☆☆ 『シンシア』の事が掲載された99年7月の新聞記事 ☆☆

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★★ 7月 1日 毎日新聞・大阪本紙・夕刊 ★★

介助犬を国会で応援 「介助犬を推進する議員の会」の設立総会 会長に田中真紀子議員

 超党派の国会議員による「介助犬を推進する議員の会」の設立総会が1日、東京の衆院第2議員会館で開かれた。会長に田中真紀子衆院議員(自民)を選出。兵庫県宝塚市で、介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌、5歳)と暮らす車いすのコンピュータープログラマー、木村佳友さん(39)が講演し、介助犬に対する国の理解を訴えた。
 設立総会には自民、民主、公明、自由、共産、社民各党の国会議員約50人が出席。今後、国の通達などで各種施設への同伴が認められている盲導犬に比べ、法的な裏付けがない介助犬の支援について協議する。当面、社会の受け入れ態勢や介助犬育成システムの整備を目指して、法整備も視野に入れて取り組む。

 講演で木村さんは「障害者が介助犬と気楽に暮らせるように盲導犬並みの『市民権』を」と訴えた。シンシアも木村さんの指示でフロッピーを取って渡す行動を見せた。【山本真也】

■写真説明 田中真紀子議員(中央)らに迎えられる木村佳友さんとシンシア=衆院第2議員会館で1日午前10時55分、西村剛写す

★★ 7月 2日 毎日新聞・朝刊(阪神版) ★★

介助犬と暮らせる社会に “市民権獲得”を後押し 法整備へ議員の会発足/阪神

 超党派の国会議員が集い、1日発足した「介助犬を推進する議員の会」。議員64人が参加することになり、会長に選出された田中真紀子衆院議員(自民)が「形だけの会にはしたくない。良いことは政党・派閥を超えてやりましょう」と法整備に取り組む姿勢を強調した。宝塚市から、介助犬シンシアと出席した木村佳友さん(39)は「私のような障害者が当たり前に介助犬と暮らせる社会を、一日も早く実現してほしい」と期待を寄せた。【山本真也】
 衆院第2議員会館で開かれた設立総会には、鳩山由紀夫衆院議員(民主)ら約50人が出席。地元選出で事務局長に就任した中川智子衆院議員(社民)が「昨年暮れ、木村さんとシンシアに出会い、すてきな関係に心を打たれ、こうした会を呼びかけることになった。障害者と介助犬が楽しく暮らせるように国会議員の手で基盤整備をやりましょう」と呼びかけた。
 続いて、家西悟衆院議員(民主)が「介助犬の普及促進に向けて適切な法整備がなされるよう、諸施策を講じることを目的とする」などの会の規約を読み上げ、満場の拍手で承認された。
 また、出席議員の一部から「盲導犬や聴導犬など、他の介助動物を含めた取り組みもすべき」との声があがり、今後検討していくことになった。
 木村さんは約1年前、シンシアと新幹線への試乗を認められ、しっぽを踏まれるなどのテストを受けながら東京に向かった。「あの当時と比べたら、介助犬への理解は急速に進み、驚いている。これから介助犬を持つ人が同じテストを受けなくてすむように、議員さんの協力を得ながら介助犬の市民権獲得に向けて活動を続けていきたい」と話していた。

★★ 7月 2日 新潟日報・朝刊 ★★

「介助犬」を増やそう

 身障者の日常生活をサポートする「介助犬」の普及、推進を目指す国会議員の会が一日、発足し、東京の衆議院第二議員会館で設立総会が開かれた。自民、民主党など超党派議員六十四人が参加。本県選出の衆院議員、田中真紀子氏(自民)が会長に選ばれた。
 発足したのは「介助犬を推進する議員の会」。田中氏のほか、鳩山由紀夫氏(民主)、小泉純一郎元厚相らも名前を連ねた。
 介助犬は、手足などが動かない人の代わりに、電話を取ったり、戸を開けたりする訓練を受けている。盲導犬に比べ、認知度は低いのが現状だ。会にはこの二月、介助犬の「シンシア」(雌、五歳)と、初めて衆院予算委員会を傍聴した木村佳友さん(39)=宝塚市=も出席した。
 田中氏は「動物、人間が支え合っていける国こそ真の文化国家。いいことは政党、派閥を超えてやりましょう」と”与野党共闘”を強調した。会は、介助犬の受け入れ体制確立、育成システムづくりに向けて活動を進める方針。
 交通事故で車いす生活になったという木村さんは「一度は死まで考えたが、シンシアが救ってくれた」と体験を語り、「国内の介助犬はまだ十数頭。一緒に電車に乗るのも、レストランに入るのも難しい。一頭でも多くの介助犬が増えてほしい」と、訴えた。

