☆☆ 『シンシア』の事が掲載された99年5月の新聞記事 ☆☆

★★ 5月 3日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

[余録]「シンシア」が大学の入試に登場した。…

 「シンシア」が大学の入試に登場した。広島大教育学部の帰国子女特別選抜試験の小論文。昨年9月の本紙・記者の目「介助犬同行記」を素材に、社会支援のあり方を問うたものだ▲シンシアは雌の5歳、黒目が可愛いラブラドール・レトリバー種。兵庫県宝塚市に住む車いすのプログラマー、木村佳友さん(38)の愛犬だ。もともとはペット。昼食をかすめ取ったり、ゴミ箱を引っくり返すなど無類のいたずら好きだったが、生後11カ月からの訓練で介助犬に成長した▲得意技は数多い。テレビのリモコンやフロッピーを拾うのはもちろん、冷蔵庫を開けてボトルを取ったり、木村さんの靴下を脱がすのもOK。坂道では車いすを懸命に引っ張る。奥さんも顔負けの、かいがいしい“世話女房”ぶりに木村さんは「シンシアは心の支えでもあるんです」と目を細める▲介助犬が日本で知られるようになったのは、ここ数年のことである。盲導犬と違って、社会的にも認知されておらず、電車やホテルで断られることも珍しくない。「フクちゃん」でおなじみの漫画家、横山隆一さんの随筆に「犬もほろろ」というのがあるが、文字どおり「ケンもホロロ」の扱いだった▲だが、介助犬を見る目は大きく変わり始めている。スーパー「ダイエー」は今月から介助犬の同伴入店を認めることにしたし、地元の宝塚市では小中学生向けの副読本とビデオの主人公にシンシアを取り上げることを決めた。介助犬育成のための本紙の「シンシア基金」にも多くの善意が寄せられている▲世の中はゴールデンウイークの只(ただ)中にある。でも、ハーネス(胴輪)を付けたシンシアはとても忙しい。東奔西走して介助犬の仕事をアピールしないといけないからだ。介助犬への理解が進み、「シンシアの骨休め」が少しでも増えることを祈りたい。

★★ 5月13日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

「介助犬の受け入れ通達を」 盲導犬並み、国に要請へ−−兵庫・宝塚市

★★ 5月15日 毎日新聞・東京本紙・夕刊 ★★

交通機関などへの介助犬受け入れ「国は通達を」−−兵庫・宝塚市が要請へ

★★ 5月15日 毎日新聞・中部本紙・夕刊 ★★

交通機関などへの介助犬受け入れ「国は通達を」−−兵庫・宝塚市が要請へ

 「介助犬シンシアのまち」として障害者に優しい街づくりを進めている兵庫県宝塚市は12日、飲食店や交通機関などでの介助犬の受け入れについて、盲導犬と同様の通達を出すよう国などに働きかけていくことを決めた。全国市長会を通じて要請する。
法的に認知されている盲導犬に比べて、介助犬は入店を断られるなど課題が残っている。市は、市内の商店などに張ってもらう「介助犬受け入れOK」のワッペン約2000枚を作成する準備も始めた。
 交通機関や飲食店などでは、動物の同伴を禁止している所が多いが、盲導犬については国の通達で対象から除外されている。
 全国に介助犬は約10頭しかいないとされるが、宝塚市在住の車いすの身体障害者、木村佳友さん(38)と暮らす介助犬「シンシア」(ラブラドール・レトリバー種。雌、5歳)の活躍が知られている。市は今年3月、介助犬の公的認知と啓発のため、プロジェクトチームを発足させている。介助犬の使用者や研究者によるシンポジウムの開催も計画している。ワッペンのデザインは市民から公募する予定。

 ◇介助犬
 訓練を受け、体の不自由な人の日常生活を手助けする犬。落とし物を拾ったり、電話受話器の受け渡し、ドアや冷蔵庫を開ける、などの介助をする。盲導犬に比べ、介助犬は法的認知がなく、使用者が鉄道の乗車を希望する時は、個別に審査を受け、乗車を認めてもらっているのが実情。ホテルや飲食店への同伴も個別に認めてもらうよう要請せざるを得ず、拒否されるケースも多い。【山本真也、田畑知之】

