Windows 98 の多国語サポート: キーボード

日本語版 Windows 98 は標準の状態で、いわゆる Latin-1 (ISO 8859-1) の範囲で表記できる西欧・北欧の諸言語をサポートしている。Windows シリーズの最新版、Windows 2000 と Me (Millennium Edition) では、多国語サポート機能はさらに強化されているようだが、ここではとりあえず、手持ちの Windows 98 での多国語サポートにおける言語とキーボードの対応を調査してみた。

上記の Windows 2000/Me には、標準で「スクリーンキーボード」というアクセサリがついており、また、Office 2000 ユーザーは「Visual Keyboard」というアプレットをダウンロードすることによって、MacOS における「キー配列」のように、各国語でのキーボードレイアウトを画面に表示して、簡単に確認することができる。ところが Windows 98 には、標準ではそのような機能は備えられていない。

そこで、いくつかの言語――筆者にとって関心の深いロマンス語、つまりラテン系の西欧言語や英語――に関しては、実際のキーボードレイアウトについても調査した。
これまでにも、サポートされている言語のレイアウトについて、いくつかこれを掲載しているサイトがネット上に存在したが (関連資料リスト参照)、右 Alt キーや Shift キー+右 Alt キーとの組み合わせまで含めて公開しているものはないようなので――と思っていたが、最近そうでないことを発見した。後述――、ここでは全ての組み合わせを考慮したものを挙げてある。

Windows 98 キーボードにおける言語とレイアウトの対応

下の表でそれぞれの言語の右に挙げてあるのが、対応する標準のキーボードレイアウト。
ただし、その言語ではそれに対応するレイアウトしか選べないというわけではなく、他のレイアウトも自由に選ぶことができる (例えば、言語が英語の場合にフランス語のレイアウトを使うことも可能)。

キーボード言語の追加方法については、別項の関連資料リストや「Windows 95/98 でスペイン語」を参照のこと。後者では特にスペイン語に的を絞って解説しているが、他の言語でも手順は基本的に同じである。

なお、リンクされたそれぞれのキーボードレイアウトのページでは、アクセント記号などの発音区別符号 (diacritical mark) 付きの文字やその他の欧文用記号――ややこしいので以下、欧文文字/記号と呼ぶ――との混在の都合上、説明文の日本語は一部を除いてすべて訓令式ローマ字で表記している。詳しくは「ローマ字表記法について」を参照。

Windows 98 キーボード 言語・レイアウト対応表
* 言語 キーボード レイアウト kbd ファイル
[北欧諸語]
Is アイスランド語 アイスランド語 kbdic.kbd
Sv スウェーデン語 スウェーデン語 kbdsw.kbd
Da デンマーク語 デンマーク語 kbdda.kbd
フェロー言語 kbdfo.kbd
No ノルウェー語 (ブックモール) ノルウェー語 kbdno.kbd
No ノルウェー語 (ニーノシク) ノルウェー語 kbdno.kbd
Fi フィンランド語 フィンランド語 kbdfi.kbd
[ゲルマン系西欧諸語]
Af アフリカーンス語 米国 101 kbdus.kbd
Nl オランダ語 (標準) オランダ語 kbdne.kbd
Nl オランダ語 (ベルギー) オランダ語 kbdne.kbd
De ドイツ語 (標準) ドイツ語 (Standard) kbdgr.kbd
ドイツ語 (IBM) kbdgr1.kbd
De ドイツ語 (オーストリア) ドイツ語 (Standard) kbdgr.kbd
De ドイツ語 (スイス) スイス ドイツ語系 kbdsg.kbd
De ドイツ語 (リヒテンシュタイン) ドイツ語 (Standard) kbdgr.kbd
De ドイツ語 (ルクセンブルグ) ドイツ語 (Standard) kbdgr.kbd
En 英語 (U.K.) 英語 kbduk.kbd
En 英語 (U.S.) 米国 101 kbdus.kbd
米国 - International kbdusx.kbd
米国 - Dvorak kbddv.kbd
米国 - LH Dvorak kbddvl.kbd
米国 - RH Dvorak kbddvr.kbd
En 英語 (カナダ) カナダ マルチリンガル kbdfc.kbd
カナダ標準 kbdcan.kbd
En 英語 (アイルランド) アイルランド語 kbdir.kbd
En 英語 (オーストラリア) 米国 101 kbdus.kbd
En 英語 (ニュージーランド) 米国 101 kbdus.kbd
En 英語 (南アフリカ) 米国 101 kbdus.kbd
[ラテン系西欧諸語]
It イタリア語 (標準) イタリア語 kbdit.kbd
イタリア語 142 kbdit1.kbd
It イタリア語 (スイス) イタリア語 kbdit.kbd
Es スペイン語 (トラディショナル ソート) スペイン語トラディショナル kbdsp.kbd
Es スペイン語 (モダン ソート) スペイン語モダン kbdla.kbd
Es スペイン語 (メキシコ) ラテンアメリカ言語 kbdla.kbd
Ca カタロニア語 スペイン語トラディショナル kbdsp.kbd
Eu バスク語 スペイン語トラディショナル kbdsp.kbd
Fr フランス語 (標準) フランス語 kbdfr.kbd
Fr フランス語 (カナダ) カナダ フランス語系 kbdca.kbd
Fr フランス語 (スイス) スイス フランス語系 kbdsf.kbd
Fr フランス語 (ベルギー) ベルギー語 (Period) kbdbe.kbd
ベルギー語 (Comma) kbdbene.kbd
Fr フランス語 (ルクセンブルグ) フランス語 kbdfr.kbd
Pt ポルトガル語 (標準) ポルトガル語 (Standard) kbdpo.kbd
Pt ポルトガル語 (ブラジル) ポルトガル語 (Brazilian standard) kbdusx.kbd
ポルトガル語 (Brazilian ABNT2) kbdbr.kbd
[アジア諸語]
Ba インドネシア語 米国 101 kbdus.kbd
(Ja) 日本語 106 日本語 (A01) キーボード kbdjpa01.kbd
101/102 英語キーボード kbdjp101.kbd

