木造住宅の温度・湿度調整機能は、木の役割を理解した構造・施工プランがないと発揮されない。
一般的な木造住宅とRC造住宅 一般的に木造住宅と鉄筋コンクリート住宅(RC造)との比較において温暖環境に関して
      熱容量はRC造が大きく、木造は小さい
      気密性はRC造が高く、木造は低い
      一日の平均温度の変動はRC造が小さく、木造が大きい
      冬の平均気温はRC造が高く、木造が低い
      夏の平均気温はRC造が高く、木造が低い
とされ、木造住宅は一般的にRC造に比べて温度調節の機能が劣るとされています。
それはこれまでの木造住宅が気密性が低く夏を意識して造られてきた結果とされています。
木造住宅「DM外断熱構法」 大工産の家も木造住宅です。
では上記のように温度調整機能が劣っているのでしょうか。
当社の建てる住宅は全て当地域における次世代省エネ基準を満たすものです。
RC造の住宅と比べる必要はありませんが、比較対象で言われてきた弱点はありません。
さらに新建材とビニールクロスで覆われたいわゆる木造(?)住宅とも異なります。
外断熱構法を採用することにより、内面は構造材も含め全てが現し状態で木材の特性を全て使い切ります。
木材の温度調節機能 住宅内と外部との熱の移動は2つのルートがあります。
壁・天井・床を経由するものと隙間からの空気そのものの出入りによるものです。
窓については別にふれます。
壁の熱の移動は壁材料の熱の伝え易さ(熱伝導率)と厚さで決まります。
木材の熱伝導率は0.10~0.15W/mK
コンクリートの熱伝導率 1.6W/mK
ガラスの熱伝導率 1.0W/mK
金属(鋼材)熱伝導率 53W/mK
となり、他の材料と比較して非常に小さいことがわかる。
さらに木材の熱拡散率は1.7×10の‐4乗W㎡/KJとコンクリート・ガラス・金属に比べて小さく温度の伝わる速さは小さい。
空間が材料で囲まれている時、外部温度の変化による内部温度の変化は熱拡散率に関係し
外部温度変化に対する内部の室温変動比は材料の厚さと熱拡散率から計算される。
内部温度は室温変動比=1の時外部と同じ変化を示し、0の場合は変動しない。
同じ厚さなら木材の室温変動比は、コンクリート・グラスウール・フォームポリスチレンに比べ著しく小さい。
RC造の優位さはその厚さによるものである。
調湿作用の原理 木材は湿度が上昇すれば、また温度が低下すれば吸湿し、湿度が低下し、温度が上昇すると放湿する。
住宅においては水蒸気が発生する場合、温度一定で湿度の上昇時に材料が吸湿することが湿度調整になり
温度が変動するとき、例えば温度上昇による相対湿度の低下時の木材からの放湿とが同時に起こることが湿度調整になる。
木材の含水率 木材の水分状態を見ておきましょう。
(a)は伐採後乾燥されていない状態を言う
(b)は生材を乾燥する過程で自由水を全く含まず
  最大限の結合水を含む状態を言う
(c)は生材を放置し大気中の温度・湿度と平衡状態に
  なった時を言う
  この気乾材の含水率は、樹種によらない
(d)は含水率0%の材を言う
自由水とは細胞の内胞や細胞壁中の間隙に存在
する水である
結合水は木材を構成する成分と二次的に結合し
材の寸法を変えたり強さなどの性質に影響する水