★★ 5月13日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

「介助犬の基準づくりを」 アカデミーの高柳友子事務局長が宝塚市幹部に講義/阪神

 宝塚市で12日行われた同市の介助犬支援プロジェクトチーム会議に先立ち、介助犬研究・啓発組織「日本介助犬アカデミー」の高柳友子事務局長が、市幹部らに向けて介助犬の現状と課題について講義した。講義には介助犬シンシアと暮らす同市在住の木村佳友さん(38)も同席した。
 同アカデミーは、介助犬の有効性を研究したり、正しい理解をPRする目的で設立された学術団体で医師や獣医師、福祉関係者などが参加。海外実態の調査や介助犬の基準づくりの作業を行っている。高柳事務局長も医師で、人間と動物のかかわりについて研究している。
 高柳事務局長は「日本には介助犬が10頭ほどしかいないが、シンシアの活躍などによって理解が急速に広がり、厚生省も対応に困惑するほどになった」と現状を説明。「こうした中で最も大切なのは安心して受け入れを要求できる介助犬の基準づくり」と強調した。

◆「受け入れ整備 自治体の先頭に」
 また宝塚市に対しては「宝塚市に木村さんとシンシアが住んでいることは市の宝といってもよいほど。このチャンスを生かし、地方自治体の先頭に立って受け入れ体制を整備してほしい」と要望し、アカデミーの全面協力を約束した。
 プロジェクトチーム会議はこの日、介助犬に関する通達を定めることを、全国市長会を通じて国に求める方針を決定。各種施設や店などに入りやすくするため、盲導犬と同様に「介助犬受け入れOK」のワッペン2000枚を作る計画も発表した。【野原靖】

★★ 5月15日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

介助犬シンシアの活躍紹介 国際ソロプチミスト宝塚が京都大会でポスター展示/阪神

 「国際ソロプチミスト宝塚」(佐野寿子会長)は、介助犬の普及・啓発促進に取り組むことになり、18日に国立京都国際会館(京都市左京区)であるソロプチミストの「第13回リジョン大会」で、車いすの身体障害者、木村佳友さん(38)=宝塚市在住=を助けている介助犬シンシアの活躍をポスター展示する。
 同会は、4月の例会に木村さんとシンシアを招き、介助犬が全国で約10頭しかいないことや公的に認知されていない現状を知り、介助犬普及への協力を決めた。佐野会長は「ポスター展示は普及協力の一歩。会場で他のソロプチミストに介助犬の実情を知ってもらい、協力参加を呼びかけたい」と話している。【田畑知之】

★★ 5月15日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

木村佳友さんが芦屋市で講演 「心の支え」介助犬を語る 20日開催/阪神

 シンシアと暮らす木村佳友さん(38)が20日午後2時から、芦屋市大原町の竹園ホテルで「介助犬と生きて〜シンシアがくれた希望」と題して講演する。
 シンシアが生活だけでなく心の支えになっていることなどを訴える。道路交通法に明文化されている盲導犬と違い、公的認知が進んでいない介助犬は、全国でまだ約10頭と、数少ない。
 講演会は国際ソロプチミスト神戸東が「芦屋でも介助犬の存在を多くの人に知ってもらおう」と企画した。無料。問い合わせは、国際ソロプチミスト神戸東(0797・31・8288)。【木下洋子】

