★★ 2月 1日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★
介助犬と暮らす米国人が「基礎的調査研究班」総会で講演 介助犬シンシアも出席
厚生省から研究助成金を受けた「介助犬の基礎的調査研究班」(班長、高柳哲也・奈良県立医科大教授)の総会が31日、東京都内で開かれ、米国の介助犬団体「ナショナルサービスドッグセンター」所長で、手足の筋力が衰える多発性硬化症のため介助犬リンカーン(ゴールデン・レトリバー種、雄、1歳)と暮らすスーザン・ダンカンさん(42)が講演した。
ダンカンさんはすべての障害者が介助動物とともに活動できることを定めた「障害をもつアメリカ人法」(ADA)を紹介。介助犬シンシアと暮らすコンピュータープログラマーの木村佳友さん(38)=兵庫県宝塚市=が、アメリカの現状を質問したのに対し、「アメリカでも、ADAが制定されるまでは個人やグループが認知を求めて苦労した」と経緯を説明した。
研究班は、2001年春を目標に介助犬の育成指針やトレーナーの基準についての試案をまとめる予定。ダンカンさんは「初来日した1997年より日本の研究が進み、国民の意識が高くなっていて感激している」と話した。【山本真也、野原靖】
◆毎日新聞社は介助犬の育成や研究に役立てるシンシア基金を設けています。〒530―8251 大阪市北区梅田3の4の5、毎日新聞大阪社会事業団「シンシア基金」係(郵便振替00970・9・12891)へお寄せ下さい。通信欄に「シンシア基金」とお書き下さい。
■写真説明 ダンカンさん、リンカーン(左)と木村さん、シンシア=東京都内で31日午後
|
★★ 2月 2日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★
日米の介助犬、国会に第1歩−−衆院予算委員会の傍聴“お供”
★★ 2月 2日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★
介助犬シンシア、国会に 介助犬への理解求め「初傍聴」
日米の2頭の介助犬が1日、国会に初の一歩をしるした。兵庫県宝塚市在住のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)のシンシアと、米の介助犬団体所長のスーザン・ダンカンさん(42)のリンカーン。衆院予算委員会の傍聴のお供だ。法的な認知のない介助犬が国会の傍聴席に入ったのは初。2頭は飼い主の指示どおり、床に伏せていた。木村さんは「これが介助犬が公に認められる第一歩になればうれしい」と話した。【山本真也、野原靖】(24面に関連記事)
■写真説明 衆院予算委で床にじっとする介助犬のシンシア(手前)とリンカーン=国会で1日午後3時40分、加古信志写す
|
★★ 2月 2日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★
議員を動かした 介助犬、シンシアが国会で活躍 「法整備へ超党派で」
シンシアが、国会議員の心を動かした――。介助犬が初めて国会に入った1日、衆院第2議員会館で超党派の介助犬学習会が開かれ、超党派で介助犬の法整備を推進すべきだとの声が相次いだ。
学習会は、介助犬の研究・普及を行う日本介助犬アカデミー(会長、高柳哲也・奈良県立医科大教授)が主催。中川智子衆院議員(社民)の呼びかけで、傍聴に先立って開かれ、衆参から自民、民主、公明、共産、社民などの議員ら十数人と厚生省の官僚が参加した。兵庫県宝塚市在住の木村佳友さん(38)と介助犬シンシア▽米在住のスーザン・ダンカンさん(42)とリンカーンの2組が、盲導犬並みの認知の必要性をアピールし、硬貨やペンを拾うなど実演もした。
大島慶久参院議員(自民)は「法的整備は必要だ。省庁の垣根を取り払い、受け入れをスピードアップすべきだ」、田英夫参院議員(社民)は「法的認知に向け、超党派の議員懇談会をつくっていけばいい」とし、呼びかけ人の中川議員は「今日をスタートに、議員連盟を作るべく準備を始めたい」と決意を語った。
