☆☆ 『シンシア』の事が掲載された98年8月の新聞記事 ☆☆

★★ 8月3日 毎日新聞・朝刊(大阪本紙)★★

介助犬シンシアが阪急電車に初乗車

 阪急電鉄などに乗車を認められたばかりの兵庫県宝塚市中山台1、コンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)の介助犬「シンシア」(雌、4歳)が2日、阪急電車に乗り、京都市内の写真展を鑑賞する木村さんのお供をした。
 木村さんは車いす生活。今春、シンシアとの同乗を申請し、先月27日、阪急、JR西日本の全線での乗車が許可された。
 午前11時すぎ、自宅近くの阪急宝塚線・中山駅を出発。十三から京都線に乗り継いで京都・河原町駅へ。同市東山区四条通祇園町、「西利ギャラリー」を訪れ、シンシアなどを撮影した神戸市の写真家、小田哲明さん(53)の個展を鑑賞した。
 車内でのシンシアは、車いすに寄り添い、床におとなしく伏せて木村さんの指示を待った。木村さんは「シンシアも私もリラックスして乗車できました。車いすでの利用が難しい駅もまだ多いので、そちらの改善も進めばいいな、と思う」と話していた。【野原靖】

■写真説明 木村さんと一緒に電車に乗るシンシア=中村真一郎写す

★★ 8月19日 朝日新聞・朝刊(大阪本紙)★★

木村佳友さん 身障者介助犬シンシアと講演を重ねる(ひと)【大阪】

 体が不自由な人の生活を助ける介助犬は、国内で十匹に満たないという。法的な裏付けがなく、盲導犬のように自由に電車などに乗せてもらえない。そんな中でシンシアは、JRの西日本と東海、阪急電鉄の三社から乗車許可を得た。JRでは七匹目、関西の私鉄では初めてだ。
 飼い主は兵庫県宝塚市在住のコンピュータープログラマー。二十七歳の時、オートバイ事故で両手足がまひし、在宅勤務に。妻も働いており、寂しさを紛らわすペットとして五年前、ラブラドルレトリーバーのメスを飼い始めた。
 やんちゃな子犬だった。妻がテーブルの上に置いていった昼食を食べてしまう。飛びかかられて車いすごと倒されたこともある。そんな生活が一年近く続き疲れ果てたころ、雑誌で東京の育成団体を知った。約四カ月間預けた。
 しかし、戻ってきても言うことを聞かない。「犬の世話は妻に任せっきり。無視されるのは当たり前でした」
 以後、毎日散歩に連れて行き、信頼関係を培った。新聞はもちろん、電話が鳴るとコードレスホンに結んだひもをくわえて持ってくる。ドアを開ける。車いすを引っ張る。そばから離せない存在になった。
 レストランやホテルで利用を断られることもある。初めは落ち込んだが、懸命に働くシンシアが憤りを希望に変えてくれた。「介助犬を知ってほしい。障害者の社会参加の道を広げたい」。そんな思いで、一緒にどこへでも出掛ける。昨年発足した「日本介助犬アカデミー」(本部・東京)の理事にも就任した。法整備を目指し、学校などで講演を重ねている。
 講演を聞いた小学生から手紙が届いた。「あんなに働き者の犬が入っちゃだめなんて。僕がホテルの社長になって入れてあげます」。シンシアに話しても伝わらないのが「とても残念です」。 (文・写真 田村栄治)
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 きむら・よしとも 「シンシアは娘のようなもの。お陰で夫婦げんかも減りました」。38歳。

★★ 8月24日 毎日新聞・夕刊 ★★

介助犬を僕らが“介助” 障害者、木村佳友さんの講演に感動−−宝塚の男子中学生

 車いす生活を送る兵庫県宝塚市中山台1、コンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)と介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、4歳、雌)の週2回の訓練を兼ねた散歩を、近所の中学3年生の男子3人が1年以上、手伝っている。木村さんの講演に感動し、「何か力になりたい」と始めた。3人を見つけるとシンシアはしっぽを振って喜ぶ。「最初は僕らを無視していたシンシアが、徐々に受け入れてくれるのがわかり、感激した」と3人は口をそろえている。
 シンシアは約2年前から下半身が不自由な木村さんのためにコードレス電話を運んだり、ドアを開けるなど介助をしている。ストレスをためないため、屋外を走らせるなどの気分転換が必要だが、伴走できず、思い切り遊ばせることができないことが悩みだった。
 木村さんが昨年5月、自宅近くの市立中山五月台中学校で講演。その話を聞いた石川智昭君(14)、中小路俊介君(15)、田中勇毅君(14)が協力を申し出た。
 放課後、卓球部などの部活動を終えてから、近くの公園で木村さん、シンシアと待ち合わせ。全力疾走させたり、ボールを遠くへ投げ、拾って来させたりなどを約2時間続けている。
 最初、シンシアは呼びかけても反応せず、投げたボールも木村さんの元に持ち帰っていた。3カ月ほどしてようやくなついた。夏休み中も受験勉強の合間を縫って続けている。犬は人間ほど体温調整ができないため、炎天下ではスプレーで水をかけて冷やし、よだれも丹念にふいてやる。田中君は今では介助犬のトレーナーになるのが夢だ。
 介助犬は盲導犬のように法的に認知されていないが、木村さんは「1年以上も熱心に続けてくれるとは思わなかった。3人の姿に何より励まされる」と喜んでいる。【山本真也】

■写真説明 シンシアの訓練のため、木村さんの車いすを押して公園のグラウンドに向かう(左から)田中君、石川君、中小路君



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