★★ 5月19日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

介助犬同伴OKの店は… ガイドづくり、宝塚市が応援 市民グループに30万円

 介助犬を支援する街づくり計画が進む兵庫県宝塚市で、市民グループが飲食店に介助犬を同伴できるかどうかなどを調査し、ガイドブックを作る運動を始めた。これを知った宝塚市は18日、製作費用30万円を補助する方針を決めた。同市の坂上元章助役は「ガイドの作製で、市民の間に受け入れの機運が高まる。今後も介助犬の活躍を支援したい」と話している。
 ガイドブック作りを進めているのは「まちづくり市民グループ『あゆみ』」。代表の中村文子さんは介護ボランティアとして活動。
同市で介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌5歳)と暮らす車いすの障害者、木村佳友さん(38)に出会い、先月、友人らと市内の飲食店の介助犬・盲導犬の受け入れ状況の調査を始めた。
 これまでに約60店から聞き取り。うち約20店が入店を認めていた。車いすの人でも入れるか、階段の段差の有無なども掲載し、今年秋ごろの発刊を目指す。
 盲導犬については、厚生省が飲食店などに対して受け入れを要請する通達を出しているが、介助犬にはこのような通達がない。介助犬同伴は、飲食店や交通機関で拒まれることが多く、木村さんも個別に許可を得て入るのが実情だ。
 宝塚市はこの日、ガイドブック製作費補助とともに、店などに張る「介助犬OK」のワッペンや、介助犬を紹介する子ども向け教材ビデオの作製などを盛り込んだ予算案を議会に提案した。【田畑知之】

★★ 5月21日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

「介助犬、もっと理解を」 木村佳友さんシンシア連れ、芦屋市で講演/阪神

 介助犬シンシアと暮らす宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)が20日、芦屋市内のホテルで「介助犬と生きて」と題して講演。約100人を前に理解と支援を訴えた。
 国際ソロプチミスト神戸東(山中里美会長)が招いた。講演で木村さんは、シンシアの介助によって生活が大きく変わった喜びを、ビデオを交え紹介。介助犬を取り巻く最近の動きについて木村さんは「地元宝塚市が全面支援してくれたり、大手スーパーのダイエーが盲導犬並みの受け入れを表明するなど、状況は大きく変わっている。しかし、社会参加は受け入れ先の良心頼みなのが実状。介助犬への理解が進むよう協力してほしい」と訴え、大きな拍手を受けていた。
 ソロプチミスト神戸東は、シンシアを育てた介助犬協会(本部・東京都)と、毎日新聞社会事業団の「シンシア基金」に「介助犬の認知のために」と、5万円ずつを寄贈した。【野原靖】

★★ 5月21日 毎日新聞・大阪本紙・夕刊 ★★

介助犬シンシアの運動ボランティア 4人の女子中学生が奮闘 卒業の先輩から引き継ぎ

 兵庫県宝塚市に住む車いすの障害者、木村佳友さん(38)の介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌、5歳)を自宅近くの公園で運動させるボランティアを地元の女子中学生4人が始めた。一昨年夏から、先輩の男子3人が続けていたが、この春、遠隔地などの高校に進学したのを機に名乗り出て、引き継いだ。宝塚市立中山五月台中学校3年生で、いずれも14歳の宮井美幸さん、渡辺恵さん、中山由奈子さん、若林喜佐さん。
 シンシアのストレス解消などのため、木村さん方近くの公園での運動が日課だ。しかし、ボールを遠くに投げて拾わせる遊びや伴走は、手足が不自由な木村さんには難しい。同中学で行った木村さんの講演を聞き、男子生徒3人が週2回、応援に来るようになった。
 今春、3人は長崎県や大阪府の高校に進学し、ボランティアを続けるのが無理に。昨年11月の授業の体験学習で木村さん宅を訪れた宮井さんらが手を上げた。
 毎週木曜日の夕方、公園で待ち合わせ、木村さんや妻美智子さん(36)の指示を受けながら、シンシアを全力疾走させたり、8の字に歩かせたり。「ステイ(待て)」「カム(来い)」などの命令を出しても、シンシアはまだ無視だ。
 先輩3人も初めは同じだった。木村さんは「男の子たちは、顔を見たらしっぽを振って大喜びするほど仲良くなった。気長にやってくれたら」と目を細める。
 4人は、乗用車で来る木村さんが、車いすを乗り降りするのも手伝う。「車いすの外出がどんなに大変か、シンシアがどんなに支えになっているかがよくわかった。先輩に負けないように頑張りたい」と話している。 【山本真也】