木村さんらはこの後、伊藤宗一郎衆院議長と面会。伊藤議長はシンシアをなでながら、「今日の出会いが歴史的な日になるよう、進んでいこう」と激励。法的整備についても「提案を受ければ、院としてもまとまるように努力したい」と前向きの意向を示した。
この日、シンシアは国会内の移動中などを含めて、30人近い国会議員と出会った。全くほえもせず、木村さんに従う姿に、議員らは感心した様子だった。 【山本真也、野原靖】
シンシア基金
毎日新聞社は介助犬の育成や研究に役立てるシンシア基金を設けています。〒530―8251 大阪市北区梅田3の4の5、毎日新聞大阪社会事業団「シンシア基金」係(郵便振替00970・9・12891)へお寄せ下さい。通信欄には「シンシア基金」とお書き下さい。
|
★★ 2月 2日 朝日新聞・朝刊 ★★
介助犬、国会に第一歩 衆院予算委員会の審議を傍聴
ドアを開けたり物を運んだりして、体が不自由な人の生活を手助けする「介助犬」が一日、車いすの飼い主とともに初めて国会に入り、衆院予算委員会の審議を傍聴した。介助犬は盲導犬と違って統一的な認定基準がなく、ペット扱いされることが多いが、議院運営委員会理事会が「障害者の社会参加を進めるうえで意義がある」と認めた。
ラブラドルレトリーバー種の「シンシア」(五歳、メス)と飼い主の兵庫県宝塚市中山台一丁目、コンピュータープログラマー木村佳友さん(三八)。米国から来日した介助犬「リンカーン」と、飼い主で米ナショナル・サービスドッグセンター所長のスーザン・ダンカンさんとともに、伊藤宗一郎衆院議長と面会した後、予算委へ。二匹は約十分間おとなしく「傍聴」した。
【写真説明】
車いすで介助犬「シンシア」とともに衆院予算委員会の傍聴に向かう木村佳友さん。左はスーザン・ダンカンさんと介助犬「リンカーン」=1日午後3時35分、国会内で
|
★★ 2月 2日 朝日新聞・朝刊(兵庫版) ★★
国会に「一歩」、介助犬シンシア 議員会館で勉強会/兵庫
「介助犬にとって大きな一歩だった」――。一日、介助犬として初めて国会を傍聴した「シンシア」の飼い主、宝塚市中山台一丁目のコンピュータープログラマー木村佳友さん(三八)は笑顔でそう話した。衆院第二議員会館で開かれた勉強会では、シンシアが木村さんに新聞を渡すと議員らの間から大きな拍手が。国会内でも、すれ違う人びとから「これが介助犬ですか」「よく訓練されてますね」と次々と声をかけられた。シンシアと木村さんらは、多様な人々を受け入れる社会の大切さを大いにアピールして、国会を後にした。
勉強会は午後一時からあり、自民、民主、共産、社民の四党の議員七人や、議員秘書、厚生省職員ら計約三十人が出席した。歩行障害があり、介助犬「リンカーン」の胴輪を左手でつかんで支えにしながら生活している、米ナショナル・サービスドッグセンター所長のスーザン・ダンカンさんも参加して、「米国では介助犬は一九七〇年代から活躍しており、一万頭以上いる。人びとに恐れられているようなケースはない」と、「介助犬先進国」の状況を報告した。
続いてシンシアが、木村さんが床に落としたペンや硬貨を拾って渡す実演をすると、出席者の間から「おーっ」という感嘆の声があがった。
木村さんは「健常者には、シンシアは取るに足らないようなことをしていると思われるかもしれないが、私にはなくてはならない存在。介助犬を認めてもらうための公的な基準づくりをお願いします」と訴えた。参加した田英夫・参院議員(社民)からは「育成の体制を整えるため、議員立法立案のための超党派の懇談会を作ってはどうか」との提案もあった。
この後、シンシアと木村さんらは国会内を見学し、自宅で犬を飼っているという伊藤宗一郎・衆院議長と懇談。民主党の鳩山由紀夫・幹事長代理は、「党として頑張ります」と約束した。
傍聴の実現に努めた中川智子代議士(社民)は「まだ社会的に認められていない介助犬が、傍聴の先例を作った意味は大きい。活躍の場を広げられるよう努力したい」と話した。
【写真説明】
国会議員らを前に、木村さん(左)のひざに前足をかけ、日ごろの活躍ぶりを披露するシンシア=東京・衆院第二議員会館で