★★ 7月 8日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

ローソンなどで介助犬同伴OK 全国8271店で−−ダイエー・グループ

 スーパーのダイエーは7日、コンビニエンスストアのローソン、外食のフォルクスを含む全国のグループ店8271店で今月19日から一斉に、介助犬の店への同伴を認めると発表した。「介助犬とは何か」という独自の基準を設け、「食品や衣料品売り場では従業員が商品を取るのを手伝う」などの対応マニュアルも作った。盲導犬に比べて法的な裏付けのない介助犬は、ペットと混同されて入店拒否に遭うケースが多く、今回のダイエーの試みは店舗などでの受け入れのモデルになりそうだ。
 マニュアルでは「障害者の日常生活をサポートするよう訓練され、他の客に危害を加えたり、公衆衛生上問題がない」などの条件を備えた犬を「介助犬」と指定。他の買い物客に理解が得られやすいように「くわえてダメージが発生した商品を元に戻さない」などの対処の仕方も示した。
 介助犬シンシアと暮らし、マニュアル作りに協力した兵庫県宝塚市の車いすの障害者、木村佳友さん(39)は、「8000を超える店にシンシアと入れるようになってうれしい。他のスーパーやコンビニにも広がれば」と期待している。【山本真也】

★★ 7月 8日 産経新聞・東京朝刊 ★★

ダイエーグループが介助犬の入店許可へ

★★ 7月 8日 東京新聞・朝刊 ★★

介助犬OK 広がる門戸 全店舗で受け入れ ダイエーグループ

 ダイエーグループは七日、身体が不自由な人の手足となり日常生活を助ける介助犬を、十九日から全国八千を超すグループすべての店舗やホテルで受け入れることを決めた。ダイエーによると大規模店で介助犬を組織的に受け入れるのは日本で初めてという。
 現在、正式に認定された介助犬は国内に十数頭しかおらず、公共交通機関や飲食店、ホテルなどへの立ち入りが厳しく規制されているのが実情。
 ダイエーはだれにも買い物がしやすい環境づくりの一環として、既に認めている盲導犬などに続き受け入れを決めた。独自に基本的な対応方法を記載したマニュアルを作成、全店舗で従業員教育を実施していく。
 ダイエーによると、介助犬受け入れ基準は(1)使用者が身体に障害がある(2)「介助犬」と書かれたコートか首輪、またはハーネスをつけている(3)他の客に向かってほえたり、店内で排せつしたりしないようしつけてある、など。
 受け入れ開始の十九日には、ダイエー碑文谷店(東京都目黒区)と宝塚中山店(兵庫県宝塚市)で介助犬のデモンストレーションを開催。宝塚中山店では日本初の介助犬使用者の木村佳友さんが、介助犬「シンシア」を連れ、実際に買い物をする様子を披露する予定。

★★ 7月 9日 毎日新聞・朝刊・阪神版 ★★

[支局長からの手紙]藤原健・阪神支局長 シンシアの写真絵本を出版/阪神

 本紙の連載「介助犬シンシア」で大半のカット写真を担当してもらっているカメラマン、小田哲明さんが写真絵本「ありがとうシンシア――介助犬シンちゃんのおはなし」=写真=を講談社から出版しました。ハードカバーで32ページ、1500円(税別)。連載で拝借した写真などが満載です。添えてある文章の漢字にはルビがふってありますので、小学校の低学年にも読めると思います。連載の「姉妹編」として、手に取っていただければ。
    ◆  ◆  ◆
 この本の「あとがき」で、小田さんはこうつづっています。
 「シンちゃんは、いつもだらだら、どこでものんびり。シンちゃんは、やさしくて、ちょっとさみしがり。シンちゃんは、遊ぶのが大好き。走るのも大好き。シンちゃんは、(飼い主の)木村(佳友)さんのお手伝いができる。シンちゃんは、会った人を幸せな気持ちにできる。なのにいつもしらんぷり、えらそうにしない。そんなシンちゃんが、ぼくは大好き! 体の不自由な人たちが、みんな楽しく生活できるように、シンちゃんの仲間がいっぱい増えてほしい。木村さん、(奥さんの)美智子さん、そしてシンちゃん、写真をいっぱい撮らせてもらってありがとう!」

 小田さんの写真館は神戸市内にあります。その入り口のガラス戸は、ちょっとのんびりしたシンシアの顔が大きく映し出される仕掛け。写真館の前に立つと、小田さんって、本当にシンシアが好きなんだなあ、と感じてしまいます。
 小田さんは、各地で写真展「木村さん家のシンちゃん」を開催。介助犬と、介助犬の助けを借りる障害者への理解を訴えています。私たちの連載に対して、読者の皆さんの支持の輪が大きく広がっているなかでの出版 だけに、私たちも自分のことのようにうれしいのです。
    ◆  ◆  ◆
 木村さんの住む宝塚市が「介助犬(シンシア)のまち」を宣言したり、超党派の国会議員が介助犬の法的・社会的認知を視野に置いた活動を始めたりしています。木村さんへの講演依頼も増え続けています。小田さんがシンシアに寄せた感情が、多くの人たちにも共有できるようになってきたのです。

 小田さんの本の中で、木村さんは「シンシアとくらして」の感想を寄稿しています。
 「僕は結婚して間のない27歳のとき、オートバイの事故で、首の骨を折ってしまい、下半身だけでなく手の指も動かなくなってしまいました。(中略)事故のあと、『この先自分の人生にはいいことなんか何もない』と考えていました。でも、シンシアと出会い外出する機会が増え、多くの人と接することで、僕の性格も前向きに変わりました。体が不自由でも悪いことばかりではないと実感できたのです。生きる力をくれたシンシアに心からありがとうといいたい。そして、これからもよろしくね、と」

