☆☆ 『シンシア』の事が掲載された98年7月の新聞記事 ☆☆

★★ 7月 3日 読売新聞・朝刊(都民版)★★

「介助犬」普及へアカデミー始動 5日に設立記念講演会/東京・港

 体の不自由な人の日常生活を助ける「介助犬」の普及を目指して設立された「日本介助犬アカデミー」が今月五日、港区赤坂四の赤坂区民センターで設立記念講演会を開く。介助犬への理解や民間の介助犬育成団体などのネットワーク化を呼びかける。
 介助犬はドアや引き出しの開け閉めをしたり、落とした物を拾ったり、新聞を取ってきたり、肢体不自由者の手足代わりに働く犬。溝にはまりこんだ車イスを引っ張ったり、衣服を脱がせたりもして、障害者の自立を助ける役目も負う。
 一九七〇年代の半ばに米国で登場し、日本でもここ数年で育成団体が出来てきたが、数は合わせて十匹に満たないといわれる。介助犬の法的な位置づけや学問的な研究もこれからで、情報も不足している。
 そこで昨年十二月、医師、獣医師などがメンバーとなって同アカデミーを設立した。今後、介助犬に関する相談の受け付け、講演会やセミナーの開催、調査研究などを行っていく予定だ。
 今回は初の講演会で、設立総会も兼ねている。アカデミーの設立趣旨の説明のほか、理事で介助犬と暮らしている木村佳友さんが「介助犬と生きる」と題して講演。介助犬・シンシアが登場し、ふだんの介助の様子をビデオで上映する。
 午後二時―同四時。参加無料。問い合わせはアカデミー東京事務所((電)3473・7620、FAX兼用)へ。

★★ 7月 4日 朝日新聞・夕刊(大阪本社)★★

介助犬が私鉄試乗初体験 宝塚の車いすの男性と 【大阪】

 「介助犬」を知っていますか? 体が不自由な人の生活の手助けをする犬のこと。その介助犬を連れた兵庫県宝塚市の車いすの男性が4日、阪急電鉄宝塚線の中山駅から梅田駅まで「試験乗車」した。ドアを開けたり落とした物を拾ったり、介助犬は障害者の手足として次第に注目されているが、盲導犬ほど知られておらず、交通機関やレストランで拒否されることも多いという。男性は「介助犬が普及すれば、障害者の社会参加も進む。障害者の体の一部ということを理解してほしい」と話している。
 宝塚市中山台一丁目のコンピュータープログラマー木村佳友さん(三八)とラブラドルレトリーバー種の「シンシア」(四歳、メス)。
 木村さんは、一九八七年、交通事故で四肢がまひした。木村さんのペットだったシンシアは、介助犬協会(東京都八王子市)などでの訓練を経て九六年、同協会から介助犬に認定された。
 新聞を運んだり、冷蔵庫から瓶を取ってきたり、落としたものを拾ったりと、介助犬の仕事は多い。約四カ月間、「シット」「ブリング」などの英語の命令で、物をくわえて運ぶなどの基本動作を繰り返し練習。さらに、トレーナーが木村さん方に約一カ月間泊まり込んで、木村さんの家と生活に合わせた訓練を積み重ねた。
 同協会によると、アメリカでは千匹以上の介助犬が活躍しているが、日本では十匹に満たない。盲導犬のように国家公安委員会指定の育成団体がなく、民間団体や個人がばらばらに訓練しているのが実情だ。このため、盲導犬とは違って、公共交通機関を利用する際は特別な許可がいる。
 木村さんは以前、駅長判断で阪急電鉄に乗ったこともあるが、その後、「運行規定では、同伴できるのは盲導犬と警察犬だけ」と乗車を断られた。今回、東京で五日に開かれる日本介助犬アカデミーの設立総会に出席するため、改めて三月に同電鉄などへ申請し、試験乗車を許可された。シンシアにとって、「正式乗車」は初めての体験となった。阪急側は「介助犬の乗車申請は初めて。(介助犬と認める)統一した認定基準がない以上、ほえるなどしてほかの乗客の迷惑にならないという確信をもてず、一律OKとはいかない」と話す。
 車いすの木村さんが電車に乗り込むと、シンシアは車いすと電車の座席の間の床におとなしく伏せた。若い女性から「かわいい」という声も。審査役の阪急電鉄職員は「迷惑をかけるようなこともなく、おとなしくしていた。合格点と言えるでしょう」。
 同アカデミーの設立総会は医師や獣医師らが中心になって準備。事務局長の高柳友子医師は「団体間の調整は大変だが、米国を参考にして五年後程度をめどに基準をまとめ、国などにも協力を求めていきたい」と話している。