★★ 5月22日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

「介助犬シンシアのまち」キャッチフレーズに 宝塚市正式決定

 介助犬シンシアの活躍を通じ、障害者や高齢者にやさしい街づくり検討している兵庫県宝塚市の介助犬支援プロジェクトチームは21日、報告書をまとめた。介助犬の法的認知や基準作りを国へ働きかけるほか、「介助犬シンシアのまち」をキャッチフレーズにすることを正式に決めた。さらに、介助犬問題を障害者の人権問題ととらえ、ハード・ソフト両面でのバリアフリー(障壁を取り除くこと)を目指す。近く正司泰一郎市長に報告する。
 啓発事業は介助犬・盲導犬の項目を入れた小・中・養護学校用の副読本「みんなの問題です」の作成▽介助犬紹介ビデオの制作▽小、中学生を対象にした介助犬シンシアの作文、絵画の募集▽飲食店などに張る「介助犬同伴OK」のワッペン2000枚の作成、など。【山本真也、田畑知之】

★★ 5月22日 朝日新聞・朝刊(阪神版) ★★

介助犬に法的支援を/宝塚市のブロジェクトチ−ム
盲導犬並み特例訴え/「入店可」ワッペン作製へ


ドアを開けたり物を運んだりして、体の不自由な人の生活を手助けする介助犬の啓発方法を検討している宝塚市の「介助犬支援プロジェクトチーム」(座長=石田英司・市企画財務部長)は21日、今後の市の取り組みを報告書にまとめた。介助犬にも、盲導犬と同様の法的整備をするよう国や県などに要望していく一方で、介助犬が入店できる店頭に張るワッペンのデザインを全国から公募したり、学校の福祉読本やビデオに介助犬を登場させたりして、理解を広めていくという。
同市にはコンピューターブログラマー木村佳友さん(38)を手助けしているラブラドルレトリーバー種の介助犬「シンシア」(5歳、メス)が住んでいる。
介助犬の法制化は、県や全国の市長会などを通じて国、県に働きかけ、旅館や飲食店、鉄道などの利用で盲導犬が特例として認められているのと同様の法的支援を求めていく。
啓発活動では、店頭用の「介助犬入店可」のワッペンを二千枚つくり、市内の店舗に配布する。活動を全国に広めるため、デザインは今夏に全国から公募する予定。このほか、市内の全小中学校と養護学校に配置する福祉読本で介助犬や盲導犬を説明▽木村さんとシンシアの暮らしぶりを紹介する介助犬のビデオを制作▽啓発用パンフレットの作製▽シンシアと触れ合う場をつくり、市民から作文・絵画を募集▽介助犬に関するシンポジウムを開催−−などの事業をしていく。
石田座長は「介助犬に対する社会の動向を十分に把握し、適切な支援策を考えていきたい」と話している。

写真説明−−介助犬支援のマスコッ卜になる「シンシア」=宝塚市内で

★★ 5月22日 読売新聞・朝刊(阪神版) ★★

介助犬の待遇、盲導犬並みに

 体の不自由な人の生活をサポートする介助犬の受け入れ態勢整備を検討してきた宝塚市のプロジェクトチーム(座長、石田英司・企画財務部長)は二十一日、盲導犬並みに法的認知するよう国や県に働きかけていくことを主とした最終報告書をまとめた。また、同市内の商店などに同伴での利用を認めるよう呼びかけるなど、市民啓発を進めていくとしている。
 同市内では、コンピュータープログラマーの木村佳友さん(38)が介助犬「シンシア」とともに生活しているが、法的規定がないため、通常のペットなどと同様に扱われており、交通機関や宿泊施設利用を拒まれるケースが多かった。同市議会は昨年十二月、介助犬の公的認定と普及に関する意見書を可決。同市も今年三月、同プロジェクトチームを発足させていた。
 国、県などへは全国市長会などを通じて、法的認定や育成の基準づくりなどを要望していく。将来は盲導犬並みに、政令で障害者を助ける役割と定義し、訓練は国家公安委員会指定の施設で行うことを求めていきたいとしている。
 また、市民啓発については「介助犬のまち」を合言葉に、▽市内の小中学校、養護学校向けの福祉読本に「盲導犬・介助犬」の項目を追加▽紹介ビデオ、パンフレットを製作▽全国からワッペンのデザインを公募、同伴可能な施設、店へ掲示するなどとしている。
 石田部長は「商店連合会など業界団体を通じ、市内で同伴可能な店、施設を増やしていきたい。また、市などが主催するイベントのポスターに『介助犬、盲導犬の同伴OKです』などと明記するなど、地道に要望、啓発活動に努めたい」と話している。

