☆☆ 『シンシア』の事が掲載された2001年9月の新聞記事 ☆☆

★★ 9月17日 毎日新聞・朝刊・福岡版 ★★

[ペン&ぺん]シンシア /北九州

 兵庫県宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さん(41)はこの5年、愛犬のシンシアと一緒に自由に外出できるようになる日を夢見てきた。シンシアは身体障害者の手足となって働く介助犬。車椅子の生活を送る木村さんにとって、なくてはならないパートナーだ。
 木村さんがシンシアと出会ったのは約7年前。オートバイ事故で手足が動かなくなり、「この先、いいことなんかない」と、投げやりになった心を慰めようと購入したのが子犬のシンシアだった。
 最初はペットとして飼っていたが、雑誌で介助犬のことを知り、東京の訓練施設に預けた。いたずら好きのシンシアだったが、訓練を受けて96年に介助犬になってからは、木村さんの言うことをよく聞くようになった。ドアを開けたり、床に落としたフロッピーを拾ったり。家で仕事をする木村さんにはシンシアなしの生活は考えられないようになった。
 そんなシンシアだが一歩外に出れば、ペットとしてしか見てもらえなかった。道交法などで認知されている盲導犬と違って、介助犬は法的に位置付けられていない。いくら介助犬だと説明してもレストランでは「ペットは困ります」と同伴入店を断られ、バスや電車などにも一緒に乗れなかった。その度に悲しい思いをした。
 1000頭以上が活躍する介助犬先進国のアメリカでは、「障害者を手助けするために訓練された動物」として法的に認められ、公共の場での同伴拒否は禁じられている。
 「日本も介助犬を認めてほしい」。木村さんは機会あるごとに、こう訴えた。決して大きな声ではないが、その訴えは徐々に共感を呼び、99年に地元の宝塚市が独自に介助犬を公的に認知。地域のスーパーや百貨店も受け入れを表明した。
 この年、国会に有志議員による「介助犬を推進する議員の会」が発足。今年5月には介助犬を「身体障害者補助犬」と位置付け、施設への同伴や社会参加を保障するための法案を今年5月にまとめた。この介助犬法案は秋の臨時国会に提案される見込みだ。
 「シンシアのお陰で外出する機会が増え、多くの人と接することで前向きな性格に変わった。シンシアにありがとうといいたい」。木村さんはシンシアとの生活をこう話す。
 障害者が不自由を感じることなく生活できるバリアフリー社会。それを支えるのは、相手を思いやる優しさだと、木村さんとシンシアは教えてくれた。【柴田種明】

★★ 9月19日 共同通信・発信 ★★

介助犬利用者の意見反映を  使用者が厚労省に要望

 身体障害者の日常生活を手助けする介助犬の使用者七人が十九日、東京・永田町の参院議員会館を訪れ、介助犬普及に向けた施策に利用者の声を反映させるよう求める要望書を厚生労働省の担当者に提出した。  要望書は、同省が近く発足させる介助犬の育成基準などを定める検討会に、介助犬利用者が委員として参加できるよう求める内容。
 真野章同省社会・援護局長は要望書を受け取り「そういった方向で検討会を発足させ、進めていきたい」と回答した。
 介助犬は国内に二十匹前後がいるとされているが、盲導犬に比べて統一された認定基準がなく、鉄道や宿泊施設での同伴が断られるなど受け入れ態勢が整っていないと指摘されている。  このため、超党派でつくる国会議員の会が、国が中心となって介助犬を育成するための法案を議員立法で提出する準備を進めている。
 使用者で日本介助犬アカデミー理事の木村佳友さん(41)=兵庫県宝塚市は「介助犬は障害者の社会参加に役立っている。環境整備を進め、障害者が介助犬を同伴する権利を認めてほしい」と話している。

★★ 9月20日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

介助犬使用者を基準検討会メンバーに 木村佳友さんらが厚生労働省に申し入れ

 介助犬シンシアと暮らす車いすの障害者、木村佳友さん(41)=兵庫県宝塚市=ら全国の介助犬の使用者が19日、厚生労働省が来月設ける「介助犬育成基準等の検討会」に使用者を加えるよう同省に申し入れた。真野章・社会援護局長は「基準は介助犬法案の核になる部分。使用者の協力は不可欠で前向きに考えたい」と答えた。
 介助犬同伴の社会的アクセスを保障する議員立法「介助犬法案」は秋の臨時国会に提出される。厚労省は介助犬の訓練や認定方法などの全国統一基準をつくるが、検討会のメンバーに介助犬の使用者が入っていなかった。
 申し入れで、木村さんは「使用者の意見を無視すれば、障害者の役に立たない基準になる恐れがある」との要望書を手渡した。 【山本真也】

★★ 9月20日 中日新聞・朝刊 ★★

熱気球

◇…身体障害者の日常生活を手助けする介助犬の使用者七人が十九日、介助犬普及に向けた施策に利用者の声を反映させるよう求める要望書を厚生労働省に提出した=写真。

 ◇…介助犬は国内に二十匹前後がいるとされている。しかし、盲導犬に比べ統一された認定基準がなく、鉄道や宿泊施設での同伴が断られるなど受け入れ態勢が整っていないと指摘されている。