【写真説明】木村佳友さんと一緒に阪急電車に試乗した介助犬「シンシア」=4日午後0時15分すぎ、兵庫県宝塚市で

★★ 7月 5日 朝日新聞(東京版)・朝刊★★

介助犬への理解、もっと広めたい きょう団体設立講演会 /東京

 手足の不自由な人と生活をともにし、物を拾ったり、体を支えるつえ代わりとなる犬を「介助犬」という。欧米では現在、五千頭の介助犬が障害者の自立を助けているが、日本はまだ数が少なく、盲導犬に比べて一般の理解も低い。介助犬をもっと広めようと、医療関係者らが呼びかけ「日本介助犬アカデミー」が発足した。設立記念講演会が五日午後二時、港区の赤坂区民センターで開かれる。
 兵庫県宝塚市の木村佳友さん(三八)は、車いすの生活だが、在宅でコンピューター関係の仕事をしている。床に落としたフロッピーディスクを拾ったり、コードレス電話器を取るなどの動作を介助犬シンシアが助けてくれる。床の物を拾うのは車いすの生活者にとって転倒の危険をともなうが、わざわざ人を呼ぶのは気が引けるとき、介助犬は頼もしいパートナーだ。
 「医療上も効果が大きい」と、東京医科歯科大の高柳友子医師(医動物学)は指摘する。
 人間の介助者と違い、障害者側が気兼ねをしないですむ。また障害者自身が動物を世話することで、自尊心や張り合いも出る。
 今年五月、大野由利子代議士が介助犬の認定制度や普及について、質問主意書で国の見解をただした。国は「介助犬の有効性が明確でなく、盲導犬と同様の取り扱いは困難」と答えたが、「今後、必要があれば調査研究費の助成も検討する」と含みも持たせる。
 会では、アカデミー理事もつとめる木村さんがシンシアを伴って講演する。入会などの問い合わせは同アカデミー事務局(電話3473・7620)へ。

写真説明】木村さんに新聞を取ってくる介助犬シンシア

★★ 7月 5日 神戸新聞・朝刊★★

◎介助犬シンシア 東京へ大きな旅/宝塚の木村さんと初の鉄道試乗

 兵庫県でただ1頭の介助犬で、宝塚市の会社員、木村佳友さん( 38)の車いす生活を支える「シンシア」が4日、阪急やJR新幹 線などを乗り継ぎ、初めての鉄道の旅に出発した。
 東京で開かれる「日本介助犬アカデミー」の設立総会に出席する 木村さんに同伴するため。盲導犬のように法的な裏付けがなく、鉄 道の旅は難しかったが、事前に鉄道3社の面接を受け、乗車を認め られた。しかし今回は、あくまでも安全性をチェックするための「 試乗」という。
 この日、シンシアは阪急中山駅の改札を通り、電車内へ木村さん を先導し終えると、ドアの隅でじっとお座り。誠実な介助ぶりに、 電鉄関係者は「人間よりも落ち着いてますよね」。JR新大阪駅で は、ホーム白線の内側でじっと待機。入ってきた東京行き「のぞみ 」に乗り込み、木村さんをエスコートした。車内では、障害者専用 の小部屋に落ち着いたが、何しろ初めての試みとあって、シンシア 以上に、周辺の関係者が緊張している様子だった。
 木村さんとシンシアは東京で2泊した後、6日にまた新幹線など を乗り継いで帰る。