|
★★ 2月 2日 読売新聞・朝刊 ★★
「介助犬」2頭が国会に“初登庁”
身体障害者の日常生活を手助けする「介助犬」2頭が1日、国会に現れた=写真=。国会には盲導犬が来たことはあるが、介助犬は初めて。2頭は、日本介助犬アカデミー理事・木村佳友氏=写真中央=の「シンシア」(雌、5歳)と、米・ナショナル・サービス・ドッグセンター所長・スーザン・ダンカンさん=写真左=の「リンカーン」(雄、2歳)。介助犬は盲導犬と違って社会的認知はまだ低いのが実情。木村氏は「盲導犬と同じような法的地位を得られる第一歩に」と、語っていた。
|
★★ 2月 2日 産経新聞・朝刊 ★★
「介助犬」が国会初訪問 衆院議長に支援要請
ドアを開けたり、落とした物を拾うなど、身体障害者の日常生活を手助けするよう訓練された「介助犬」二匹が一日、障害者に付き添って国会を初めて“訪問”し、衆院予算委員会などを見学した=写真。一行は伊藤宗一郎衆院議長に介助犬普及への支援を要請した。
二匹は、兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(三八)のシンシア(ラブラドル・レトリバー、雌五歳)と、米国の介助犬団体役員、スーザン・ダンカンさんの犬リンカーン(ゴールデン・レトリバー、雄二歳)。
介助犬は大勢の報道陣に取り巻かれても動じることなく、木村さんが落としたパンフレットを器用に拾って渡した。三時間の間、鳴き声は一度もあげなかった。
米国には一万匹以上の介助犬がいるとされるが、日本では十匹足らずで盲導犬のような公的支援がなく、宿泊や飲食店への立ち入りを拒否されるなど認知度は低い。木村さんは「国会訪問で介助犬が社会的マナーを身につけていることを理解してもらえたと思う」と話している。
|
★★ 2月 2日 神戸新聞・朝刊 ★★
法整備など求め「介助犬」初の国会登院/宝塚の木村さんとシンシアら/衆院議員会館での議員勉強会に参加
盲導犬などに比べ社会的に認知度の低い「介助犬」への法整備などを訴え、一日、二匹の介助犬が飼い主と国会を訪れた。国会に介助犬が入るのは初。衆院予算委を傍聴し、関係者は「介助犬の理解を深めてもらえたのでは」としている。
訪れたのは、宝塚市中山台一、コンピュータープログラマー木村佳友さん(38)とシンシア(ラブラドール・レトリバー、雌五歳)、米国シアトル市のデルタ協会全国介助犬センターのスーザン・ダンケン部長とリンカーン(ゴールデン・レトリバー、雄二歳)。
交通事故で下半身不随となり指先も自由に動かない木村さんは四年前、ペットとして飼い始めたシンシアに介助犬の訓練を受けさせた。今ではドアの開閉、受話器や新聞の受け渡し、パーキングチケットの出し入れなどで大切なパートナー。
全国では現在、約十匹の介助犬が活躍するが、正式な登録制度やデータもなく、法的位置付けもあいまい。木村さんは「同伴拒否も目立ち、介助犬の基準づくりが必要」と訴え、昨年にはJRなどと交渉し、新幹線同伴の取り組みもした。
一万六千頭が活躍する米国でも、トレーナー不足や育成費用など問題は多く、「飼い主やトレーナー、医療、行政のチームワークが大切」とダンケンさん。
この日は衆院議員会館での議員勉強会に招かれた。取材陣が殺到したが、身じろぎもせず、エレベーターでもおとなしく先導し、しつけの成果を見せた。
伊藤衆院議長も自分の飼犬の話を交え「党派を超え環境整備を進めていくべきだ。犬と人が助け合う話は心を打つ」と歓迎。木村さんは「国会見学や委員会傍聴も問題なくできた。介助犬が社会に適応できることが分かってもらえたのでは。厚生省や運輸省にも働きかけたい」と話した。
|
★★ 2月 5日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★
「介助犬は有効だ」 衆院予算委で宮下厚相答弁−−公的認知へ加速
★★ 2月 5日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★
「介助犬を乗車拒否しないよう助言する」 宮下創平厚相が確約−−衆院予算委
