ピルエット上達のための覚え書き 第二章

前回の「ピルエット上達のための覚え書き」においては、以下の点について記述しましたね。
●真っ直ぐに立った姿勢を思い出す。
●パッセの位置に気をつける。
●片足で立った時こそ、身体は真っ直ぐ。
●しっかりバランスをとる。

必ずターンをする前に以上のチェックをしてみてください。
大抵の方の場合、ターンする直前まではまっすぐで綺麗な姿勢をとっているのですが、何故かターンをする瞬間になると、腰が折れたり、膝が曲がったり、視線がおちて首がうつむいてしまったりして、もっともシンプルな基礎中の基礎である「まっすぐな姿勢」というのがぶっとんでいます。この姿勢さえ崩さなければそれほどの勢いなどをつけなくても楽に1回転はできるものなんですよ!!ですから、くれぐれも、この「まっすぐな姿勢」をいかなる時にも忘れないように身体にたたき込んでおきましょう!!

さて、第二章。
●アームスはみぞおちの前で綺麗なやわらかい丸に保ちましょう。
肘が下がったり、角張ったりしているといびつな形になってしまいます。また、肘が下がっていると、自然と「ひきあげ」ができなくなってきてしまいますので、下半身の維持力も弱まります。膝とお腹にはしっかり力をいれ、上にひきあげるように気をつけながらも、腕を含む上半身はできるだけリラックスした状態を保つように心がけてください。

●アームスは勢いをつけるものではありません。プレパレーションからターンに移る段階でも、腕に力を入れる必要は一切ありません。
プレパレーションで、「さ、ターンするぞ!!」と気合いを入れすぎると、自然と捻れた形のプレパレーションになり、勢いをつけすぎてバランスが崩れてしまいます。あくまでもバランスが一番大切なのですから、バランスを崩してしまう程上半身に力を入れてしまうことは逆効果になっていまいますから注意!プレパレーションは「ふわっ」とやるのがコツなんですよ!そして、腕も「えい、やっ!!」と力むのではなく、柔らかく、優しく自分の身体を包み込むようにつけるのが大切。腕に力が入ってしまうと、本来回れるものもできなくなってしまいますから気をつけましょう。初心者がなかなかターンを上手に回れない原因のひとつは、この「上半身の不要な力み」にあります。意識的に力を抜いてリラックスしてみましょう。

●プレパレーションではきちんとパラレル4番でしっかり床をふみこむプリエが必要です。
ターンの最中はルルベです。しかし、高い位置でのルルベに身体をもっていくためには、プリエが必要になります。かかとが浮いたプリエや、おまけのように軽く膝を曲げただけのプリエでは全体中を軸足のボールの部分に移行することができません。力が足りずに後ろにバランスがかかってしまったり、逆に前方にいきすぎてしまうことが多くなってしまいます。4番プリエから、確実に軸足一本でのパッセのポジションになってバランスがとれるように練習してみましょう。きちんと、地球を踏みしめるようにプリエをし、その反動で真上に体重を引き上げるようにすることがとっても大切です。プリエは装飾的な動きではなく、次の動きにつなげるための大切な動作なのですから、適当にやるのではなく、丁寧にしっかりとプリエしてくださいね。ちなみに、一生懸命レッスンしている方なら、もうわかっていると思いますが、プリエは「曲げる」ことを目的とした動きではなく、「のばす」ことを目的とした補助的なものです。曲げることだけを意識していると体重が落ちていってしまいますので、曲げたらのばす、この両方を同じような感覚でやるようにしてみてください。

●ターンする瞬間にきちんとパッセの姿勢をとってください。これは瞬間でやること。
プリエからパッセに移る瞬間は素早くやってください。プリエそのものは丁寧に、そしてその次の瞬間には一瞬にして軸足に身体全体が乗っかるようにします。プリエからパッセへの動きがゆっくりだと、力が分散されてしまって軸が曲がってしまったり、遠心力に身体が負けてしまいます。プリエの次の瞬間は、身体がたてひとつの棒のようになるよう「きゅっ!」っとひきあげることが大切です。また、このパッセの姿勢が少しでも崩れているとせっかくとれたバランスが崩れます。ですから、パッセは鏡でチェックしなくても、毎回正しい位置に瞬間でできるように練習しましょう。回転中にパッセが離れてしまったり、パッセが崩れてしまえばターンを続けることはできなくなってしまいますよ!!

