☆☆ 『シンシア』の事が掲載された98年6月の新聞記事 ☆☆

★★ 6月14日 毎日新聞・朝刊(阪神版)★★

あすから「木村さん家のシンちゃん」展 介助犬の活動、写真で紹介

 車いすで暮らす宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)の介助犬シンシア(4歳、雌)の日常生活をとらえた写真展「木村さん家のシンちゃん」が15日(月)から大阪市中央区大手通1の、マニフェストギャラリーで開かれる。
26日(金)まで。日曜日は休み。無料。
 撮影したのは神戸市在住の写真家、小田哲明さん(53)。シンシアは4年前に介助犬としての訓練を受け、交通事故で下半身が不自由になった木村さんのために新聞を運んだり、靴下を脱がせたりと世話を続ける。その姿に感動した小田さんが、まだ世間の認知が低い介助犬を多くの人に知ってもらおうと企画した。昨年5月から撮影した40〜50点=写真はその1点=を展示する。
 問い合わせは同ギャラリー(06・943・5892)。【山本真也】

★★ 6月24日 神戸新聞・朝刊★★

車いす男性と介助犬が鉄道の旅に初挑戦/社会認知へ大事な一歩

 車いす生活を送る宝塚市、会社員木村佳友さん(37)が七月四日、介助犬シンシア(雌、四歳)と東京への鉄道の旅に出発する。シンシアは兵庫県内ではもっか、ただ一匹の介助犬。盲導犬と違って法的な裏付けがないため、列車に乗るのは容易ではない。木村さんとシンシアは利用する全鉄道会社の”面接試験”受けて、ようやく許可された。旅は、介助犬が社会的に認められていくための大事な一歩にもなる。
 盲導犬は歴史があり、道路交通法の規定で鉄道利用の際も自由に同伴できるようになっている。一方、体の不自由な人のために暮らしの手助けをする介助犬は、アメリカなどではかなり普及しているが、日本では一九九五年に第一号が誕生したばかりで、同法でも規定外。
 全国で民間ボランティアが訓練を行っているものの、介助犬育成の統一基準がないこともあり、列車に乗る場合は、利用申請を受けた鉄道会社がそれぞれ、犬が他の乗客に迷惑をかけないかなどをチェックしている。
 木村さんは十年前に交通事故で手足が不自由になった。現在は、民間ボランティア団体の訓練を受けたシンシアが、木村さんの手となり足となって一緒に暮らす。木村さんは電機メーカーのエンジニアで、ふだんは身障者用に工夫されたマイカーで通勤。勤務中もシンシアはそばを離れず、フロッピーの受け渡しなど、アシスタント役を務めている。
 今回の旅は介助犬の全国組織をつくる会合に出席するためで、木村さんは利用する阪急とJR西日本、JR東海に申請。三社は阪急宝塚駅の会議室で合同の面接会を行い、シンシアの様子や木村さんとの暮らしぶりなどから同伴旅行は可能と判断した。この旅行でシンシアがきちんと役割を果たせば、今後の利用も認めていく考え。
 木村さんは「訓練の統一基準がない現状では、鉄道会社が事前審査をするのはやむを得ない」とする。介助犬への理解を広げるため各地で講演活動を行うとともに、所属する「介助犬協会」(本部・東京)を通じて他の介助犬団体との連携を深め、統一基準づくりを進めたいという。
 鉄道会社側も「基準によって訓練が全国的に一定のレベルに達し、盲導犬のように社会の認知が深まれば、チェックは簡素化されていくだろう」としている。

★★ 6月28日 読売新聞(大阪本紙)・朝刊★★

介助犬と出会い救われた人生

 介助犬とともに車いす生活をしている会社員木村佳友さん(38)(宝塚市)の講演会「介助犬と生きて−シンシアがくれた希望」が二十七日、三田市立けやき台小で開かれた。
 木村さんは十一年前、オートバイの事故がもとで車いすの生活となったが、介助犬協会(東京都八王子市)の紹介で「シンシア」(ラブラドール種、雌四歳)と出合い、復職を決意。現在は三菱電機(伊丹市)の在宅勤務の嘱託社員として、仕事を続けている。
 講演会は同小PTA(浪松昭夫会長)などが主催し、児童や父母、地域住民ら約二百五十人が参加した。木村さんは「事故後の絶望感の中で介助犬と出合ってからは生活も楽しいものになった。当初は言うことを聞かず悩まされることもあったが、信頼関係が大切だと痛感した」と述べた。