身体障害者をサポートする介助犬について、宮下創平厚相は4日、「障害者に有効なもの」との見解を示し、公共交通機関に対して、乗車拒否しないように厚生省から助言することを明らかにした。この日の衆院予算委員会で、中川智子議員(社民)の質問に答えた。厚相が、介助犬の必要性を公式に発言したことで、公的な認知に向けた動きが加速しそうだ。(29面に関連記事)
中川議員は、今月1日に国会傍聴した兵庫県宝塚市在住の車いす障害者、木村佳友さん(38)の介助犬シンシア(写真、ラブラドール・レトリバー種、雌、5歳)などが審議中、じっと床に伏せていたことを挙げ、「訓練を受けて、障害者の社会参加を助けている犬の必要性をどう認識しているのか」と質問。宮下厚相は「確かに体の不自由な方に有効なものだと思う」と答えた。
さらに同議員が、介助犬が公共交通機関などでペット扱いされている現状を指摘。早急な国の支援を求めたのに対し、宮下厚相は「訓練された犬が乗れないケースがあれば、(その交通機関等に)厚生省から助言したい」とした。一方、法整備については「介助犬はまだ7、8頭で、今後定着する方向であれば取り上げていきたい」とし、助成を始めたばかりの「介助犬の基礎的調査研究班」(班長、高柳哲也・奈良県立医科大学教授)の調査結果を見極めた上で検討する意向を示した。【山本真也】
|
★★ 2月 5日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★
シンシアの元気なうちに「介助犬認知、早く」 厚相答弁に木村佳友さん
「実際に介助犬を使っている人が、今、苦労している。少しでも早い公的認知を」――。宮下創平厚相が介助犬の必要性を認める答弁をした4日、自宅でインターネットの国会中継を見守っていた介助犬シンシアの飼い主、木村佳友さん(38)は、改めてこう訴えた。
木村さんは、JRや阪急電鉄などと約4カ月間、粘り強く交渉し、試乗テストも受けて、昨夏、シンシア同伴の乗車許可を得た。それだけに、宮下厚相が「乗車拒否があるようなら、厚生省から助言したい」と答弁したことには感慨深げ。
しかし、法的認知の問題で厚相が、「介助犬の基礎的調査研究班」の結論を待つ“受け身の姿勢”を示すと、顔を曇らせた。
研究班の調査期間は3年。一方、介助犬が元気に活躍できるのは10歳ぐらいまで、と言われており、現在5歳のシンシアにとっては厳しい先送り。さらに、「公営住宅に入居できない」など、法的位置づけがないために社会的受け入れが進まず、このために介助犬を持つことを断念する、という悪循環が生まれているからだ。
木村さんは「障害者の中にも『介助犬は持ってみたいが、受け入れが』という人は多い。中間報告の段階で考えてくれるとか、ぜひとも早期の公的支援をお願いしたい」と話した。 【野原靖】
介助犬シンシアをひざに抱き、インターネットで国会中継を見る木村佳友さん =兵庫県宝塚市の自宅で4日午後4時半、金子裕次郎写す
◆実際に見てほしい
京都市の市民グループ「介助犬をそだてる会」の坂根毅彦代表の話
厚相の言葉は障害者の行動範囲を広げる大きな力になる。一日も早く国に公的に認められる存在になるよう、ひとりでも多くの人に、実際に介助犬を見てもらいたい。
◆シンシア基金
毎日新聞社は介助犬の育成や研究に役立てるシンシア基金を設けています。〒530―8251 大阪市北区梅田3の4の5、毎日新聞大阪社会事業団「シンシア基金」係(郵便振替00970・9・12891)へお寄せ下さい。通信欄には「シンシア基金」とお書き下さい。
|
★★ 2月 5日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★
“シンシアの街”から もっと声あげよう 宝塚市「どんどん国を動かそう」/阪神
4日の衆院予算委員会で、介助犬の問題が取り上げられた。宝塚市に住む車いすの木村佳友さん(38)と、その行動を支える介助犬シンシア。公的認知に向けた国の法整備はしばらく先のことになりそうだが、この日、答弁に立った宮下創平厚相は「(その)有効性を認める」として、シンシアの活躍を評価した。これを聞いた地元、宝塚市の担当者は「地方自治体の立場で、できることはどんどんやっていこう。もっと、国を動かそう」と話した。
