落合の感覚は俺に非常に近く、日本のTVのくだらなさや小市民的メンタリティー(そうした連中を彼は“ブタ”と呼ぶ)についての批判など、読んでいても共感できる事がとても多い。ちょっと乱暴な感じの文体からは自由奔放なニオイがするし、何より熱い語り口には元気と感動をもらえる。よくケチな批評家が「落合の生い立ちや言ってる事はハッタリだらけだ」と書いているが、あるいはそうかもしれない。だがそんなことはどうだっていいことだ。むしろそうした作り話のうまさがフィクション(小説)のほうにも生かされていると言っていいし、もちろん中には現代史にまつわる事実に基づいた役に立つ情報なども多い。そうした彼の本の中からお気に入りのフレーズや目からウロコ的な一文をピックアップしてみた。
ロンドンのクラスの高いレストランで大声をあげる者は犯罪者並みに見られる
〜「運命の劇場」
恐らくファミレスの功罪だろうが、日本ではどこに行っても子供が騒いだり大人でも公共の場で声のトーンを落とすという事が少なくなった。知らない人間には話しかける事もできないのに、仲の良いもの同志ではとことん騒々しいというムラ意識が、今の若者にも脈々と受け継がれている。
まさにベッドルームアイというやつです/オスの臭いがプンプンしますもの
〜「運命の劇場」
前者は男性の女性への表現、後者はもちろん女性から男性への表現だ。それもビジネスシーンでのセリフなのだ。多少は落合流の理想というか強引さがなきにしもあらずだが、ベッドルームアイなど今の若い日本人女性には到底望むべくもないし、オスの臭い云々の表現もまさに外国人女性ならではのストレートさで実に爽快だ。やれセクハラだ何だとすぐまくしたてるくだらない窮屈なエセ倫理社会と違い、俺の理想とする奔放で生き生きとした男女関係がそこには存在する。
毎日を「残りの人生最初の日」というモットーで生きてきた〜「運命の劇場」
一日一日を新鮮な気持ちで迎えることのできる言葉.。
オイルショックはメジャーや産油国が価格アップのために流したディスインフォメーションだった〜「運命の劇場」
原油価格が高騰し市場が混乱ている昨今もメジャーがその分利益を独り占めしているという。まさにならず者である彼らの実態は落合の小説によって知る事ができる。
ヘイジョー!〜「男たちの伝説」
ベトナム戦争で兵士(ジョー)達に良く聴かれたというあのジミヘンのデビュー曲のタイトルが登場人物のセリフからさりげなく飛び出すところは格好イイ。
君が生まれた国の元首相も、なまじウランに食指を動かしたために・・〜「男たちの伝説」
田中角栄がロッキード事件に巻き込まれることになった背景がさりげなく登場人物の口から語られる。
ビジネスはシビアだ。トライアルアンドエラーの日々が続く〜「狼たちへの伝言3」
これは落合お気に入りの表現らしくて結構良く出てくるし、俺自身自分の仕事やFXなどでうまく行かない時などに思い浮かべる言葉でもある。
人気は政治とは関係ありません。問題は歴史が我々をどう判断するかです
〜「どしゃぶりの時代」
これは落合が引用したサッチャーの言葉。小泉あたりに聞かせてやりたいものだ。
今の世の中、つまらない人間ばかりだとオレは思う。破天荒な人間、滅茶苦茶な人間、個性のある人間がいなくなった〜「狼たちへの伝言」
これには何の補足も必要ないだろう。まさしく、その言葉どおりだ。
ツーストライクとられたが、まだ三振を食らったわけじゃない〜「命の使い方」
これは落合のライバルだったシャヒーンの言葉。これもFXで損して苦しんだ時に励みになった。オプティミストの座右の銘ともいうべき言葉だ。また落合によって繰り返し語られるシャヒーン自身の生き方も格好イイ。
惚れた女に千通もの手紙を書いた人がいた〜命の使い方
千通と言うのは落合流の誇張かも知れないが、いずれにせよその情熱には感服させられる。きっとエセ倫理主義者はまたストーカーだ何だと言い出すだろう。こうなると社会主義国よりたちが悪い。くだらない倫理感にしばられて情熱や感性といったものが衰退しつつある今の日本の現状には、あのスタンダールも嘆くに違いない。
あの戦争は最初から「勝ってはいけない戦争」だった〜「狼たちへの伝言」
これも現代史の裏事情を突いたベトナム戦争に関するコメント。産軍複合体の市場優先主義はケネディー暗殺などあらゆる問題を引き起こした。
日本人の多くの男はきちんと女性の目を見て話さない〜「狼たちへの伝言」
よくテレビで国際結婚の家庭などを紹介すると、外国人の嫁が日本人の旦那に必ず言うセリフである。俺は同じ日本人男性として、どうしてもこれが理解できない。惚れた女性の目をじっくり眺めさせてもらえることほど素晴らしいことなどないだろうに。