早産児について
ここでは早産児・未熟児についての概論を説明します。
大半はあっきぃーが入院していたNICUの手引きから転載させていただきました。
妊娠・分娩の影響が消失し、子宮内の共棲生活から子宮外の独立生活に移行するための生理的適応過程が終了するまでの期間を新生児期といいます。
出生から28日にいたる期間をさします。(WHOの定義)
新生児期の分類
☆臨床的所見(児の成熟度からの分類)
1)未熟児:対外生活に適応するのに十分な成熟度に達していない未熟児兆候のある児
2)成熟児:対外生活に適応しうる成熟度をそなえた児
☆在胎週数からの分類
1)早(期)産児:在胎36w6d以前に出生した児
2)正期産児:在胎37w0d〜41w6dで出生した児
3)過期産児:在胎42w0d以降に出生した児
☆出生体重からの分類
1)巨大児:出生体重4000g以上の児
2)低出生体重児:出生体重2500g未満の児
3)極小未熟児:出生体重1500g未満の児
超未熟児:出生体重1000g未満の児
☆出生体重と在胎週数からの分類
1)SFD児:胎生月齢の割に体重の小さい児
2)AFD児:胎生月齢に相当する体重を有する児
3)LFD児:胎生月齢の割に体重の大きい児
早産児の場合はお母さんの体内と同じような環境が必要です。そこで赤ちゃんは設備の整った集中治療室に入ります。赤ちゃんは小さく、体の臓器や組織は十分に成熟していません。そのためにいろいろな問題が出てくることがあります。
なぜ早く生まれるのでしょう?
どの国でも全出生児の約7%は早産児です。妊娠中毒症・全治胎盤・慢性高血圧・頸管無力症・多胎妊娠・糖尿病などがあれば、分娩が早くなる可能性が高くなってきます。しかし、早産の約半数は原因がわかりません。ご両親は、早産児を出産すると「仕事をやめておけば…」「旅行に行かなければ…」と自分を責めてしまいがちですが、これらが早産の原因となることはまずありません。
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早産児の身体の特徴は?
◇早産児の外観
早産児の体重はおなかの中にいた期間(在胎週数)でおよそ決まります。期間が短ければそれだけ小さくなります。どの赤ちゃんも出生後しばらくは体重が減少します。数日経ってご両親が赤ちゃんに面会された時に、生まれた時よりも体重が減っていても当然のことで、心配することはありません。
◇早産児の皮膚
早産児の皮膚は薄く、皮下脂肪が非常に少ないので、血管が透けて見えるくらいです。皮下脂肪は赤ちゃんが子宮の中にいる最終月に身体につくので、早産児に少ないのは当然です。皮膚色は時期によってピンクや青みをおびていたり、まだらであったり黄色であったりします。私たちは皮膚色によって赤ちゃんの状態を判断することができます。
◇産毛
在胎15〜32週まで赤ちゃんは「うぶ毛」でおおわれています。そのため早産児には背・肩・腕・額にうぶ毛がたくさん見られますが、ふつう予定日ごろには消えていきます。
◇筋力と神経
早産児の筋肉や神経は完全に発達していないので、筋の緊張は低く発育が悪いようにみえます。筋肉にはまだ、手や足をあげる力が十分ありません。ですから赤ちゃんの手や足は、だらっとした感じがします。時々、手足がぴくぴくと震え、神経が過敏なように見えるかもしれませんが、これは未熟なためです。
◇頭
髪の毛は個人差があります。頭には「泉門」があり、時には心臓の動きと同じように拍動を感じますが、皮膚は頑丈ですからさわっても大丈夫です(といっても押さないでね:小梅追記)。1歳〜1歳半で完全に閉じます。
◇耳
耳は軟骨でできており、在胎40週頃にならなければ完全に発達しません。そのため早産児の耳はやわらかくひだがあり、どちらにも曲がります。退院の準備をする頃にはもっと硬くなります。しかし、聴力は早く発達しており、保育器のまわりの音やお母さんやお父さんの声をききとることができます。
◇目
早産児でも、ちゃんと見ることができます。まだ多くの人は赤ちゃんの目は物を見ることができないと思っていますが、30cm程で明るいところでは赤ちゃんは見ることができます。在胎34〜35週になると、お母さんの顔がわかりますし、目で物の動きを追うことができます。
◇乳房
26週以前の早産児では乳房組織はまだ発達していません。赤ちゃんが成熟するにつれ乳頭が最初にみられ、次に乳輪が現れてきます。予定日になる頃には赤ちゃんが乳房組織と同じ状態にまで発達します。男の子も女の子も同じです。
◇おへそ
お母さんと赤ちゃんは臍帯(へその緒)で結ばれています。出生後すぐ切られますが、残った部分は2〜3週でとれます。
◇性器
赤ちゃんの性は卵子と精子の結合の瞬間に決まります。性器は妊娠の初期に発達し生まれた頃には完全に形成されています。早産児の場合、ペニスは小さく、睾丸はまだ陰のうにおりていないかもしれませんが、発達の途中で早く生まれたのですから心配はいりません。女の子の場合、大陰唇は小陰唇をおおっていないので、本当に女の子かしらと思うかもしれませんが正常です。性器は出生後も発達し続けています。
