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加圧筋力トレーニング
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東京新聞

人気ジワリ「加圧筋力トレーニング」
   1回数分60代も20%筋肉太く

腕や脚にベルト 血液の流れ制限  注目の運動法 記者体験

 腕や足の付け根をベルトで締め、血液の流れを制限した状態で行う新しい運動方法「加圧筋力トレーニング」が広がりを見せている。軽い付加で大きな効果を得られるのが特徴だ。けがや病気のリハビリ治療にも幅広く活用され始めている、新トレーニング法を実体験してみるとー。
                                                     (加藤寛太)

 「軽く握りこぶしを作ってください」。加圧筋トレ専門トレーナーに言われ、記者は肘を上げてこぶしを握りはじめた。トレーナーは慣れた手つきで幅3cmほどのベルトを腕の付け根に巻く。痛みはないものの結構、キツイ。血圧の測定器で最大に加圧された状態よりもきつく感じる。手のひらがみるみる赤くなる。
 「血が流れ込む動脈は締め付けず、静脈を締めている状態。完全に締めてしまうと、血液が流れなくなり白くなります。腕に血液がたまっている状態です」。トレーナーが説明する。500g程度の軽いダンベルを上げ下げしてみる。15回もすると筋肉が張って疲労を感じる。5分ほどで締め付けたベルトをはずすと、ふわっと腕が軽くなった。
 「軽い付加で筋力が付くというのは、従来の常識から言えばナンセンス。最初は全然、信じていなかった」。加圧筋トレを科学的な研究テーマにしている石井直方・東大教授(筋生理学)が話す。加圧筋トレの発明者で特許を持つ佐藤義昭氏(サトウスポーツプラザ代表)から依頼され研究を始めたという。石井教授は47歳の今も現役のボディービルダーだ。昨年15年ぶりに出場した社会人大会で優勝した。
「加圧筋トレに取り組んだ結果、以前の5分の1のトレーニング量で現役復帰できるまでになった。効果を身をもって体験した」
「60代の女性20人に、週に2回、5分から10分程度、腕に加圧した状態でダンベル運動を4ヶ月続けてもらった。平均で20%、多い人で30%程度筋肉が太くなるという結果が出た。しかも、直接トレーニングの対象にならない筋肉も20%ほど肥大した」。 石井教授がこれまでの実験結果を説明する。
 さらに「加圧してトレーニングすると、疲労物質である乳酸の血中濃度が著しく上がる。脳は激しい運動をしているといい意味でだまされ、成長ホルモンを大量に分泌する。運動して15分後には、ピークに達し、運動前の平均値の100倍にもなる」と加圧筋トレが、効果を発揮するメカニズムを解説する。
 成長ホルモンは@骨、筋組織の成長促進A体脂肪の減少B免疫の活性化Cしわの減少といった効果があるとされる。石井教授は「米国の研究で成長ホルモンの投与で皮下脂肪が落ち、筋肉が引き締まって若返ることが知られてきた」と言う。
 加圧筋トレは、ゴルファーの杉原輝雄プロやサントリーラグビー部、三菱重工長崎野球部などのトップアスリートたちが取り入れ、効果を上げている。軽い負荷で、大きな効果が得られるため病気やけがのリハビリにも取り入れられている。
 「これまでに延べ6000人の方にリハビリとして加圧筋トレを実施した」というのは、小田切病院(川崎市)の小田切研一院長だ。小田切院長は「69歳の寝たきりの患者に加圧し、足の曲げ伸ばしなどの運動をしてもらった結果、筋肉が60%肥大、自力で歩けるようになった。5年間寝たきりだった96歳の患者が、1ヶ月で歩けるようになったケースもあった」と紹介する。
 効果的な加圧筋トレだが、石井教授は警告も忘れない。「加圧筋トレが効果を上げるには厳密な条件がいる。例えば強い圧力をかけ過ぎると、血液が全部筋肉から絞り出されて、虚血状態に陥る。見よう見まねは大変危険だ。

 2002年11月18日 東京新聞




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