    ◆  ◆  ◆
 この欄でも、シンシアと木村さんのことを何度も書いてきました。それは、読者の皆さんに最も身近な地域面の連載が自治体を具体的に動かし、国にもそのメッセージが届いてきたことを、皆さんと一緒に確認したいからです。小さく生まれた状況が大きく広がる。そんな動きを同時進行的にお届けする。新聞の果たすべき役割を、シンシアと木村さん、そして、小田さんが教えてくれたような気がします。シンシアに心からありがと う、これからもよろしくね、と私からも声をかけます。【藤原健・阪神支局長】

★★ 7月9日 毎日新聞・朝刊・阪神版 ★★

木村佳友さんにエール 盲導犬と暮らす新潟の市議、藤田芳雄さんと対面/阪神

 盲導犬オパールを連れて活動を続けている全盲の新潟県長岡市議、藤田芳雄さん(51)が8日、宝塚市役所を訪れ、地元で介助犬シンシアと生活する車いすのコンピュータープログラマー、木村佳友さん(39)と対面した。藤田さんは議会の視察で関西を訪問中。オパールは連れてこなかったが、「同じ介助犬動物と暮らす者として何が協力できるかを聞きたい」と木村さんと会うことになった。
 藤田さんは37歳で失明、1年前にオパールと暮らしてから、初めて1人で外出できるようになった。「歩行の自由を取り戻し、自信と勇気も取り戻せた」と今春、市議選に立候補し、初当選を果たした。「郵便を出すなどちょっとした外出を妻に頼まなくてもよくなったのが助かっている」と説明すると、木村さんも「シンシアが落とした物を拾ってくれるという介助は健常者が見れば遊びのように感じるかもしれない。でも僕にとっては人に頼むという精神的負担から解放してくれる大変、大きい行為なんです」と同調した。
 藤田さんも「同伴拒否」を何度か体験しており、「とにかくわかってもらおうとなるべくオパールと世間に出るようにしています。お互いに頑張りましょう」とエールを送った。
 その後、地元議会でも介助犬問題に取り組みたいと、宝塚市議会が採決した「介助犬の公的認定を求める意見書」などについて議会関係者から話を聞いた。【山本真也】

★★ 7月10日 読売新聞・東京朝刊 ★★

[取材メモ]介助犬、もしもの時に…

★★ 7月10日 読売新聞・大阪朝刊 ★★

[リビング・アイ]介助犬普及へ法的整備を 全国で約10頭 統一基準求める声

 ◆盲導犬に比べ低い認知度
 手足の不自由な人の生活を助ける「介助」犬は、一部のスーパーや公共交通機関でも同伴が認められ出したが、法的な制度に基づく盲導犬に比べれば数ははるかに少なく、認知度も低い。活躍の場を広げ、障害のある人の社会参加を進めるために、まず「介助犬とは何か」を明確にすることが必要だ。(森川 明義)

 介助犬と呼ばれる犬は全国で約10頭。兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー木村佳友さん(39)のパートナー「シンシア」はその1頭だ。
 ラブラドール・レトリバーのメスで5歳。事故で手足に障害が残り、車いすを使っている木村さんに最初はペットとして飼われていた。東京の介助犬育成団体で訓練を受け、3年前、介助犬に認定。拾う、持ってくる、取るなど約50の指示を理解し、仕事と生活を助けている。
 シンシアはどこでも行けるわけではなく、ホテルやレストランではよく入場を断られる。電車の“試乗試験”で「他の客に迷惑をかけない」と判定され、地元の私鉄や新幹線の乗車が許されるようになったのも最近のこと。
 スーパー、ダイエーは宝塚中山店でだけシンシアの入店を認めていたが、19日からは関連会社を含め全国の店舗で介助犬の受け入れを始める。
                  ◇
 盲導犬は、ほとんどの場所に入れる。なのにシンシアがだめなのは、介助犬についての規定が日本になく、法的にはペットだからだ。アメリカでは1000頭以上が活躍しているのに対し、日本では1992年ごろ育成が始まったばかり。認定もそれぞれの育成団体が独自にしていて、公的な効力はない。
 これでは、介助犬が必要な人も、受け入れる側もとまどう――と、木村さんの地元、宝塚市は今年度、独自に「認定基準」を作った。
 同市は、介助犬の表示になるハーネス(胴輪)の購入に、盲導犬と同じように補助金を出すことにし、介助犬推進プロジェクトチームも新設。市内のレストランやホテルに協力を呼び掛けるなど、介助犬を受け入れる環境づくりを目指している。木村さんは「市が公的に認めてくれた意味は大きい」と話す。
                  ◇
 京都府も今年度から、府内の介助犬5頭に登録カードを発行し、府立の施設への同伴を認めるようになった。しかし、「どんな犬を介助犬とするか」という点ではあいまいさが残り、国の基準ができるまでの暫定的な制度。こうした自治体に限らず、国の統一基準を求める声は強い。
 今月1日、超党派の国会議員で構成する「介助犬を推進する議員の会」(田中真紀子会長、64人)が発足し、木村さんもシンシアとともに招かれた。介助犬の普及に向けて適切な法的整備を推進するのが目的だ。
 事務局長の中川智子衆院議員は「民間の研究、普及団体、日本介助犬アカデミーと協力して、基準作りなど普及に向けた基盤整備に取り組んでいきたい」と話している。