同市は、新年度から「重度身体障害者日常生活用具給付費」に介助犬のハーネス(胴輪)購入費を加える。こうした具体的な補助は全国で初めてのこと。さらに今後も、市民である木村さんに対して「利便性向上のため行政として何ができるか考えたい」と各部局の幹部職員が参加して、介助犬の公的支援や認知に向けての施策展開を話し合うプロジェクトチームの結成に向け動いている。
また、同市議会も昨年暮れ、公的認知を求める意見書を全会一致で可決、小渕恵三首相らに送付した。
正司泰一郎市長は「宝塚市は、シンシアの公共施設への立ち入りをいち早く認めるなど、積極的に取り組んできた。市民に対する啓発にも取り組み、障害者が生き生きと暮らせるバリアフリーの街づくりを目指したい」と抱負を語った。【田畑知之】
|
★★ 2月 5日 朝日新聞・朝刊(兵庫版) ★★
宮下厚相「助言してもいい」 介助犬、衆院予算委で論議に/兵庫
盲導犬以外の動物で初めて国会を「傍聴」して話題を呼んだ宝塚市の介助犬「シンシア」。四日の衆院予算委では早速、介助犬の問題が取り上げられた。宮下創平・厚相は「盲導犬と同じ扱いをするのは難しい」としつつも、「訓練された介助犬が交通機関などで乗車を断られたときは、乗れるように厚生省から(関係機関に)助言をしたい」と、介助犬の社会的な受け入れに前向きに取り組む姿勢を示した。
質問したのは、中川智子議員(社民)。中川議員は、介助犬が盲導犬のように公的に認められていないため、ペットとみなされている現状を説明。「介助犬の必要性についてどう思うか」とただした。
宮下厚相は「介助犬の写真を見て、こんな犬もいるのかと驚いた」と率直な感想を述べたうえで、「公的な資格を与えるとか、法律上の位置づけをするにはまだ検討すべき課題が多い」と指摘。同省が今年度、介助犬の実態に関する調査・研究をしている民間グループに、一千万円の助成金を出していることを説明し、「前向きな姿勢で臨んでいる」と答えた。
さらに、介助犬を同伴する際、個別に許可が求められている公共施設や交通機関などに対する働きかけについては、「訓練され、他の客に迷惑をかけないことが明らかになれば、厚生省から助言してもいい」と述べた。
「シンシア」の飼い主のコンピュータープログラマー木村佳友さん(三八)は「『助言』ではなく法的整備を進めてもらいたいという気持ちが強いが、国会で前向きな考えを聞けたことは意味がある」と評価していた。
|
★★ 2月 6日 神戸新聞・朝刊 ★★
正平町
昨年夏、二泊三日の旅で新幹線と阪急電車の乗車許可を得た、宝塚市の木村佳友さん(38)と介助犬シンシアが、今度は国会に行き、議員さんたちと勉強会を開き、予算委員会を傍聴し、衆議院の伊藤宗一郎議長に会った。なぜ、そんなことをしたのか◆日本には、現在約十匹の介助犬がいる。育成された施設も、訓練プログラムも、能力も、統一基準がなく、バラバラだ。介助犬の数も訓練施設さえも、はっきりしない。存在自体があまり知られておらず、法的な裏付けもなく、電車に乗るのも個別に許可がいる◆そこで、奈良県立医大教授の高柳哲也さんが中心になって、医師、獣医師、リハビリの専門家などで「介助犬の基礎的調査研究班」を発足させた。国内の実態をつかみ、海外の法律や育成法を調べ、統一基準をつくるためだ。約十匹という数字も、その調査から出てきた◆基準づくりは、介助犬にふさわしい資質とは何か、といったことから始まる。たとえば、むだぼえしない、温和な性質、レストランなどで物を欲しがらない、障害者の生活をサポートできる、など。そのためにどんな訓練がいるのか、どうトレーナーを育成するか。来年度中に基準をつくりあげる◆同時に、法的な後押しがいる。国会議員に、必要性をわかってもらい、介助犬がどういうものか、自分の目でたしかめてほしい。勉強会も、予算委傍聴も、そのための行動だった◆結果は伊藤議長の言葉に集約されている。「党派を超えて環境整備を進めていくべきだ」。木村さんとシンシアは、またひとつ階段を上がった。