★★ 5月22日 産経新聞・朝刊(阪神版) ★★

ワッペンデサインを募集/介助犬支援プロジェクト最終報告書−宝塚

 障害者をサポートする介助犬への取り組みを協議してきた宝塚市の「介助犬支援プロジエクトチーム」は21日、啓発用ワッぺンのデザインの全国募集や研究者らによるシンポジウムなどの実施を盛り込んだ最終報告書をまとめた。さらに、市主催の文化イべントに介助犬が入場できるよう検討する、としている。
同チームはこれまで、市内で介助犬「シンシア」と暮らす木村佳友さん(38)や研究組織「日本介助犬アカデミー」の高柳友子事務局長らを招いて協議。
 報告書では、今後の取り組みとして、全国市長会を通じて法的整備を国に要望する▽「シンシアのまち」を合言葉に啓発を進める―が二本柱。シンポやワッぺンデザイン募集のほか、ビデオやパンフレットづくり、学校の副読本への掲載などもPRするという。

★★ 5月22日 神戸新聞・朝刊(阪神版) ★★

宝塚市の介助犬支援プロジェクトが最終報告

★★ 5月23日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

[解説]介助犬支援プロジェクト 目標達成へ一層努力を/阪神

 「介助犬シンシアのまち」を合言葉に、21日、宝塚市の「介助犬支援プロジェクトチーム」が報告書をまとめた。市内在住の車いすの障害者、木村佳友さん(38)と介助犬シンシアの活躍に刺激されてスタートしたものの、当初は「国の認知がないのに地方自治体で何ができるのか……」という戸惑いもあった。しかし、議論を進めるうちに「シンシアは宝塚の貴重な宝。地方から全国発信する絶好のチャンス」という共通認識が生まれた。市の取り組みは道半ばだが、一連の論議は、介助犬問題にとどまらず、「自治体と住民」のあり方を考えるヒントも残す結果となった。
 報告書では、現状で可能な国への法的認知の働きかけや啓発を進めるとともに、介助犬支援から障害者、高齢者などすべての人にやさしい街づくりを、原点に戻って進めることを宣言している。障害者の身体の一部に等しい介助犬の同伴が拒まれている現状は、まさに人権侵害であるという認識があるからだ。
 木村さんと同程度の障害を持つ人は全国に約1万9000人いるとされる。それなのに、介助犬が全国でまだ10頭ほどしか普及していない事実も、社会の受け入れが不十分であることを端的に示している。
 チームは今後も「介助犬シンシアのまち」づくりを検討する。今回の報告書をめぐる議論を、一過性のものに終わらせず、目標達成まで地道に活動を続けていく努力が一層求められる。【山本真也、野原靖】

◆シンシア基金
 毎日新聞社は、介助犬の育成・研究に役立てるシンシア基金を設けています。〒530―8251 大阪市北区梅田3の4の5、毎日新聞大阪社会事業団「シンシア基金」係(郵便振替00970・9・12891)へお寄せ下さい。通信欄に「シンシア基金」とお書き下さい。

