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「これを見てくれ」
ピュンマが示したのはかろうじて残っていた監視カメラの映像だった。
爆風に揺れ、壁が崩れるときに出る土埃で画像は悪かったが、飛行艇の格納庫の映像が写し出されている。
記録されている時間は丁度、地殻プレートを変動させる装置を009が止めたあたりだ。
一艇の飛行艇が崩れ落ちる基地から発進していた。
中型の黒っぽい飛行艇。あきらかにこの基地から誰かが逃げたと推測される。
「そしてこれだ」
もう一本の映像は同じ格納庫でのカメラの映像だが、飛行艇の収納ハッチが映っている。
丁度爆風が駆け抜け、そのせいで視界が悪くなりはっきりとは見えないが、
四人の人物が飛行艇に乗り込もうとしていた。 そのうちの一人の男が何かを背中に背負うようにして抱えている。 白い煙りが充満する中に、赤と黄色の色が見えたような気がした。
タラップに足をかけた人物がふと振返ったので、丁度その横顔が映像に映しだされていた。
短めのぴったりとしたスカート。女性だ。
「多分003はこいつらに連れ去られたと思うんだ」
ピュンマが画面を指さした。
003の姿はどこにもなかった。
フランソワーズが行方不明だと知った仲間達もすぐさま駆け付け必死に捜したが、痕跡一つ見
つけられなかった。
現場の状況から判断して、009と別れた後、ロボット兵と遭遇した003は何体かのロボット兵を倒したらしい。
その後、崩れ落ちた床と共に階下におちたのではないかと考えられた。
ジョーの荒れ方は凄まじかった。
仲間の誰の言葉も耳に入らないかのように、瓦礫を除け、必死で003の姿を追い求めた。
自分を責め続ける009に仲間の声は届かない。例えどんなに慰められても彼の傷は癒
されなかっただろうけれど。
そんなジョーを救ったのが008としばらくして眼を覚ましたイワンだった。
008は瓦礫の撤去作業には加わらず、基地内の生きているコンピューターを操作しはじめた。
必要と思われる情報をドルフィン号のコンピューターへと送っていく。
そして残っていた監視カメラをチェックして、どこかにフランソワーズが映っていないかと捜した。
そして一眠りした後眼を覚ましたイワンは、基地内のフランソワーズの残留思念を追い続けた。
二人の働きの結果導きだされたのは、フランソワーズはどこかに連れていかれたということだった。
どこにもフランソワーズの姿を見い出せず、絶望と自戒の念で心を一杯にさせたジョーにとってそれは一筋
の光だった。
生きていてくれれば助けにいける。必ず彼女の元に辿り着く。
ようやく命を吹き返した様なジョーの瞳に仲間達は安堵した。
しかし手がかりは此処までだった。
飛行艇の行き先も、誰が乗っていたかも皆目検討がつかない。
再び気まずい雰囲気が流れる中、先程から格納庫での映像を食い入る様に見つめていたギルモア博士
が呟いた。
「この人物はどこかで会った事がある気がするんじゃが……」
博士が指さしたのは若い女性。
画像が小さい為はっきりとはしない画面を、ピュンマがコンピューターを使って引き延ばせるだけ大きくした。 画像
はどうしても多少荒くなるが、それでも以前の映像に比べれば格段にはっきりと見える。 そのふいにカメラの方を振返ったその女性がすばらしく美しい人
だというのがわかる。 金髪
を結い上げたその女性を穴が開く程見つめる博士だったがどうしても思い出せないようだ。
「こんな美人だったら一度見ればわすれないでしょう?」
007の軽口にも博士はう〜ん、と腕組みをするだけで、考え込んだ。
ジョーにとっても他のサイボーグ戦士にしても、何もできないもどかしさと、今フランソワーズ
がどうしているのかと心配するつらい日々が待っていた。
ジョーは心を刺す様なそんな日々を、コンピューターの膨大な情報を解析することでなんとか乗り
切っていた。きっとこれがフランソワーズを取り戻す道に繋がっている事を信じて。
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