 ◆宝塚市が独自に認定基準
 宝塚市の定義によると、介助犬とは「知識と経験を有するトレーナーによって、個々の障害者の生活に合わせて、日常生活を介助するように訓練された犬」。さらに公衆衛生上、安全であるように管理されていなければならない。
 認定基準の内容は次の通り。介助の内容などは、使う人の障害によって異なるため規定していない。
【公衆衛生】〈1〉狂犬病のワクチン接種(年1回)〈2〉ふん便検査や寄生虫、皮膚疾患を含む健康審査(同)〈3〉7種混合ワクチンの接種〈4〉避妊・去勢手術=以上の証明書がある。
【行動管理義務】〈1〉畜犬登録をしていること〈2〉使用者ならびに周囲の人の社会生活を妨げることがないように訓練されていること。

写真=木村さんに新聞を取ってくるのもシンシアの仕事…………………………

 ◆トレーナーの育成も大切
 介助犬が健全な形で普及するためには、認定制度はどうあるべきなのか。介助犬の研究・推進をしている民間団体、日本介助犬アカデミー事務局長で内科医の高柳友子さん(32)に聞いた。
 介助犬として認めろということは、「犬の中で特別扱いしろ」ということで、当然責任がともなう。いい加減な認定では、本来の介助犬の普及の妨げにもなりかねない。
 犬の適性、使う人の管理能力、公衆衛生上の問題をクリアしているか。これらをきちんと評価し、介助犬とは何かを決める必要がある。
 トレーナーの育成制度も大事だ。犬に関することだけでなく障害や病気の知識が必要。介助経験もあればいい。そういうものを織り込んだカリキュラムがアメリカでは始まっている。
 ちゃんとした基準を作り、責任ある訓練をし、一人の障害者の可能性を認めていくことが大切だ。

写真=高柳友子さん…………………………

 ◆シンシアの絵本と写真展
 写真・絵本「ありがとう シンシア 介助犬シンちゃんのおはなし」(32ページ、本体1500円)が講談社から出版され、記念写真展が京都市内で開かれている。
 本はシンシアがエレベーターのボタンを押したり、仕事や買い物を手伝ったりする日常の様子を描いている。小田哲明さんが写真、山本由花さんが文、太田朋さんがイラストを担当した。写真展は20日まで(14日休み)京都市下京区のジュンク堂京都店(075・252・0101)で。

★★ 7月13日 産経新聞・東京朝刊 ★★

【こどもの本】「ありがとうシンシア」 介助犬の活躍ぶり追う

 小田哲明写真 山本由花文、太田朋絵(講談社・一五〇〇円)
 介助犬は、体が不自由な人のために働いている。「働いている」といっても、人間のように時間や労力を提供してお金をもらっているわけではない。介助を必要としている人と暮らしを共にして、深い愛情でつながることで、相手の手となり足となっているのだ。
 目の不自由な人のために働く盲導犬、耳が不自由な人のために働く聴導犬と違って、介助犬はその飼い主である障害者の「できないこと」を代わりに行えるように訓練されている。そのため、一頭一頭はまちまちの「仕事」をしているわけだが、すべての介助犬が障害者の大切な「体の一部」となっていることに変わりはない。
 介助犬の歴史は一九七〇年代に米国で始まったばかり。米国内では現在、約千頭が活躍している一方、日本国内ではまだまだ珍しい存在で、十頭ほどしかいないという。しかも、その訓練する人の資格や方法が盲導犬のように決められていないため、町に出たときには、ただの「ペット」と見なされてしまうのが現状だそうだ。
 本書の主人公は、兵庫県宝塚市でコンピューターのプログラマーをしている木村佳友(よしとも)さん宅で飼われている、ラブラドール・レトリバーという種類の雌犬シンシア(五つ)。交通事故で胸から下が動かなくなってしまった木村さんのために、日夜一心同体となって「働いて」いる。そのうるわしい活躍ぶりを、ドラマチックな写真と文で追いかけたアルバム本だ。(小学初級から)文化部 宝田茂樹

★★ 7月17日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

本紙の「介助犬シンシア」報道 新聞労連大賞特別賞に

★★ 7月17日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

「介助犬シンシア」の報道 新聞労連大賞・特別賞に決定

 新聞労連が優れた記事・キャンペーンに贈る第4回新聞労連大賞の特別賞に毎日新聞阪神支局の「介助犬シンシア」報道が選ばれ、16日、表彰された。大賞には高知新聞の「検証・脳死移植」報道と西日本新聞のキャンペーン「犯罪被害者の人権を考える」が選ばれた。
 「介助犬シンシア」は、兵庫県宝塚市に住む車いすの障害者、木村佳友さん(39)とシンシアの活動を中心に、法的に認知されていない介助犬に「市民権」を、と訴えているキャンペーン。120回を超えて続いている地域面連載を軸に報道を続け、宝塚市や国が法的認知に向けて動きだした。
 選考委員からは「介助犬の市民権獲得への記者たちの意欲と熱意がにじみ出ている。人と犬との心温まる物語」と評価された。表彰を受けた藤原健・阪神支局長=写真左=は「『優しさ』と『励まし合い』という阪神大震災取材を通して学んだ記者活動の原点からキャンペーンは始まった。介助犬が市民権を得るまで続けたい」とあいさつした。 【山本真也】