◇吸てつと動き
早産児の反射・反応・能力は成熟児とは異なります。吸てつ力(吸う力)は在胎26週頃からみられますが、32〜34週になるまではそれほど強くありません。嚥下力(のみこむ力)は早くからみられますが、34週までは完全に発達していません。吸てつと嚥下呼吸と同時にうまくできるようになるまで、乳汁は鼻または口からいに直接通した細いチュ−ブで与えます。
びっくり反射は、大きな音や突然の音でひきおこされます。腕を反射的に投げ出したり、泣き出したりする原因となります。予定日後約3か月間続きます。
泣くことは、最初はそんなに多くありません。赤ちゃんが成長するにつれて力強く、よく泣くようになってきます。しゃっくりは赤ちゃんにとっては正常なことです。つかむ力は成長するにつれて強さを増し、予定ごろにはかなり強くつかむようになります。
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早産児の問題
赤ちゃんには個性があり、どの赤ちゃんもそれぞれ違った問題をもっています。ここでは多くの医学上の問題や、未熟性に伴う合併症についてご説明します。
(1)呼吸について
呼吸回数は早産児のほうがやや多く、また規則的に呼吸する力が少し弱いため、数秒間呼吸を止めることがあります。これは「周期的呼吸」で、成長するにしたがってなくなります。早産児の肺と気道は十分にできあがっていますが、無数にある肺胞という空気と接触する部分を開いて酸素と炭酸ガスを交換するのに必要な化学物質が不足していることがあります。
◇陥没呼吸
早産児は深い呼吸をするので、呼吸のたびに肋骨の間がへこんだり胸骨部が上下します。これが陥没呼吸です。
◇呼吸窮迫症候群
肺胞を十分開くための化学物質が不足しているためにおこる呼吸障害を呼吸窮迫症候群といいます。この病気になると肺での酸素と炭酸ガスの交換がうまくできないので、酸素を与えたり、人工呼吸器を使って呼吸を助けなければなりません。ふつう1週間くらいでよくなり、人工呼吸器や酸素が不要になります。
◇無呼吸発作
早産児では、周期性呼吸といって数秒間呼吸を止めることがよくありますが、さらに呼吸を停止している時間が長くなって脈拍が下がってきたり、皮膚の色が悪くなる場合を無呼吸発作と呼びます。これがおこると警報機の音が鳴り、看護婦や医師が赤ちゃんの背中や足をさすったり、刺激したりするだけで回復します。それでも蘇生しない場合には、蘇生バックを使ってすぐ呼吸させることができます。無呼吸発作は脳の呼吸中枢が未熟なためにおこるもので、成長するにつれてなくなります。
(2)栄養について
人間はみな毎日の活動や成長のため栄養を必要とします。早産児は輸液(点滴)や乳汁から栄養を摂ります。赤ちゃんに必要な量は、体重や在胎期間や生後の日数によって計算されます。
早産児では消火器は外見上完全にできあがっていますが、その機能は未熟です。赤ちゃんの胃は小さいので乳汁は少ししか受け付けません。そのため少量の乳汁を2〜3時間ごとに与えていきます。飲んだり飲み込んだりする反射もまだ未熟ですので、このような機能が発達してくるまで、チューブ栄養が必要です。たとえば吸てつ反射は32週までは十分ではありませんし、吸てつと嚥下が同時に上手にできるのは34週頃です。
◇早産児の消化に関する問題
以前は早産児では消化ができないと考えられ、生後数日間は乳汁を与えられませんでした。現在では、生後1日目から十分なカロリーをとることが赤ちゃんにとって重要であり、十分な栄養が与えられた早産児は母体内でいるのと同じように成長することがわかっています。出生後すべての赤ちゃんは体重が一時的に減りますが、早産児ではこの体重減少は長く続きます。出生後のさまざまな問題が解決する頃には体重が増加し始めます。
生後数日は輸液だけのことがありますが、その後は母乳またはミルクを与えます。
早産児の腹部は身体のほかの部分と比べて非常に大きく見えます。胃や腸で乳汁が十分消化できなければ腹部はさらに大きくなります。赤ちゃんの皮膚は薄く皮下脂肪が少ないので、腸の輪郭が見えることがあります。食堂と胃の間には噴門と呼ばれる弁があり食物の逆流を防ぎますが、未熟児では噴門が十分に閉じないため、乳汁が簡単に胃から食堂へ逆流します。この逆流した乳汁が肺に入らないように赤ちゃんの頭を高くしたり、うつぶせにしたりします。
◇赤ちゃんが自分で飲めるようになるまでの援助
出生直後から輸液(点滴)が開始されます。そのために細い針またはチューブを赤ちゃんの手や足、ときには頭皮の血管に入れます。この針はテープで止めて抜けないようにしてあります。手足の血管を使うときはシーネという副木で手や足を固定します。輸液路は輸液のためだけでなく、薬を投与したり輸血をするためにも使われます。赤ちゃんにとっては「生命の綱」ともいえる大切な治療の1つです。