★★ 7月6日 毎日新聞・朝刊(大阪本紙)★★

「介助犬は体の一部」 宝塚在住の木村佳友さんがJRなど「試乗」し訴え

 体の不自由な人の世話をする「介助犬」を社会に認めてもらおうと、啓発団体「日本介助犬アカデミー」(会長、高柳哲也・奈良県立医科大教授)が5日、東京都内で設立総会を開いた。介助犬「シンシア」(雌、4歳)と兵庫県宝塚市から上京した同アカデミー理事の木村佳友さん(38)が、約200人を前に記念講演した。
 同アカデミーは、介助犬に関する調査・研究や啓発活動を目的に、医師、獣医師らが中心となって設立した。現在、介助犬は全国に数匹しかおらず、盲導犬のように法的な保護もないため、ホテルや乗り物ではペットと同じ扱いを受けている。同アカデミーは介助犬の育成団体のネットワークづくりをしながら、介助犬に関する法整備や、基準づくりを促していく。
 木村さんは、総会出席のためシンシアを伴っての乗車を鉄道会社に申請。約3カ月がかりの交渉の末、「試乗」の形で阪急電鉄とJR西日本、JR東海の乗車が認められ4日、車いすで各電車を乗り継いで上京した。猛暑でシンシアがぐったりする場面もあったが、周囲の客にほえることもなく、無事に到着した。
 在宅でコンピュータープログラマーをしている木村さんは、講演で「シンシアと暮らすようになって、外出の機会が増えたが、まだまだ介助犬連れのため制約を受ける。介助犬は私たちにとって体の一部であることを理解してほしい」と訴えた。 【野原靖】

■写真説明 介助犬シンシアとともに講演する木村さん=東京の港区赤坂区民センターで5日午後3時

★★ 7月10日 読売新聞・夕刊(大阪本社)★★

[インターネット探訪]介助犬 障害者の手足「理解して」

 床に落ちたものを拾ったり、電話の受話器を取って来てくれたり、障害を持つ人の手足となって働く「介助犬」と言われる犬がいる。盲導犬と比べればまだ数も少なく、社会的な知名度も低いが、手足に障害を持つ人にとって生活の行動の幅を大きく広げてくれている。介助犬の普及が進んでいるアメリカはもちろん、日本でも介助犬とともに暮らす人たちが、自分たちの生活についてインターネットで発信し始めた。
 アメリカ中西部の風光明美な土地、モンタナ州のホワイトフィッシュに住んでいるコリンさんは、地元の州立大学に通う20歳の女学生だ。
 「コリンズ ホーム オン ザ ネット」というページを開設し、「マイ ベスト フレンド」という雌犬、ロージーと出合ってからの喜びに満ちた生活を紹介している。ロージーは、彼女にとって、家にいる時も外出するときも常に寄り添ってくれる最高のパートナーなのだ。
 彼女は、高校生のころにせき髄を損傷する大けがをして、体にまひが残ってしまった。けがから数か月後、治療とリハビリのために、サンフランシスコへ向かった。生活をサポートしてくれる犬を探すことも目的だった。
 介助犬を養成している団体に連絡をとったところ、3年以上待たなければならないところがほとんど。そんなとき、カリフォルニア州の民間団体「Loving Paws Assistance Dogs」が18歳未満の子供だけを対象に、介助犬を派遣してくれるのを知った。すぐに担当者が来てくれた。
 とはいえ、介助犬はすぐにやってくるわけではない。親子で2、3週間に及ぶトレーニングに参加、それを完ぺきにこなしたうえ、さらに3、4か月の試行期間を経て、初めて介助犬を受け取れる。
 アメリカでは、同団体も加盟している介助犬供給団体の全国組織があり、最低のトレーニング基準が細かく決められており、すでに1000頭以上の介助犬が活躍しているといわれる。
 コリンさんは、ロージーと一緒に高校を卒業し、大学に入った。街の中ではロージーも完全に市民に受け入れられている。
 「ロージーはホワイトフィッシュ高校を卒業した最初の犬で、大学でも名誉学生みたいなものよ」とコリンさん。
 一方、日本で活躍している介助犬はまだ10頭未満といわれている。養成方法もまちまち。統一基準がないためもあって、盲導犬のような社会的認知が遅れているのが現状だ。公共交通機関やホテルの利用でも断られることが多く、利用者は余計な苦労を強いられることが多い。
 兵庫県宝塚市に住むコンピューター技術者の木村佳友さん(37)は、国内では少ない介助犬利用者の一人だ。「『介助犬』シンシア日記」というホームページを開き、介助犬への理解を訴えている。
 シンシアは雌のラブラドール犬で4歳。木村さんの家に来たときは、まだ生後50日のとき。東京の介助犬協会を通じて「介助犬」という存在を知った木村さんは、シンシアが1歳になるころから訓練に入った。ホームページでは愛くるしいシンシアの訓練の様子が、シンシアを主人公に明るく描かれている。
 今月5日、介助犬への理解を深めるための全国組織として「日本介助犬アカデミー」が設立された。木村さんもシンシアとともに、東京での設立大会に参加した。
 シンシアと参加したのは、公共交通機関に乗ってみるのも目的だった。新幹線、地元私鉄などでは、盲導犬とは違い、これまで原則として介助犬の同乗は認められていなかった。今回、交渉の結果、試乗という形で認められた。
 木村さんは「公共交通機関は今、個別に犬の適性をみている。しっかりした団体ができて、もっと介助犬が一般的に認知されるようになってほしい」と話しており、シンシアとどこへでも行ける日を待ち望んでいる。(森川 明義)