★★ 7月19日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

毎日新聞懇話会 神戸市で総会開く

 近畿、北陸、中国、四国の主要な毎日新聞販売店主でつくる毎日新聞懇話会(小谷正治会長)の第85回総会が18日、神戸市のホテルオークラ神戸であった。斎藤明・毎日新聞社社長や会員ら約200人が出席し、21世紀に向けて毎日新聞の一層の発展を誓った。
 出席者全員で阪神大震災で亡くなった販売店関係者らに黙とうをささげたのに続き、小谷会長があいさつ=写真、大西達也写す。毎日新聞大阪本社管内の優れた記者活動を表彰する今年の懇話会賞が、震災で痛手を受けた市民を励ます企画記事や介助犬シンシアのキャンペーン報道を続けている社会部阪神支局の藤原健支局長に贈られた。
 また、優秀な成績を上げた販売店主らに贈られる社長賞には、次の5店5人が決まった。(敬称略)
 石田卓三(大阪府北部・池田南)▽厚主幸三(阪神東部・武庫之荘)▽山中弘志(奈良県・学園北)▽多田博一(同県・八木)▽福井隆輝(同県・西大和ニュータウン)【藤田宰司】

★★ 7月19日 朝日新聞・東京朝刊 ★★

介助犬と自由にお買い物 きょうからダイエー系列で

★★ 7月19日 朝日新聞・名古屋朝刊 ★★

国内初、介助犬受け入れ ダイエー、きょうから 【名古屋】

★★ 7月19日 毎日新聞・大阪本紙・夕刊 ★★

介助犬の同伴、スーパーOKに ダイエー系きょうから

 ダイエーは19日から、全国の系列スーパー、コンビニ店、飲食店8271店で介助犬の同伴を一斉に認めた。兵庫県宝塚市のダイエー宝塚中山店では、地元の車いすのコンピュータープログラマー、木村佳友さん(39)の買い物をシンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌、5歳)が介助するデモンストレーションがあった。
 また、中山店では、70人を超える超党派の国会議員が今月設立した「介助犬を推進する議員の会」の事務局長、中川智子・衆院議員が、店舗などで介助犬がペット扱いされて同伴を拒否されるケースが多い現状を説明。木村さんがシンシアを連れて買い物し、棚の商品を指示して取らせた=写真、大橋公一写す。食品売り場では対応マニュアルに従い、従業員に商品を取ってもらう光景も見られた。 【山本真也】

★★ 7月19日 朝日新聞・大阪夕刊 ★★

介助犬にも「いらしゃい」 ダイエー全店受け入れ 【大阪】

 大手スーパーのダイエーは十九日、系列のレストランやホテルを含む全国約八千二百のグループ全店で介助犬の受け入れを始めた。体が不自由な人の生活を支えている介助犬は、盲導犬と違ってまだ法的な認定基準がなく、ペットとみなされて店や施設から入場を断られるケースが多い。全国展開のスーパーが門戸を開放したことで、利用者らは「介助犬の市民権獲得にはずみがつけば」と期待している。

 介助犬は飼い主の指示で物をくわえて運んだり、ドアを開けたりする。全国で十数頭いるとみられ、現在民間団体や国会議員有志らが認定基準づくりなどに取り組んでいる。

 ダイエーは、兵庫県宝塚市に住むコンピュータープログラマー木村佳友さん(三九)が、介助犬「シンシア」(ラブラドルレトリーバー種、五歳)と地元の宝塚中山店で買い物をしたいと求めたことをきっかけに、今年五月から検討してきた。その結果、「介助犬と書いた首輪や胴輪を装着する」「指示以外の商品をくわえないよう訓練されている」などの独自の受け入れ基準を決めた。食料品などの売り場では従業員が手伝うと記したマニュアルも作り、全国のダイエーやローソン、フォルクスなどに通知した。
 この日、木村さんはシンシアを連れて宝塚中山店へ。シンシアは木村さんの指示でコーヒーや練り歯磨きなどをくわえ、買い物かごに移した。木村さんは「介助犬の役割が理解され、障害者が出かけやすい社会になってほしい」と話した。