●首をしっかり切って、スポットをとりましょう。
さて、最後の重要項目。「首をきる」「スポットをとる」と一般に言いますが、一点のみを見て、回転の瞬間に首をパッっと返すことがとっても大切です。首をつけず、回転にまかせて周囲を見渡してしまうと、どこが正面なのかわからなくなってしまいますし、複数連続して回転することは不可能になってしまいます。首はそのままの状態でギリギリまで身体を回転させ、首がこれ以上捻れないというところにきたら瞬時に振り向き、同じ所を見るという動作は回転するテクニックには必須です。これを忘れてしまったら、いくらバランスを上手にとれたとしても、目が回って回転できなくなってしまいます。首をきる時には、首が床に対して垂直のままを保つようにしてください。少しでも頭が傾いたりしますと、首をきった瞬間に自分の見ている場所がずれてしまい、続けてダブルを回ったりすることができなくなってしまいます。また、この首をきる動作については、首に力を入れるのではなく、あえて首をリラックスさせ、できるだけ力をぬいた状態でねじることが大切です。首はとっても簡単に力が入りやすい箇所ですから、頑張りすぎると力が入って、肩があがってしまい、可動範囲が狭くなってきてしまいますので要注意。「首ひねる、首ひねる」と意識するよりは「一点を見る、同じとこを見る!」と意識して練習してみてください。そして一点をできるだけ長時間見るようにすれば、首をきる瞬間が早くなりますのでバランスを崩すことも少なくなりますよ。

なんだか、沢山の項目があって「やだ〜!余計にわけがわからなくなってきた〜」と悩む人もいるかもしれませんね。最後に重要なことを教えておきましょう。
●ターンは「理論」ではなく「体感」で覚えるもの。
ダンスそのものがそうですが、頭で理解したって動きにはなりません。歩いたり、走ったりする時にあなたは「次は右足を出すから左手を前に出して・・・」って考えながら動いていますか??普通の人ならば、「歩くぞ」と思えば自然と手足が自動的に動くようになっているはずです。無意識で動作ができるから歩いたり走ったりを自由に切り替えたりできるわけですよね。ダンスも同じ。だから、考えすぎて「あれをこうして、これをやって、ああして、こうして・・・」なんてやるよりも、「回るぞ」クルッ・・・という感じでやるようにするのがとっても大切です。普段無意識にやっている動きを、一度意識的にやってみるようにしてみたらわかると思います。無意識に動いていると自然にこなせることも、一度意識して動いてみるとぎこちなくなって、きちんと動けなくなります。例えば、走っている時に次ぎの瞬間右足で止まるぞ、だから左手が前になるぞと考えながらやってみてください。驚くほどできません。本来動くものは、ある程度の知識は必要だとしても、それは頭で理解する知識というよりも動作として身体が覚えるべき知識です。ですから、ダンスのテクニックについては、頭で理解し、知識を身につけようという気持ちよりも、「なんだか理解できないけど、見よう見まねでやったらできた」という身体での体験が何よりも必要になります。こうしてパソコンの前で「理論」を得ようと座っていろいろ考えるよりも、今すぐ立ち上がってバランスの練習をしたり、とにかく部屋中のものがひっくり返ったりしたとしても何度も同じ動作を繰り返して身体での感覚を身につけるようにしてみてください。大人の初心者がなかなか上達できないのも、この「頭で知識として理解しようと努力する」という部分が邪魔をしているからなのです。例え自分で「みっともないなぁ」って思ったとしても、とりあえず何度でも動いてみること、これが何よりも上達への鍵となるわけです。