるとして、その年齢なりにちゃんと自分の足で歩いて、身の回りのことができるようでありたい。そのために今のうちから健康管理をしっかりせなあかんと、病気になってから切実に思うようになりましたね。
 とにかく、生きている以上は、前へ行くしかあらへん。前へ行きたくても行かれへん人もようけおるんやから。自分はまだ行ける可能性が残されているのだから、あとは行くだけ。
 不幸にして私はガンになってしまったけど、なってしもうたものはしゃあない。あとは、前へ行けるありがたみを感じながら生きていかなならんと、これはガンが教えてくれたメッセージかもしれません。




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