写真=介助犬のシンシアと一緒の木村さん
写真=介助犬のロージーとともに大学へ通うコリンさん(ホームページから)
写真=木村さんが開設したホームページのタイトル
                 ◇
コリンズ ホーム オン ザ ネット
 http://www.geocities.com/SouthBeach/Lights/1823/

「介助犬」シンシア日記
 http://village.infoweb.or.jp/〜cynthia/

           ………………………………
《ワールドBOARD》
 ◆アシスタンス ドッグ インターナショナル=http://www.assistance―dogs―intl.org/
 介助犬や盲導犬、さらに心身に障害のある人の心のケアを担うセラピー・ドッグ。それらを総称してアシスタンス・ドッグといい、その普及を目指すページ。犬の働き、訓練方法などについて詳しい。社会的な理解を得るための最低の訓練基準、要求水準も定めている。

 ◆ヒアリング ドッグズ フォア デフ ピープル=http://www.hearing―dogs.co.uk/
 最近、日本でも名前は知られるようになってきた聴導犬。その歴史や訓練方法を説明している英国ロンドン発信のホームページ。大人だけでなく、子供たちへの啓発にも力を入れている。聴覚障害を持つ人が、ふだん聴導犬をどのように利用しているかなど、図解で示されている。

                 ◇
<編集者から> 最近、大阪市バスでも、車いすのまま乗れる車両が増えました。だが、実際に乗り込む光景を見たのは一度だけ。10日間のニューヨークの旅では、日に何度か目撃しました。日本では、からだの不自由な人が町を歩きづらい雰囲気があるのでしょうね。介助犬の運動も大いに盛り上がってほしい。日本で10頭では、ね。

                 ◇
 取材班のアドレスは「yomiopen@po.iijnet.or.jp」、FAX(06・366・1157)でもどうぞ。このページは「ヨミウリ・オンライン」(http://www.yomiuri.co.jp/)の「関西発コーナー」でも見られます。