◇栄養チューブ
乳首から直接飲むためには、吸てつ・嚥下・嘔吐反射が発達していなければなりません。それまでは栄養チューブを使って授乳します。鼻から胃に細く長いプラスチックのチューブを入れ、テープで止めておきます。
(3)心臓と血液循環について
出生前の循環は出生後の循環と異なっています。出生前には、赤ちゃんの心臓は血液を身体の各部と胎盤に送り出し、胎盤で酸素を取り込み老廃物をとり除きます。母親が赤ちゃんの代わりに呼吸をするため、赤ちゃんの血液は肺を素通りするようにできています。しかし赤ちゃんが生まれて母親とつながれていた「へその緒」が切られると、自分で呼吸し始め、心臓は肺にも血液を送り出すようになります。このように循環の状態が全くかわるために、動脈管という管が閉じます。成熟児では生後2〜4時間以内に閉じますが、早産児では閉じるのが遅れます。
◇心臓におこる問題
動脈管が閉じない状態を動脈管開存症といい、早産児にはよくおきる問題です。与える水分量を少なくしたり、動脈管を閉じる薬を使えば治ります。ごくまれなことですが薬でも閉じないことがあり、そのときは手術を行います。
◇徐脈
脈拍が遅くなることでふつう無呼吸発作のときにみられます。これがおこるとモニターの警報音が鳴り、看護婦や医師にすぐわかるようになっています。
◇貧血
血液中の血色素と呼ばれる酸素を運ぶ赤い色素が不足した状態を貧血といいます。貧血があると無呼吸発作がおこったり、哺乳力が弱くなったりします。治療として輸血を行います。このために、あらかじめ赤ちゃんの血液型と同じ方の供血者を探していただくことにしています。
◇黄疸
黄疸は皮膚や眼球結膜(目の白い部分)が黄色になることでわかります。血液中のビリルビンという黄色い色素を測定して判断します。最も多く見られる黄疸は生理的黄疸といって、成熟児にも早産児にもみられます。
もう1つは血液型の不適合が原因で起こるもので、日本ではABO型不適合が時々みられますが、まれにRh不適合によることがあります。このときは黄疸も強く、お母さんがRh(−)、赤ちゃんがRh(+)のときにおこります。この原因は赤ちゃんの赤血球が多量にこわれるためで、黄疸と同時に貧血もおこります。
◇黄疸に対する治療法
光線療法:赤ちゃんに光線を当てることにより血中のビリルビンを減少させます。保育器の上に光線療法の器械を置き赤ちゃんに照射します。光線療法をしている間は裸にし、目を光線から守るために目かくしをしています。ご両親が面会されるときには光を消し、目かくしを取りますので、お子様の顔をよく見てあげて下さい。
交換輸血:黄疸が重症のときに用いられる治療法です。赤ちゃんの血液を少量ずつ取り出し、成人の新鮮血を同量ずつ輸血する方法です。1回行うのに2〜3時間かかり、重症黄疸の場合には2回以上行うことがあります。
(4)保温の必要性
早産児の体温は一定に保たれることが重要です。高すぎる場合を発熱、低すぎる場合を低体温といいます。早産児の体温調節機能は十分に発達していませんし、また皮下脂肪が少ないため容易に体温が失われます。このようなわけで、早産児の場合は高体温よりも低体温の方が問題になります。
(5)その他の問題
◇胎内発育遅延
子宮内でふつうに発育した赤ちゃんには、それぞれ生まれた時の週数によって標準的体重と大きさがあります。その標準値より軽かったり、小さい場合があります。
◇感染
早産児は成熟児より抵抗力が弱く感染しやすいのです。感染はその発生する場所によって、肺炎・敗血症・結膜炎などと呼ばれています。感染を起こしている病原菌が何かわかるには3〜4日かかりますが、艦船の疑いがあると、今までの経過と検査結果を参考にして、すぐに抗生剤を投与することにしています。
◇未熟児網膜症
早産児では網膜は完全に出来上がっていません。成長していく過程で網膜の血管が異常に増生するのが網膜症です。酸素の過剰投与はこれをさらに悪化させます。私たちは早産児には十分でしかも過剰でない酸素投与を行うよう配慮し、早産児すべてに対して眼科医による定期検診を行っています。ふつう在胎25週以上で生まれたら、重い網膜症はまれです。
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早産児の予後
早産児として生まれると、今まで説明してきましたように呼吸・循環・消化・血液などいろいろな面で問題がおこってきます。しかし現在の医療レベルではそのほとんどが解決可能です。最近では出生体重1500g未満の赤ちゃんの約90%が生存し、赤ちゃんのほとんどが健康に育っています。
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