 ◇…使用者で日本介助犬アカデミー理事の木村佳友さん(41)は「介助犬は障害者の社会参加に役立っている。環境整備を進め、障害者が介助犬を同伴する権利を認めてほしい」と話している。

★★ 9月22日 毎日新聞・大阪本紙・夕刊 ★★

千葉市が職員に介助犬同伴勤務を拒否 法的に認知されずと

 「介助犬と同伴で勤務したい」と訴えている千葉市職員で車椅子生活を送る山口亜紀彦さん(29)が、「介助犬は法的に認知されていない」として市から拒否され、介助犬をあきらめなければならなくなっている。議員立法「介助犬法案」が27日開会の臨時国会に提出され、介助犬を法的に認めようとの動きが進む中、今月末がタイムリミットという山口さんは「市が判断を変えてほしい」と訴えている。  山口さんは23歳の時、交通事故でせき髄を損傷し、下半身がまひ。現在、同市花見川区役所市民課で働いている。3年前に介助犬育成団体に待機登録し、99年10月にパートナー候補の犬が見つかった。しかし、市は「必要性が分からない。物を落としたら拾ってあげる」などと同伴勤務を認めず、犬は他の待機者に回ってしまった。
 その後も候補犬が見つかるたびに交渉したが、許可は出なかった。今年5月、オリーブという候補犬が見つかり、申請。千葉市は介助犬シンシアが活躍する兵庫県や同県宝塚市の施策を検討し、再考しているが、結論を出していない。今月末までに同伴の許可が出ない場合、一人暮らしの山口さんは「日中、オリープの面倒を見る人がいない」として、他の待機者に譲らなければならない。
 豊田弘行・職員課長は「役所は不特定多数の市民が訪れ、犬が苦手な人もいる。法律の裏付けがあれば認めやすいのだが……」と戸惑いを隠せない。山口さんは「ずっと一緒にいてこそ介助犬。障害者は、ちょっとしたことほど周囲に頼みにくいことを理解してほしい」と話している。 【山本真也】

★★ 9月27日 毎日新聞・大阪本紙・朝刊 ★★

[デスクです]介助犬法案(藤)

◆今日、27日からの臨時国会。対米支援策をめぐる論戦の陰に隠れそうですが、この国会で「介助犬法案」も提出される予定です。介助犬、盲導犬、聴導犬を身体に障害を持つ人の補助犬とし、その育成や社会の受け入れを明文化する法案です。成立すれば、障害者の社会参加も促進されることに。
◆本紙のキャンペーンに、兵庫県宝塚市や大手スーパーのダイエーなどの先駆的な取り組みも加わって法案化まで来ました。国際的な緊張のなかで、この地味な法案の審議がどうなるか不透明の部分もあります。でも、不況対策も含め、他にも大事な法案が目白押し。その意味でも、大事な国会です。(藤)

★★ 9月30日 毎日新聞・朝刊・千葉版 ★★

介助犬同伴での勤務“ノー” 山口さん「市の判断、変えて」−−千葉市 /千葉

◇千葉市、「法的認知されていない」
 「介助犬と同伴で勤務したい」と訴えている千葉市職員で車椅子生活を送る山口亜紀彦さん(29)が、「介助犬は法的に認知されていない」として市から拒否され、介助犬をあきらめなければならなくなっている。議員立法「介助犬法案」が27日開会の臨時国会に提出され、介助犬を法的に認めようとの動きが進む中、山口さんは「市が判断を変えてほしい」と訴えている。

 山口さんは23歳の時、交通事故でせき髄を損傷し、下半身がまひ。現在、同市花見川区役所市民課で働いている。3年前に介助犬育成団体に待機登録し、99年10月にパートナー候補の犬が見つかった。しかし、市は「必要性が分からない。物を落としたら拾ってあげる」などと同伴勤務を認めず、犬は他の待機者に回ってしまった。
 その後も候補犬が見つかるたびに交渉したが、許可は出なかった。今年5月、オリーブという候補犬が見つかり、申請。千葉市は介助犬シンシアが活躍する兵庫県や同県宝塚市の施策を検討し、再考しているが、結論を出していない。今月末までに同伴の許可が出ない場合、一人暮らしの山口さんは「日中、オリーブの面倒を見る人がいない」として、他の待機者に譲らなければならない。
 豊田弘行・職員課長は「役所は不特定多数の市民が訪れ、犬が苦手な人もいる。法律の裏付けがあれば認めやすいのだが……」と戸惑いを隠せない。山口さんは「ずっと一緒にいてこそ介助犬。障害者は、ちょっとしたことほど周囲に頼みにくいことを理解してほしい」と話している。【山本真也】

■写真説明 介助犬との暮らしを望む山口亜紀彦さん(中央)。介助犬シンシアと今月19日、厚生労働省との交渉に参加した



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