★★ 7月11日 産経新聞・朝刊(大阪本紙) ★★

「生活ホットポイント」介助犬 自立のための心強い見方

公的資格認められず、増えぬ同伴OKの施設
いたずら好き愛犬が訓練で主人に絶対服従

 体の不自由な人の生活を手助けする。”介助犬”。このほどその普及をめざした啓発団体「日本介助犬アカデミー」の設立総会が東京で開かれた。
 この総会で記念講演をした兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)は、約10年前に事故で車いす生活になり、三年前からラブラドール・レトリバー種のメス犬を介助犬にしている。今回初めて愛犬シンシア同伴で電車に乗り東京へ行くなど、介助犬の社会的認知を訴える活動をすすめている。
    ◇
 介助犬は、身体障害者の飼い主(レシピピエント)について歩き、物をくわえ運んだり、ドアを開けたりして手助けする。介助の訓練の他、周囲に迷惑をかけないようなしつけも必要だ。
 先進の米国は約20年の歴史があり、数十の育成団体が訓練した約千頭が活躍しているという。日本では十年近く前から育成され始め、これまでに東京や京都の民間の3団体から数頭がデビューしている。
 さて木村さんの場合、平成6年末から一年間、シンシアを東京都八王子市の「介助犬協会」に預け、介助犬になる訓練を受けさせた。シンシアは訓練前は単にいたず好きな犬だったが、訓練後は主人の指示に絶対服従に生まれ変わって戻ってきた。
 木村さんの生活はさまざまな形で変化した。譬えぼ自力で車いすに乗れないのでそれまでは自宅でも一人だけでいられなかったが、留守番はもちろん外出もできるようになった。スーパーや自販機での買い物も可能になった。
 「かっては車いすから倒れたらだれかに来てもらうまでずっとそのままだったが、今ではシンシアが電話機をもって来てくれるので、勤務先の妻らにすぐに連絡できる」
 まさに木村さんにとって介助犬の存在は自立のための心強い見方。
 ただしそのような介助犬も、その社会環境にはさまざまな問題が山積みしている。電車を含む公共機関や、劇場やホール、レストランなどでは介助犬の同伴を断られる所ほ多い。
 日本では盲導犬は公安委員会が指定した盲導犬協会が訓練し、道路交通法でも認知されているが、介助犬の方は任意団体がそれぞれ独自に資格を与え、法的根拠はない。そのため公には単なるぺットと違いがなく、入場制限されたりするわけだ。
 ちなみにシンシアなどきちんと訓練された介助犬は、外出先でひとにほえたり食べ物をねだったりしない。排尿も外出前などにあらかじめ指示に従ってすませられ、そのためにえさも限定されている。
 「介助犬はこれだけしつけられているのに、行政が公的に資格を認めていないので、回伴を許してくれる施設がなかなか増えない」と木村さんは訴える。
    ◇  今回のシンシアの電車同伴み、面接審査も含めて約3カ月も前から鉄道3社と交渉、ようやく試乗の形で実現した。また宿泊先を予約する際にも、有名ホテルでも介助犬のことを知らない所があり、難航したという。
 また経済的負担も大きい。約200万円かかる介助犬の育成は自己負担。育成団体n補助でまかなっているのが現で、盲導犬協会のように税制面での優遇や行政の補助金支給を求める関係者も多い。
 盲導犬育成を補助する厚生省は、「介助犬についてはまだその必要性を検討しているところ、資格認定について論議できる段階にない。また将来、仮に介助犬の意義を認めても、その認定が公的な基準に基づかなければ補助はできないだろう」と説明する。
 つまり介助犬を普及させるには、まず実績を積み上げ、世論を盛り上げるしかたい状況だ。
 今回、シンシアの同伴乗車を認めたJR西日本では、正式許可に前向きになっているという。
 「卵が先か鶏が先か」。そんな不毛な論議におちいらないよう、行政に迅速な対応を望みたい。(和田隆博)

(写真)木村さんに首輪をつけてもらうシンシア。どんなに時間がかかっても、じっと静止して待ち続ける=兵庫県宝塚市内

★★ 7月25日 毎日新聞・夕刊(大阪本紙) ★★

[憂楽帳]シンシア(氷置恒夫)

 介助犬「シンシア」(雌、4歳)と暮らす車いすの木村佳友さん(38)を、兵庫県宝塚市の自宅に訪ねた。「どんなことができるのですか?」と問うと、木村さんは10円玉を床に投げた。
 ソファでじっとしていたシンシアは、木村さんの「テイク」(取れ)の声に立ち上がり、歯を床でガチャガチャさせて硬貨を口に入れた。「ブリング」(運べ)で木村さんに近寄り、「ギブ」(渡せ)で舌を出した。舌先に硬貨が乗っていた。「町の中でお金を落とした時、それがたとえ500円硬貨でも、周りに人がいなければあきらめていました。今は、シンシアが拾ってくれます」。車で無人駐車場に入る時は、窓から上半身を乗り出し、機械が出す駐車券をくわえ入れてくれる。
 シンシアは5カ月間、木村さんは1カ月間、訓練士から基礎訓練を受けた後、日々の努力で今の関係を築き上げた。だが、介助犬はまだ日本に10頭足らず。統一の認定制度はなく、盲導犬と違って法の保護も、補助もない。
 厚生省は「だれかがペットを『これは介助犬』といえば通ってしまうような現段階で、その必要性がわからない」という。わからないのではなく、わかろうとしないのだ。【氷置恒夫】