|
★★ 2月13日 神戸新聞・朝刊 ★★
◎<TOKYOインサイド>障害者の自立助ける介助犬は今…/法的認知 国会で訴え/今なお同伴拒否の壁/急がれる環境整備/登録、養成制度なし/宝塚のシンシア
身体障害者の手足として自立を支える介助犬。盲導犬に比べ、法的な位置付けがあいまいで、社会的な認知もないままだ。未整備な育成体制もあってか、公共交通機関や飲食店、ホテルなどで同伴を拒否される例も多い。二月一日、その介助犬が初めて国会を訪れ、公的な認知を求めアピール行動した。介助犬の普及に何が必要なのか。現状をリポートする。(下土井 京子記者)
■パートナー
国会の赤じゅうたんを、車いすの木村佳友さん(38)=宝塚市=とともに踏みしめた介助犬の「シンシア」(ラブラドール・レトリバー、雌五歳)。報道陣のフラッシュに身じろぎもせず、委員会の傍聴でも床に寝そべり、声ひとつたてなかった。
交通事故で頸椎(けいつい)を損傷し、車いす生活を強いられる木村さんは、指も思うように動かない。電話の受話器を取る、落とし物を拾う、エレベーターのボタンを押す、陳列棚の物を取る…。シンシアは、木村さんの日常生活に欠かせないパートナーだ。
なのに、外出先では、同伴拒否が大きな障壁として立ちはだかる。木村さんが勤務する会社では、交渉の末、同伴が認められたものの、商業・宿泊施設では断られるケースが多い。昨年七月の上京では、私鉄やJR各社の面接を受け、乗車許可となるまで三カ月も費やした。「シンシアとともに社会参加ができると単純に思った。が、現実は違った。公的な認知がほしい」と木村さん。
■届かぬ通達
欧米では、二十年ほど前から介助犬が活躍する。日本は、数年前にようやく、民間団体やトレーナーが犬の育成を始めたばかりだ。全国で現在、十頭足らず。正式な登録制度がなく、その正確な数はつかめない。育成団体の基準やトレーナー資格もなく、「障害の程度に合った訓練が行われず、飼い主が使いこなせないケースもある。医療の一環としての育成が必要だ」と、日本介助犬アカデミー(事務局・東京)の高柳友子事務局長は指摘する。
約四十年前、国内で初めて誕生した盲導犬は今、全国に約八百三十頭を数え、国家公安委員会指定の盲導犬協会(全国八カ所)が育成している。一九七八年の道路交通法改正で法的に認知され、運輸省や厚生省などが、公共交通機関や宿泊施設、飲食店でも同伴を認めるよう通達を出した。協会への公的補助、寄付金の税控除優遇措置など、制度も整ってきた。
それでも、日本盲導犬協会(事務局・東京)は「通達が守られない例が多い。協会の運営は、主に賛助会員の年会費や寄付金に頼っており、厳しい」という。
■時期尚早
「法的な位置付けには、まだまだ検討課題が多い」―。二月四日の衆院予算委員会で、介助犬への法整備を求める中川智子衆院議員(社民)の質問に、宮下創平厚相は、そう答えた。
「公共交通機関を利用できるよう通達を」との求めにも、「JRや航空会社で個別に判断した例もある。容易に通達はできないが、ご助言は申し上げる」との答弁にとどまった。
厚生省の担当者も、「介助犬が障害者にどう役立つのか、まだ分からない。障害の程度でニーズもまちまちだ。必要ではないというのではないが、国の制度として決めるには時期尚早だろう」とする。
とはいいながら、介助犬を受け入れる動きは、すでに出ている。木村さんが住む宝塚市では、介助犬や盲導犬の公共・商業施設への出入りを認めるキャンペーンを始めた。市民団体「介助犬をそだてる会」(事務局・京都)は、会で訓練した四頭の介助犬の同伴を、JR三社や航空五社と独自に契約した。
この動きをさらに進め、航空各社は同伴の審査条件を緩和し、JR東海でも、同会のIDカードを携帯する介助犬について事前審査を免除した。「そだてる会」の坂根ゆかり事務局長は「法が整うまで、一歩ずつ階段を上るしかない。そのためにも、一般の人々の理解と協力が何よりも必要だ」と訴える。
|
★★ 2月18日 毎日新聞・朝刊(大阪版) ★★
シンシア基金に10万円寄付−−大同生命社会貢献の会 /大阪
