NNS 2話 2ページ目
ユーノは出されたコーヒーにも手をつけず、真っ直ぐフェイトを見上げた。
そのどこか震える瞳に睨まれたフェイトは、ぎくりとしてほんの少しあごを引いた。そうしてすずかとアリサを順々に眺めると、その二人もぎくりとしてあごをひいた。ついでに横にいた桃子にも目をやると、桃子は一瞬驚いた後、へらっと笑ってみせた。
「あー、あぁ。洗物まだ残ってたわぁ」
「え、洗物なら私がもう」
「ううん、すっごい残ってたから、私がやっちゃうわね」
桃子は慌てて奥に引っ込んでいった。
「アタシ達もほら、そろそろ。ねぇ」
「うん、そうだね」
「そんな。まだ来てちょっとしか」
「きょ、今日は忙しいのよ」
「じゃあこれ、フェイトちゃん」
すずかがカードを取り出したので、フェイトはしぶしぶレジにカードを通した。お客を困らせるわけにもいかない。
二人が出て行くと、カウンターにはユーノとフェイトだけが残された。ユーノはやっぱりコーヒーに手を出していなかった。
「ごめん。なんか帰らせちゃったみたいで」
謝ったユーノだったが、もう遅かった。フェイトはいいよと笑ってみせた。
「それで、話ってなに?」
「いやあの……、あんまり大きな声じゃ言えなくて……」
ユーノが横に目をやると、その先で桃子が顔を半分出してこちらを覗いていた。それに気づいたフェイトが声をかけると、桃子は別になんでもないとだけ言い、今度こそキッチンへ引っ込んだ。
「もう大丈夫、誰も聞いてないと思うから」
「うん」
「それでなんの……」
「なのはの」
「話……」
「なのはのことなんだ」
低い声だが、しっかりした調子だった。
フェイトはそれ以上無言になって、手の平を胸の上に置いたままぴくりとも動かなかった。ユーノもその間、声をかけることをしなかった。
「あ、仕事は……、五時に終わるから……」
フェイトが言えたのは、そのぐらいの短い言葉だけだった。
五時になって仕事が終わると、フェイトは店の裏から出て自分のバイクを押した。中型二輪の小さな青のスクーター。100ccもない。フェイトは普段これで通っている。
戻る