★★ 6月28日 神戸新聞・朝刊★★

車いすの生活支えるパートナー/介助犬のこともっと知って
歴史浅く低い認識/入店拒否の飲食店も

  介助犬のサポートで車いすの生活を送る宝塚市の会社員木村佳友さん(37)が27日、三田市けやき台小学校を訪れ、4歳の雌のラブラドール・レトリーバー「シンシア」の仕事ぶりや、盲導犬に比べて歴史の浅い介助犬の現状について講演した。
 同小PTAなどの主催。介助犬は「障害者が立ち上がるときに支えになったり、落とした物を拾ったリするなどさまざまな動作の手助けをする。米国では20年以上の歴史があるが、日本では六年前にポランティア団体による育成が始まったぱかり。国内に約800匹いる盲導犬と違い、介助犬は十匹ぼど。県内ではシンシアだけ。
 木村さんほ半導体のエンジニアだったが、11年前にパイク事故で下半身や手指が動かなくなった。一時、自暴自棄になったが、三年半のリハビリをこなし、現在ほ在宅勤務でコンピュー夕ーソフトの作成などを行っている。
 犬を飼うようになったのは、外出する機会の少ない生活に潤いをとの気持ちから。しかし子犬のシンシアのいたずらに手を焼くように。そんなとき、ペット雑誌で介助犬のことを知リ、「駄目でもともと」と訓練を受けることになった。
 今ではシンシアは、物を持ってきたり、ドアを開けたリするなど木村さんの手足となっている。「シンシアとの出会いが、多くの人とのコミュニケーションにつながった」と木村さんは話し、児童や保護者の前でシンシアに指示を出し、靴下を脱ぐときの手助けなどを実演した。
 介助大への認識度が低いことから、レストランなどへの入店を断られることもあるといい、「盲導犬と同様に障害者の支えになっている介助犬の存在をもっと知ってほしい。そうなれば、介助犬のサポートを受けられる障害者も増えるはず」と結んだ。

★★ 6月29日 毎日新聞・夕刊(大阪本紙)★★

[イブニングアイ]介助犬は私の手足 盲導犬なみの“市民権”がほしい!

 体の不自由な人の伴りょとして寄り添い、日常生活を手助けする介助犬。だが、盲導犬に比べ、社会の認知度は低く、法的な立場もあやふやだ。乗り物やホテル、飲食店ではペットと同一視され、同伴を拒否されるケースもある。「『車いすを置いて入れ』という店はありません。『介助犬を連れて入るな』というのはそれと同じことなんです」と飼い主の障害者は訴える。介助犬の現状を紹介する。【文・山本真也、写真・懸尾公治】

◆こんなに賢い◆
 兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)は、介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌、4歳)と暮らす。27歳の時、オートバイ事故で下半身不随になった木村さんは、1994年2月からシンシアをペットとして飼い始めたが、介助犬のことを知り、同年11月から、東京の育成団体でシンシアに約1年間の訓練を受けさせた。
 シンシアは、フロッピーを拾う▽電話の受話器の受け渡しや新聞を運ぶ▽ドアや冷蔵庫を開ける、などの介助をする。外出時に、「ハーネス」と呼ばれる胴輪を着けると「さぁ、お仕事」と姿勢を正すという。レストランで客が食べていても、全く興味を示さない。
 月に2、3回、打ち合わせで出勤する三菱電機北伊丹(兵庫県伊丹市)は昨年4月から同伴を許可した。会議中は木村さんの足元でじっと伏せている。

◆こうして育てる◆
 95年に発足した「介助犬をそだてる会」(京都市)は、これまでに3匹の介助犬を育成し、障害者に無償で貸与している。  介助犬は、(1)幼少期に一般の訓練施設で、座る、伏せるなどの基本動作を習わせる(2)会のスタッフが、飼い主の障害程度などに合わせた介助法を訓練する(3)飼い主と生活させ、信頼関係を築く(4)会で審査のうえ介助犬と認定する――というのが育成の流れだ。
 1匹の育成に1年半〜2年、約100万円かかるという。約20人の障害者が順番待ち中。「寄付金とボランティアで運営する今の会の力では年に1、2匹育てるのが精いっぱい」と会の悩みは深い。

◆ペットと同じ?◆
 日本の盲導犬は40年近い歴史があり、全国で約800匹が活躍している。国家公安委員会の指定で育成に当たる盲導犬協会は、国などの補助金を受け、税制面での優遇もある。一方、介助犬は90年代になり民間団体や障害者、犬のトレーナーが育て始めた。日本より20年長い歴史をもつ米国には約1000匹いるが、日本ではまだ10匹足らず。統一した認定制度もない。
 盲導犬の補助を担当する厚生省はこう話す。「だれかが犬を育て『これは介助犬』といえば、『介助犬』で通ってしまう。ペットと区別がつかない現段階で、介助犬の必要性がわからない」と冷ややかだ。

◆実績の積み上げ◆
 昨年12月、医療関係者や犬のトレーナー、障害者などが設立した非営利団体「日本介助犬アカデミー」(事務所は東京都港区、名古屋市)は、育成に関する情報提供や啓発活動を始めた。アカデミー理事を務める木村さんは7月に東京で開かれる総会に、シンシアと鉄道で行くことを計画した。先月、JRや阪急からは「試乗」という形で許可が出た。木村さんは「介助犬が当たり前の“市民権”を得るために、実績を積み上げたい」と話している。

【障害者を助ける犬】
 耳の不自由な人の耳代わりとなる聴導犬や、てんかんなど発作が起きた時に助けを呼ぶアラート犬などもいる。アメリカでは90年に、介助動物とペットを区別して定義し、店はすべての介助動物の立ち入りを断れないとする法律を制定した。日本では盲導犬だけが、道路交通法で「目が見えない者はつえを携行するか、盲導犬を連れていなければならない」とされ、社会的に認知されている。

■写真説明 会議中はおとなしくしているシンシア。木村さんの同僚も気にする様子はない=兵庫県伊丹市の三菱電機北伊丹で



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