大同生命(本社・大阪市)の社員有志でつくる「大同生命社会貢献の会」の寺垣世司夫会長らが17日、北区梅田の毎日新聞大阪社会事業団を訪れ、介助犬育成のための「シンシア基金」に10万円を寄付した。 同社は昨年12月、障害者との共生社会を理解しようと開いた社内セミナーに、介助犬シンシアと暮らす宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)を講師に招いたことがきっかけで、参加者から「介助犬育成を支援したい」との声が上がった。このため、社内で販売する「チャリティーカレンダー展」の収益の一部を寄付することにした。 寺垣会長は「大阪でのシンシア支援が刺激になり、東京本社でも難聴者を介助する『聴導犬』支援の声が上がっている。介助犬への理解を深め、継続的に見守りたい」と話した。【水谷恭史】
|
★★ 2月26日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★
[支局長からの手紙]藤原健・阪神支局長 「シンシア」が入試問題に/阪神
連載「介助犬シンシア」は、次回(27日掲載予定)で70回になります。第2部の途中から大阪の地域面にも掲載されて読者が増え、反響は大きくなるばかりです。
ご承知のように今月1日、車いすの木村佳友さん(38)とシンシアが国会で衆院予算委員会を傍聴し、伊藤宗一郎衆院議長に会って、介助犬の存在をアピール。4日にはその予算委で宮下創平厚相が中川智子議員(社民)の質問に「介助犬は障害を持つ人に有効」と答弁しました。
そしてまた、新しい動きがありました。厚相答弁が紙面に掲載された5日、東大阪市の樟蔭高校の入試(英語)でシンシアに関する問題が出題されたのです。学校に聞いてみると、木村さんとシンシアへの理解が大きなうねりのような感じで広がっていることが実感できました。
◆ ◆ ◆
何回も紹介している通り、介助犬には盲導犬のような法的な認知がなされていません。木村さんはほとんど毎週、学校や集会にシンシアを連れて出掛けては、その実情を話しています。樟蔭高校とは昨年6月、1年生を対象にした人権行事に招かれ、講演したのがきっかけで交流が生まれました。
入試問題を作成した中西貴哉先生によると、講演の後の秋の文化祭でシンシアの写真展を開いたことや介助犬問題に興味を持っている英語担当の先生もいたこともあって、長文読解に木村さんとシンシアの日常生活を題材にしたそうです。100点満点のうちの約20点を占めるこの問題を読み進めば、木村さんの訴えが理解できるようになっています。「講演と新聞で紹介されていることを参考に、英語専任の13人の教師が独自の問題を考えた結果です。この学校のことを受験生に知って欲しかったし」と中西先生。
◆ ◆ ◆
木村さんは今年6月にも、樟蔭高校で講演することになっています。昨年の講演会を主催した淡野ちさ子先生に、生徒の感想をまとめた文集を見せてもらいました。
「私は動物が好きで、介助犬や盲導犬に興味があります。(これまでは)そういう犬を『かわいそう』って思ってきました。人間は犬や猫を捨てているのに、こんなときだけ助けてもらって都合良すぎるし。でも、木村さんが『この犬たちは、好きでこういう仕事をやっているんです。好きな飼い主といつも一緒にいられるし、庭でくくられている犬よりも、その点では幸せだと思う』と話されてから、安心し、納得しました」
「シンシアが私たちに教えてくれたもの。固い信頼、命の大切さ、生きることへの希望、そして生きることの大切さ」
若い世代にこんな形で理解が深まっていくことって、素晴らしいことだと思います。
本紙社告にある通り、毎日新聞は読者モニターの方々のご意見を参考にしながら紙面づくりを進めることになりました。全国で委嘱したモニターは、200人。うち阪神支局管内は3人。これまでも、読者との双方向を目指した企画は数多くありましたが、今年から社内で開いている紙面批判を外部の識者にお願いするなど、より一層「読者と歩む」ことにしたいとの思いからです。この「手紙」にも、多くのお便りが寄せられますよう願っています。【藤原健・阪神支局長】
|