【写真説明】
 スーパーで、木村佳友さんの買い物のお手伝いをする「シンシア」=19日午前、兵庫県宝塚市売布東の町のダイエー宝塚中山店で

★★ 7月19日 朝日新聞・東京夕刊 ★★

市民権へ一歩 ダイエーが全店で介助犬の受け入れ開始

★★ 7月19日 産経新聞・東京夕刊 ★★

介助犬も入店OK ダイエー、大規模店で全国初

★★ 7月19日 読売新聞・大阪夕刊 ★★

介助犬と同伴の買い物OK ダイエー全店、受け入れ 兵庫・宝塚でさっそく利用

 ダイエーがグループ全体で体の不自由な人の生活を助ける介助犬同伴の利用を受け入れることになり、兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー木村佳友さん(39)が十九日、ダイエー宝塚中山店で介助犬のラブラドール・レトリバー「シンシア」を連れて車いすで買い物をした。
 ダイエーは一九九三年から盲導犬を受け入れ、介助犬についても検討。使用者の身体に不自由がある▽ハーネス(胴輪)などを装着▽他の客に危害を与えたりしない――などの基準を設け、スーパーや系列のコンビニエンスストア、レストランなど全国八千二百七十一店で受け入れを決めた。
 木村さんはシンシアと日用品や食料品売り場などを回った。シンシアは約三十人の報道陣に戸惑った様子だったが、陳列棚から商品をくわえて運ぶなど指示通り行動し、木村さんは「どこへでも好きなものを買いにいけるので、うれしい。特にコンビニエンスストアも利用できるので便利になります」と話していた。
 介助犬は全国に約十頭いるが、盲導犬のように法的に認定されておらずペットとして扱われているため、飲食店やホテル、交通機関では同伴を断られるケースが多いという。

写真=商品をくわえて木村さんに渡す介助犬「シンシア」(19日、ダイエー宝塚中山店で)=高本雅夫撮影

★★ 7月19日 読売新聞・東京夕刊 ★★

介助犬とお買い物 ダイエーグループ全店で受け入れ 障害者の日常生活サポート

★★ 7月20日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

介助犬もお買い物−−ダイエー、8271店で入店OKに

 ダイエーは19日から、全国の系列スーパー、コンビニ店、飲食店8271店で介助犬の同伴を一斉に認めた。兵庫県宝塚市のダイエー宝塚中山店では、地元の車いすのコンピュータープログラマー、木村佳友さん(39)の買い物をシンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌、5歳)が介助するデモンストレーションがあった。
 木村さんがシンシアを連れて買い物し、棚の商品を指示して取らせた。食品売り場では対応マニュアルに従い、従業員に商品を取ってもらうなど、他の客に不快感を与えないよう配慮する光景も見られた。【山本真也】

■写真説明 シンシアを連れて買い物をする木村佳友さん=兵庫県宝塚市で19日午前、大橋公一写す

★★ 7月20日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

「介助犬公的認知に最大限努力」 貝原俊民知事、木村佳友さんに約束 /阪神

 宝塚市の車いすのコンピュータープログラマー、木村佳友さん(39)と介助犬シンシア(ラブラドール・レトリバー種、雌、5歳)が19日、神戸市中央区の県公館で、貝原俊民知事と対面した。
介助犬の公的認知に向け、県の助力を要請したのに対し、貝原知事は「介助犬の大切さを社会に認識してもらうために、最大限の努力をしていきたい」と約束した。県は「障害者福祉プラン(障害者福祉新長期計画)」に介助犬の項目を盛り込むとともに、国に先駆けて「何を介助犬とするか」という基準作りに取り組むことにしている。
 貝原知事は6月の県議会で、介助犬問題に取り組む姿勢を明らかにしており、木村さんはそのお礼を兼ねて訪問した。シンシアがフロッピーを拾う介助を実演すると、貝原知事も笑顔で拍手を送った。
 介助犬は現在、全国で十数頭いるが、県内ではシンシアだけ。木村さんは、介助犬団体がまだ大量に介助犬を育成できる体制にないことや、社会の受け入れが進まないために、介助犬を持てない人が多くいる現状を説明。「公的認知に向けて、まずは、ほえないとか病原菌を持っていないなど、安全な犬だという基準が必要。県にはこの基準作りに取り組んでいただきたい」と要望した。
 貝原知事は「みなさんの努力もあって国の検討もスピードアップしつつあるが、地方から、介助犬は大切な存在だということを実証していく必要がある」と国に先駆けた取り組みを進める方針を改めて表明した。【山本真也】

★★ 7月20日 朝日新聞・朝刊・兵庫版 ★★

介助犬認定へ指導性発揮を 木村佳友さん、知事に要望 /兵庫

 介助犬「シンシア」(五歳)を連れて、日本介助犬アカデミー理事のコンピュータープログラマー木村佳友さん(三九)=宝塚市在住=が十九日、貝原俊民知事に介助犬支援に関する要望書を手渡した。介助犬は手足の不自由な人と生活を共にし、物を拾って渡すなどつえ代わりになるが、日本では盲導犬と比べ一般の理解は低い。要望書では、厚生省などが進める介助犬の定義と認定制度づくりに地方行政としてリーダーシップを果たすことを要請、国指針ができるまでの暫定措置の検討継続などを求めている。