Windows 98 Second Edition (4.10.2222 A) 日本語版 PC/AT 互換機用で確認
*: タスクトレイに現れる [多国語インジケータ] の表示
kbd ファイル: キーボードレイアウトファイル。キーボードのレイアウト情報が格納されている

これらのキーボードレイアウトは、アメリカや日本用のものを除いて、本来はヨーロッパの102キーボード用のものなので、一部の記号が入力できないなど、不便な点がある。
例えば、

などの不都合がある。
ちなみに、右 Alt キーは102キーボードでは「Alt Gr」と刻印されていることが多い。
101/106キーボードと102キーボードでの具体的な相違点については、「スペイン語トラディショナル」と「Keyboard Layout - Espan~ol Tradicional」を参照、比較のこと。

なお、Windows 2000 でも使用する用語に多少の違いはあるが (「<キーボード>言語」→「入力ロケール」など)、対応関係やレイアウトなどは Windows 98 の場合とおおむね同じだと思われる。Windows Me での状況は、資料がないため不明。

気付いた点など

上で触れたように、実は、全てのキー組み合わせを網羅したキーボードレイアウト情報を提供するサイトは、ウェブ上にすでに存在した。マイクロソフトのサイトには、JavaScript で動く、Windows 2000 用キーボードレイアウトのページがあり (関連資料リスト)、ここでは全てのキー組み合わせをインタラクティブに確認することができる。
これと、上述のように多国語対応が強化され、「スクリーンキーボード」を標準搭載した Windows 2000/Me が登場したことよって、この文書の公開の意義は多少薄れた気がしないでもないが、これら2者より、一覧性に優れているなどの利点を備えていることも考慮して、いささか時機を逸した感があるにもかかわらず、ここに公開することにしたものである。

最後に、いくつかの言語について思いついた点を挙げる。

●スペイン語
「スペイン語トラディショナル」を使うと、カタルーニャ語 (カタロニア語)、バスク語、ガリシア語のほか、ポルトガル語、フランス語にも都合がいい。
「スペイン語モダン」と「ラテンアメリカ言語」はなぜか名前は違うが、実際には同じレイアウト。このレイアウトでは Shift+ 右 Alt キーとの組み合わせに、一部おかしなキー割り当てが見られるが、これはキーボード定義時に混入した何らかのミスかバグと思われる。
●フランス語
よく言われることだが、フランス語 (標準) の「フランス語」は、数字がシフト側にあったり、AZERTY 配列だったりして、普通の日本語106/英語101キーボードに慣れた人には使いにくそう。「カナダ フランス語系」などのカナダ向けのレイアウトを使ったほうがよいだろう。
また、ベルギー用の「ベルギー語」――おかしな呼び方だが――には Period と Comma の2種類があり、レイアウト定義ファイルも別々だが、実際のレイアウトを見ると、どちらも同じ配列のようだ。ピリオドとコンマの扱いに何か違いがあるのかもしれないが、実際にどう違うのかは分からなかった。
●日本語 (ローマ字)
長音記号「^」がデッドキーになっていて、母音との組み合わせで長母音が打てるキーボードならどれでも使える。
ただし訓令式か日本式のみ。ヘボン式は長音記号が「」(マクロン) なので Latin-1 の範囲では無理。Latin-4 (ISO 8859-4)、Latin-6 (ISO 8859-10) か Unicode ならマクロン付き母音が含まれるので、北欧語用のキーボードを使えば入力できるかもしれない。
●多言語混在
ひとつのキーボードで最も広範な言語をカバーしているのは「米国 - International / ポルトガル語 (Brazilian standard)」だと思われるが、欧文文字/記号が右 Alt キーとの組み合わせにやたらと割り当てられている上に、「" '」(ダブル/シングル・クオーテーション) までデッドキーになっていて、少々煩雑。スペインなどで使う「a o」(上付きの「a o」) も足りない。
その点、「カナダ マルチリンガル」は基本的に英語とフランス語の混在用で、北欧語の、上に「o」が付いた「a」などが足りないようだが、より整理されていて打ちやすそう。
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