★★ 7月28日 毎日新聞・朝刊(大阪本紙) ★★

シンシアにお墨付き 介助犬の乗車OK−−JR西日本と阪急

 車いすで暮らす兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)が介助犬「シンシア」(雌、4歳)=写真=と鉄道乗車ができるようJR西日本とJR東海、阪急電鉄に求めていた問題で、JR西日本と阪急は27日、「シンシアの乗車を8月1日から全路線で認める」との決定を木村さんに伝えた。JR東海との交渉はシンシアを育成した介助犬育成団体との間で行われており、認められる方向という。
 木村さんとシンシアは今年5月、JR西日本と阪急の面接を受け、今月4〜6日に東京まで往復試乗。鉄道各社がシンシアの駅や車内での様子を審査した。今後、育成団体発行の認定証を付けていれば、盲導犬と同じように乗車できる。両社とも別の介助犬の乗車申請があった場合、今回と同じように個別審査するという。
 木村さんは「時間はかかったが、OKが出てうれしい。東京往復の長旅でも、車内でじっとしていたシンシアに『ご苦労さん』と言ってやりたい」と喜んだ。 【野原靖】

★★ 7月28日 朝日新聞・朝刊(阪神版) ★★

介助犬「シンシア」電車の乗車OKです 阪急電車とJR西日本/兵庫

 阪急電鉄とJR西日本は二十七日、手足が不自由な宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(三八)が申請していた介助犬「シンシア」との電車への乗車を正式に認めた。シンシアは八月一日から盲導犬に準じた扱いを受ける。介助犬は公的な認定制度がないことなどから、交通機関の利用を断られることが多いだけに、木村さんは「盲導犬のように社会に認められる、大きなきっかけになれば。これから積極的に電車を利用します」と喜んでいる。
 シンシアは木村さんと一緒に今月四日と六日、阪急とJR西日本の電車に試験乗車して東京まで往復、両社の職員のチェックを受けた。その結果、「ほえることもなく木村さんの指示に従い、問題がなかった」(阪急)、「人込みでも興奮せず、十分な訓練を受けていることがわかった」(JR西日本)と「合格点」をもらった。
 自宅で両社の担当者から「受け入れ」の説明を受けた木村さんは、「『電車がOKなら大丈夫だろう』と、レストランやホテルでも受け入れてくれるところが増える可能性もある」と期待を込めながら、「講演などで出かけるときには電車を利用し、多くの人に介助犬への理解を訴えたい」と話していた。

【写真説明】  JR西日本と阪急電鉄の職員から、「受け入れ」の説明を受ける木村さん(左)。シンシアはテーブルの下でおとなしく耳を傾けていた=宝塚市の木村さん宅で


★★ 7月28日 神戸新聞・朝刊 ★★

宝塚の介助犬シンシアも乗車OKに(JR、阪急)
 車いす年活を送る宝塚市の会社員木村佳友さん(37)が介助犬シンシアとの同伴乗車を申請していた問道利用を認めた。兵庫県内で介助犬の同伴乗車が認められたのは初めて。木村さんは「障害者の交通手段がこれで一歩前進した」と喜んでいる。
 木村さんは11年前に交通事故で手足が不自由となり、その後シンシアが手足代わりとなり、一緒に暮らしている。
 盲導犬は法律で同伴乗車できるが、介助犬は規定がない。このため木村さんは今年7月の旅行を控え同伴乗車を申請。7月の旅行は「試乗」として認められたが、今回の正式認定で日常的な同伴乗車が可能となった。この日ほ担当者が木村さんの自宅で認定証明書を手渡し、注意事項などを説明した。JRなどによると、同伴乗車を認められたのは全国で五匹目。
 木村さんは「今回の旅行では往復とも鉄道職員が同乗していたが、シンシアには全く問題がなく、おとなしかった」と話し、「認知度がまだ低い介助犬だが、社会への受け入れが進む一歩になれば」としている。 またシンシアの鉄道旅行は神戸市兵庫区の写真家小田哲明さんが撮影し、8月4日まで京都市東山区の「京つけもの西利」祇園店で写真展が開かれている。問い合わせは同店рn75−525・5111。



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