★★ 7月20日 読売新聞・大阪朝刊 ★★

介助犬の社会的認知求め「シンシア」が貝原俊民知事に要望=兵庫

 体が不自由な人の生活を助ける「介助犬」の社会的認知を求めて、宝塚市在住のコンピュータープログラマー木村佳友さん(39)とパートナーの「シンシア」(ラブラドルレトリバー、メス五歳)が十九日、貝原知事に「地方行政における介助犬への取り組みで、リーダーシップをとってほしい」との要望書を手渡した。
 シンシアは、物を拾うことや取って来ることなど約五十の指示を理解し、車いすの木村さんの日常生活を助けている。
 介助犬はまだ全国で十二頭しかおらず、公的な定義や認定基準もないことから法的にはペットと同じ扱い。店舗やホテルやレストランなどでは、入場を断られることも多いという。
 国会で超党派の「介助犬を推進する議員の会」(田中真紀子会長)が法的整備を進めているほか、木村さんの地元の宝塚市では、独自の認定基準を定め、市内のレストランやホテルにも理解を呼びかけている。
 木村さんは「シンシアはもはや私にとって体の一部。障害者の社会参加を進めるためにも、理解と啓発をお願いしたい」と話し、貝原知事も「盲導犬と同様の社会的認知が広がるよう努力したい」と述べた。

写真=貝原知事に要望書を渡した木村さん(左)とシンシア(県公館で)

★★ 7月21日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

[余録]19日から全国のダイエー系列のスーパー、コンビニ、飲食店で…

 19日から全国のダイエー系列のスーパー、コンビニ、飲食店で一斉に介助犬の同伴が認められた。テレビでもかいがいしく買い物を手伝う介助犬の姿が紹介されていた▲体の不自由な人を介助するように訓練された犬が介助犬である。しかし、手元の国語辞典に「介助犬」は載っていない。盲導犬育成には国の補助があり、交通機関や宿泊施設への受け入れはある程度進んでいるが、介助犬には何もない。だから辞書にも入らない▲日本に介助犬がお目見えしたのは1992年である。オートバイ事故で下半身がまひした木村佳友さんは94年、介助犬の存在を知り、ペットとして飼ったラブラドール・レトリバーの子犬シンシアを介助犬として訓練できないかと考えた▲東京の育成団体で5カ月間訓練を受けたシンシアは、やがてコンピュータープログラマーの木村さんのなくてはならないパートナーになった。落としたフロッピーを拾う、リモコンを持ってくる、新聞を運ぶ、高速道路や駐車場の自動発券機でチケットを取ってくれる▲おかげで独りでどこにでも行けるようになった。「シンシアは僕のやる気を引き出してくれます。一時は死んだほうがましだと思っていた自分をここまで支えてくれた」。木村さんはこう言って「僕にとってもシンシアは単なる道具ではありません。身体の一部なんです」▲米国の女子刑務所の介助犬育成を取材した大塚敦子さんは、犬と一体になって訓練に当たる女性の言葉を記録している。「こんな小さな犬のどこに、これほどたくさんの愛が宿っているのかしら」「犬は私にたくさんの愛をくれた。だからほかの人にもたくさんの喜びを運んでいるに違いないわ」(「犬が生きる力をくれた」岩波書店)。愛と喜びをもたらしてくれる介助犬は、日本ではいまのところ十数匹。

★★ 7月21日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

[記者の目]タカラヅカと宝塚 欲しい地元への気配り=田畑知之(阪神支局)