★★ 5月27日 毎日新聞・大阪本紙・夕刊 ★★

シンシア“特別講義” 関西学院大で介助実演 「障害者福祉論」

★★ 5月28日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

先生は介助犬−−関西学院大の講義で主人と一緒に登壇

 介助犬の受け入れを、車いすから訴えている兵庫県宝塚市在住の木村佳友さん(38)と、介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌5歳)が27日、関西学院大(同県西宮市)で「障害者福祉論」の講義に登壇。シンシアも介助作業を行って見せた。介助犬が大学の教壇に立つのは日本で初めてという。
 障害者の自立問題に取り組んでいる関学のニノミヤ・アキイエ・ヘンリー教授(52)が、毎日新聞の報道で木村さんとシンシアのことを知り、介助犬が障害者の自立にいかに役立っているかや、盲導犬に比べて認知されていない介助犬の置かれた現状などを学生に知ってもらおう、と木村さんに協力を求めた。
 この日、シンシアは木村さんの「テーク新聞!」の掛け声で床に置かれた新聞を口にくわえて運ぶなどした。木村さんは介助犬が日本に約10頭しかおらず、普及啓発が進んでいない現状を紹介。「自宅に閉じこもりがちだった私は、シンシアと暮らすようになって積極的に社会参加するようになった。障害者にとって介助犬は体の一部だ」と訴えた。 【田畑知之】

■写真説明 「障害者福祉論」で介助を実演する木村佳友さんとシンシア=兵庫県西宮市の関西学院大で27日、大橋公一写す

★★ 5月28日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

[支局長からの手紙]藤原健・阪神支局長 シンシアのまち/阪神

 宝塚市が「介助犬(シンシア)のまち」を宣言しました。「歌劇のまち」「アトムのまち」に、新しいキャッチフレーズが加わったのです。これには、私たちの連載「介助犬シンシア」や折々のキャンペーン記事が寄与した、と自負しています。「シンシア班」の山本真也、田畑知之、野原靖の3記者は笑顔を見せながらも、「でも、これからが正念場」と。
      ◆  ◆  ◆
 宝塚市は、シンシアの介助を必要としている車いすの木村佳友さんが市民であるところから、部局を横断して「介助犬支援プロジェクトチーム」を編成。市として独自に行うべき施策をさぐり、啓発方法などについて論議を深めてきました。「シンシアのまち」は、その象徴的な宣言です。少し硬い言い回しですが、プロジェクトチームが21日にまとめた「今後の取り組みの方向性について」を引用し、これに至った市の姿勢を紹介します。
 「高齢者、障害者を含むすべての人にやさしい街づくり――これは、障害を持つ人の『普通の(ノーマルな)市民生活』の実現を目指すというノーマライゼーションの理念に基づいて、障害を持つ人と持たない人との平等な社会参加ができる社会である。そのために、障害を持つ人をとりまく社会の課題を、障害を持つ人の側にあるのではなく、社会環境の側にあると理解し、障害を持つ人の人権の問題として、施策の推進に本市は取り組んでいるところである」
 「介助犬に関しては、盲導犬と異なり、ペット動物扱いとなっている。しかし、介助犬(シンシア)については、本プロジェクトチームの会議に木村氏と同伴した折りに観察したところ、任意の団体の訓練ではあるが、大変よく訓練されており、このことは、新聞報道によると、阪急電鉄、JR西日本、ダイエー、国会もみとめられたところである」
 「そこで、介助犬(シンシア)への支援は、介助犬という犬自身を支援するのではなく、介助犬(シンシア)と共生している障害を持つ人を支援するという視点で、すべての人にやさしい街づくりを進めるため、ハード・ソフト両面をバリアフリーにすることに取り組んでいる宝塚市政を表すものである。特に、ハード面においては、本市は県の『福祉のまちづくり条例』、『宝塚市福祉都市施設整備要綱』に基づき街づくりに取り組んできたが、もう一度、原点に戻り、障害者・高齢者を含めたすべての人にやさしい街づくりを考え、道路、施設整備は障害を持つ人の社会参加を進めるうえで最も重要だということを再認識し、一朝一夕でできることではないが、今後とも県の条例、市の整備要綱に基づき、市民の協力を得ながら街づくりを進めていくことが必要である」
 こうした認識を示したうえで、「今後の取り組み」として「(1)福祉読本『みんなの問題です』の平成12年度改定版に、『盲導犬・介助犬』の項目を追加する(2)介助犬の紹介ビデオを制作する(3)啓発用のパンフレットを作成する(4)人権教育の一環として、介助犬(シンシア)の作文、絵画を募集する(5)介助犬(シンシア)のワッペン作成(6)介助犬についてのシンポジウムの開催」を挙げています。
     ◆  ◆  ◆
 私たちは当初から「『介助犬シンシア』は、障害を持つ人の人権問題に通じる。そのためにも、シンシアを書き続けよう」と決意して今日に至っています。宝塚市という具体的な自治体が同じ考えになってきたことに喜びを感じると同時に、「今後の施策」や国の動きを見守っていきたいと思っています。
 シンシアは宝塚市の「財産」です。モノ言わぬその姿を通じて、人間が学ぶべきことがいかに多いか。そのことを感じつつ、連載はまだ続けていきます。
    ×  ×  ×
 道路標識の不思議や姉妹都市の正式な読み方を指摘した「街の?」に多くのファクスや手紙が寄せられました。ありがとうございます。今後も身近な「?」をどしどし取り上げていきますので、ご意見、よろしくお願いします。【藤原健・阪神支局長】

