芋虫
| 彼女は5円玉の穴に毛糸を通すのが好きだった。 5円玉は50枚ずつ束ねられ、部屋のあちらこちらにぶら下がっていた。色とりどりの毛糸を通された5円玉たちは毛虫が体内に入っているようでもあり、またそれ自体も芋虫のようであった。もちろんそんなものは女の子の部屋に似つかわしくあるはずもなく銅色の芋虫たちは申し訳なさそうにその体をぶら下げていた。 しかし、5円玉の芋虫は着実にその数を増やし、まもなく10匹になろうとしていた。 10匹の5円玉の芋虫が消え、銀色の芋虫1匹になったのはそれから間もなくだった。 |