繊維飽和点は樹種によらずほぼ28~30%
気乾材の含水率は一定でなく変化する。
百葉箱内で木材を置き平均含水率を観察すると外気の湿度に連動して変化する。
一定温度で湿度だけが変化する箱の中では材が薄いほど平均含水率の変化は湿度の変化と一致する。
一定湿度で温度だけを変えると平均含水率は温度が高いときに低くなり、温度が低くなると高くなる。
つまり含水率は温度と湿度に依存し、温度が高く湿度が低いほどひくくなる。
木材が含んでいる水の量が含水率である。
含水率=(木材中の水の重さ/水を除いた木材の重さ)×100
      ((乾燥前の質量‐全乾質量)/全乾質量×100(%)
材料の含水率
吸湿等温線平衡含水率
湿度が数段階に異なる密閉容器を用意しその中に木材を入れ温度一定の条件で長時間放置すると、吸湿と脱湿とが平衡に達し
木材は一定の含水率(平衡含水率)になる。
この平衡含水率を湿度に対して目盛りグラフにしたものが吸湿等温線である。
木材の吸湿等温線 木材の平衡含水率
吸湿等温線はほとんどの樹種で共通している 温度一定で湿度が変化する場合や湿度一定で温度が変化する場合、
温度と湿度が共に変化する場合の含水率の変化を予測できる。
各地の平衡含水率
吸湿・放湿に有効な木材の厚さ 湿気は物質の寿命に影響する。
文化庁では保存施設では、床を木造床とし、内壁を25~33ミリ厚の板とすることを推奨している。
住宅の内装壁においてはビニール壁紙・布壁紙・石膏ボード・木質ボードを使った各種の壁構成からどの程度の厚みがあれば、ビニール壁紙に匹敵する
透湿抵抗を持たせることができるかが割り出されており、板張り20ミリ、合板10ミリ、パーティクルボード40ミリに相当する。
室内表し状態の木材による調湿に関しては、2棟の試作住宅において確かめられたデータが興味深い。
A棟は大壁工法、部材断面90ミリ角、居間にはサッシ枠、廻し縁、額縁、幅木以外には木質材料がない。
B棟は真壁工法、部材断面115ミリ角、梁も室内に表されている。
結果としてB棟の湿度の変動幅はA棟の半分以下であった。
これを木材の吸湿等温線を使い、両住宅の調湿能力を木材の量で表すと
     A棟居間は100g/㎥
     B棟居間は390g/㎥
であり、明らかにその差が表れている。
さらに有効な厚さに関しても試験体の表層及び中心層の含水率の比較から推定された数値がある。
     1日     3ミリ
     3日     5.2ミリ
     10日     9.5ミリ
    1ヶ月     16.4ミリ
     1年     57.3ミリ

となっている。
これから推測すると文化庁水推奨の厚さは2~4ヶ月の温湿度周期に対応していることになり、
住宅内で一時的に発生する湿気は内壁の表層部分で十分対応できることになる。
ちなみに「DM外断熱構法」における板材は全て30ミリ厚であり、床では2重張り、60ミリ厚となる。
「DM外断熱構法」の調湿性能 以上の事柄から「DM外断熱構法」の調湿機能について次のように述べることができる。
「DM外断熱構法」では、外断熱工法により、断熱材より室内側に全ての木材が存在している。
内部に合板は使用せず、木の使用量は通常の所謂木造住宅の2~3倍になる。
内部は、アカマツ・スギが表し状態であることを原則とし、内装には板材まで透湿する素材を使用している。
使用板材は全て30ミリ厚であり、床材は二重張りで60ミリ厚となる。
次世代省エネ基準に対応した高性能住宅でもあり、地球温暖化に考慮した環境効率の高い住宅である。
これからの木造住宅のあり方として、科学的性能を持つことと、日本人が育んできた木材の特性を活かした家づくりを融合させるべきであり、
人間に優しく、環境にやさしい家とはまさしく木を活かした工法であるべきである。
所謂木造住宅が、調湿作用を謳っても、木が空気に触れるか、木まで透湿可能な素材を使用しているか、湿気を蓄積できる厚さを確保しているか
短期の湿気変動に対応可能な表面積を確保できているかが問題となる。
「DM外断熱構法」が30ミリ厚の無垢材を多用していることは、木を活かし、調湿機能をを考えるとき、
一日単位での相対湿度の変動にも対応し、中長期的な変動にも対応できることの保証であり、耐久性を考える上でも大切である。
表し状態の木は香りもよく精神的にも有用であり、適度な湿度を維持する室内の空気は、体温調整を容易にし快適な気分を維持し続ける。

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