★★ 5月28日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

[介助犬シンシア]木村佳友さん、関西学院大で講義 公的認知、市民連携で/阪神

 介助犬シンシアを伴って、宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(38)が27日、関西学院大(西宮市)の「障害者福祉論」で特別講義。将来、福祉関係に進もうとしている学生も多く、木村さんの話とシンシアの介助ぶりに真剣な表情で目と耳を傾けた。木村さんも「障害者の社会参加の手段としての介助犬について、突っ込んだ話ができた」と手応えを感じていた。【山本真也、田畑知之、野原靖】

 特別講義は、障害者福祉論担当の同大総合政策学部、ニノミヤ・アキイエ・ヘンリー教授が木村さんの活動に理解を示し、招いた。
この日は、風雨の影響で、早朝まで暴風警報が発令され、学内規定により午前中は休講。しかし教室には約80人の学生が出席、予定通り講義が実施された。
 木村さんは車いす生活になった経緯やシンシアの訓練の様子などを説明。特に、盲導犬と違って公的な認知がない介助犬の現状や、地元宝塚市の支援などに時間を割いた。
 受講した経済学部3年、中山賢一さんは「介助犬という名前は聞いたことがあるが、てっきり盲導犬と同じような待遇を受けているものと思っていた。考えを改める」。
 毎日新聞の記事を通じ、既にシンシアのことを詳しく知っている学生も。授業を楽しみにして来たという社会学部3年、河合智美さん(21)は「シンシアは介助の仕事を楽しんでやっている事がよくわかりました」。またTシャツの「シンちゃんイラスト」が大好きという社会学部4年、豊田智絵さん(23)は、「障害者の自立のために、私たちはもっと介助犬を受け入れて、増やしていかなければならないと感じました」と話していた。
 ニノミヤ教授は「車いす用駐車場の不備などハード面のバリア(障壁)、自分と異なる者を排除しようとする心のバリア、そして法制度の不備という3点の問題が木村さんの話で浮かび上がった。市民として何ができるか考えていこう」とこの日の講義を総括した。
 同大学は車いすの学生のため、多くの建物でエレベーターやスロープが整備されている。木村さんは講義後、シンシアとキャンパスを散策したり、学生食堂で昼食を楽しんだ。

シンシア基金
 毎日新聞社は、介助犬の育成・研究に役立てるシンシア基金を設けています。〒530―8251 大阪市北区梅田3の4の5、毎日新聞大阪社会事業団「シンシア基金」係(郵便振替00970・9・12891)へお寄せ下さい。通信欄に「シンシア基金」とお書き下さい。



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