◇歌劇は被災者の励みに
 宝塚歌劇団が、1914(大正3)年4月の初舞台から85周年を迎えた。その本拠地、兵庫県宝塚市を担当して2年たつ。「派手な化粧をした、女性だけの劇団」と、舞台も見ずに腰が引けていた私も、最近では華麗なシーンにみせられ、すっかりファン気取りだ。阪神大震災を経て、劇団はいま、東京進出などで大きく変わろうとしている。一方、タカラヅカとともに発展した宝塚市も、震災や介助犬支援をきっかけに、新たなまちづくりへの挑戦を始めた。「すみれの花」をシンボルに、劇団と地元がもう少しうまく「共生」していく手立てはないのか。
 20人程度でスタートした歌劇団も、今や約400人の団員を抱えている。年間200万人以上の集客力を誇り、日本を代表する大歌劇団の一つとなった。宝塚のまちの発展は、タカラヅカ発展の歴史でもある。阪急電鉄は、人口数千人の寒村だった宝塚に宝塚線を敷設し、歌劇団は乗客誘致が目的だった。人気が高まり、宝塚はたおやかで文化的な雰囲気が漂う閑静な住宅街というブランドイメージを生んだ。一方、自然豊かなまちの印象は、「清く正しく美しく」をモットーとする女性だけの歌劇団にぴったり合った。歌劇団と宝塚は共通の利益があったと思う。
 しかし、タカラヅカの宝塚のまちづくりへのかかわりあいといえば、市のイベントに若手スターが顔を出す程度。歌劇団の圧倒的な存在感に対して、市が共同事業を呼びかけることもほとんどない。
 その宝塚歌劇団はいま、東京に大きく目を向けている。昨年、タカラヅカは65年ぶりに新しい組「宙(そら)組」を結成した。また、東京都千代田区のJR有楽町駅近くにある東京宝塚劇場を閉鎖し、跡地に2001年に新劇場をオープンする。5組体制で宝塚、東京の2カ所での通年公演と地方公演が可能になった。
 経営母体の阪急電鉄は宝塚歌劇で赤字が出ても寛大だったという。メセナ(社会奉仕活動)の先駆けだ。それも今は昔。現在は、企業として独立採算を求められる。歌劇団のある演出家は「商業演劇である劇団が、21世紀への生き残りを見据えた結論が、東京シフトだ」と語る。
 歌劇団は最近、今秋の中国公演を発表した。東京で客層を増やし、世界に羽ばたこうとしている。ファンとしては喜ばしい。だが、「地元にも目配りすべきではないか」とも言いたい。
 宝塚のまちも、21世紀に向けて変わろうとしている。市内で100人以上が犠牲となった阪神大震災からの復興も進む。車いすのコンピュータープログラマー、木村佳友さん(39)と介助犬シンシアが暮らしている。市は5月、「介助犬シンシアのまち」と位置づけ、高齢者や障害者が生活する時の障害(バリア)を取り除くバリアフリーのまちづくりに乗り出した。そんなまちの勢いに、宝塚歌劇も乗ってほしいのだ。
 阪神大震災はタカラヅカも襲った。当時、星組トップスターになったばかりの麻路さきさん(昨秋引退)は震災直後、95年2月の名古屋公演で、自宅が全壊したファンの女性を見つけた。「私がトップになった姿を見たくて、宝塚から駆けつけてこられたのです。その時、舞台で一生懸命演じることが、被災者を励ますことになると思い知りました」と当時、彼女は語った。
 宝塚市のある女性ファンは「震災当時のタカラヅカは、演じる側にも見る側にも緊張感があった。演者の真剣さがキラキラした夢であふれ、充実した舞台につながっていた。その舞台に私たちは励まされた」と振り返った。
 では、歌劇団がまちづくりに、どうかかわればいいのか。こんなヒントがある。今年1月、宝塚市であった「阪神大震災犠牲者を慰霊する集い」に、市民である元星組娘役トップの南風まいさんが出演し、歌劇の代表歌「すみれの花咲く頃(ころ)」を歌った。参加者には仮設住宅で長年過ごした人も多く、「歌劇は一度も見たことがない」というおばあちゃんもいた。しかし一緒にくちびるを動かす。
 宝塚市民の中には、歌劇を見たことがない人も多い。何となく敷居が高いと感じている。そんな人たちでも、タカラヅカに親しみを感じ、まちのシンボルと思っている。だから、「すみれの花……」にくちびるが動く。
 来年1月17日、阪神大震災から5年という日に、タカラヅカの舞台から、復興なった宝塚のまちにエールを送ってもらえないだろうか。震災で宝塚大劇場も大きな被害を受け、2カ月以上休演した。再興し、全国に「宝塚の元気」を発信したのが歌劇だった。
 舞台からの一言は、ファンと市民の胸に熱く届くと思う。被災地の心の支えだった歌劇は、まちづくりの精神的な支えにもなる。企業論理だけにとらわれず、より大きな視点をもってほしい。宝塚のまちに元気が出れば、舞台もより輝く。

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メールアドレスkishanome@・mbx.mainichi.co.jp
■写真説明 宝塚歌劇団の公演「ハローワンダフルタイム」のフィナーレ=懸尾公治写す

★★ 7月21日 毎日新聞・東京本紙・朝刊 ★★

[ブックエンド]犬と人間の関係の深さ

 ★「介助犬ターシャ」大塚敦子/写真・文 小学館 1300円
 ★「ありがとう シンシア 介助犬シンちゃんのおはなし」小田哲明/写真 山本由花/文 太田朋/絵 講談社 1500円
 介助犬って、どんな犬か知っていますか。靴下を脱がせる、鳴った電話を持ってくる、落としたものを拾う、学校や買い物にも付き添う……足の不自由な女の子ステファニーのために働いている犬がターシャです。介助犬の歴史は1970年代にアメリカで始まり、現在、アメリカでは約1000頭以上の介助犬が活躍しています。
 日本には約10頭ほどいますが、そのうちの1頭がシンシアです。5歳のメスのラブラドール・レトリバーで、兵庫県宝塚市の木村佳友さんの家にいます。交通事故のために手の指にも力を入れることができない木村さんの、文字どおり身体の一部となって暮らしています。いずれも、犬と人間のつながりの深さを考えさせられる本です。

★★ 7月30日 毎日新聞・本紙・朝刊 ★★

介助犬、法整備を 近畿2府4県が国に要望へ

 近畿2府4県の民生関係部長会議が29日、神戸市であり、法的に認知されていない介助犬について、国に対し共同で法整備を求めていくことを決めた。今年度の幹事役の兵庫県が来月にも厚生省に要望書を提出する。
 貝原俊民・兵庫県知事が今年6月、近畿各府県への働きかけを表明していた。要望案は「介助犬は障害者の社会参加の助けになっているが、公共交通機関等の利用制限を受け、(公的に認知されている)盲導犬と取り扱いに大きな違いが生じている」と指摘。法的な位置付けや介助犬の訓練施設への支援など国の施策を求めている。【山本真也】



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