私の親父は真言宗豊山派の坊主である。と言っても、私の家はお寺さんではない。話せば長いことなのだが、サラリーマンを勤め上げ、定年退職と同時に家を飛び出し行く方しれずになり、3〜4年後に突然姿を見せたと思ったらなんと頭を丸めて坊主姿となって目の前に現れたものである。家族中唖然としたのも無理はないだろう。よりにもよって……。その真相は、後日親父から聞いたのだがまあ早い話が<若い頃もっと本が読みたくて、字を書きたくて、もっと勉強がしたかったのだが、戦争があり、百姓の四男に生まれて、それどころではなかった。その頃したかった事を実現するために坊主になったのだ>という事だ。成る程、それなら坊主になるのが一番、いやはや恐れ入谷の鬼子母神だ。半世紀なんなんとする間、若い頃からの夢をずっと持ち続けているなんて、さすがに私の親父だけの事はあると感心したものだ。そして、親父が所属するは「真言宗豊山派」で、あの知る人ぞ知る佐倉宗吾郎で有名な「鳴鐘山東勝寺」通称宗吾霊堂である。その宗吾霊堂で初めて「火渡り祭」があるという事で、興味津々早速山伏を見に出かけてみることにした。

お待たせ致しました。では 「柴燈護摩火生三昧火渡り祭」(火渡り祭) について
柴燈護摩は修験者が行う屋外の護摩で、理源大師聖宝(832〜909)が始めたものと言われている。宇多天皇(867〜931)の頃、修験道の霊地大和国(奈良県)金峰山には毒蛇が多く生息していて入峰の修験者を悩ましておたので、聖宝が天皇の命を受け、毒蛇を駆除するために山中で護摩法を修したが、人煙を絶した場所であったため、修法の用材が調達できなかったので、山中の柴薪を集めて運心供養をし、毒蛇を結界して入峰行者に危害が加わらないようにしたことが、その根源とされている。そして「火渡り祭」は、仏の衆生救済の誓願によって厳修されるこの柴燈護摩に続いて行われるもので、護摩の浄火を渡って一切の罪障を焼き滅ぼすという功徳を授かる為に行われるものである。柴燈護摩の前には道場に向かって行進する「お練り」が行われる。御導師様をはじめ、錫杖を持ち、、斧、法釼、法弓などの諸役を受け持つ修験者たちが、法螺貝を吹き鳴らしながら行進し、本堂の前で勤行を行った後、道場の南方の隅に設けられた入り口に参集する。 |
(以下、式次第に沿って進行表を参照してみよう)
阿字門の儀―道場の入り口は「阿字門」と呼ばれ、門の開閉を掌る二名の阿字門先達により行われる。
大導師招待の儀―入り口で会奉行という進行役の先達に呼び出された案内役の招待先達が御導師様を出迎え、
案内する。
床堅の儀―この行は「菩提心の大地を結界し、堅固ならしめる」もので、床堅先達が御導師様の席に腰掛けて行う。
斧作法の儀―この行は「秘密神力の斧にて一切の煩悩の賊を切り払う」もので、斧先達が炉壇の北方に立ち、祈
願の後、斧を振るものである。
祭文の儀―祭文の内容は「本尊に道場への降臨を乞い、祈願の旨を奏上する」もので祭文先達により奉読される。
法弓の儀―この行は「神力加持の法弓を以って、悪魔を破る」ためのもので、法弓先達が祈願の後、東、西、南、 北の四方と中央より炉に矢を放ち、道場を清める。
法釼の儀―この行は「諸々の邪気悪霊を切り払い、降伏し、正道に赴かしめる人聖不動明王の大功徳力」を示す もので法釼先達が祈願の後、炉壇の南方にて剱を振る。
閼伽の儀―この行は「清浄の大慈悲の水を注いで、衆生の心地を潤す」もので、閼伽先達二名が炉壇の両側に 立って行う。
※参考文献 真言宗豊山派 千葉県第四号宗務支所 第28回 |
| この後、会奉行の「点火」の合図で、閼伽先達二名が祭壇の御本尊様の浄火をともした松明を一本ずつ持ち、炉壇に点火する。火が燃えさかる中、太鼓に合わせて観音経、般若心経が唱和される。護摩の炎は天空を焦がすほど燃え上がる。この間、御導師様は獅子座にて「入木」を火中に投じ、炉壇を加持される。そして、炎が白煙に変わり下火になる頃、炉がならされて火渡りの道が整えられていく。そして、再び会奉行のかけ声でいよいよ「火生三昧」つまり「火渡り」の開始である。山伏姿の御坊達がまず渡っていく。見ている方がヒヤヒヤしながら奇声を発している。いくら道が作ってあるとはいえ、それはそこ真っ赤になった炭火の上を歩くのだ。見ているとなんだか神聖な気持ちになっている自分に気づき、周囲はと見るとやはりそれなりの表情をしているのも面白い。一心に経を唱えている人もいる。10人近くの御坊達が渡り終わると、いよいよ一般参加の檀信徒の方々の番だ。さすがに皆大分高齢者が多くちょっと心配だったが、神仏のご加護か200名近くが無事渡り終えた。とにかく、非現実的な世界にドップリと浸り込んだ一日であった。
この後、会奉行の「点火」の合図で、閼伽先達二名が祭壇の御本尊様の浄火をともした松明を一本ずつ持ち、炉壇に点火する。火が燃えさかる中、太鼓に合わせて観音経、般若心経が唱和される。護摩の炎は天空を焦がすほど燃え上がる。この間、御導師様は獅子座にて「入木」を火中に投じ、炉壇を加持される。そして、炎が白煙に変わり下火になる頃、炉がならされて火渡りの道が整えられていく。そして、再び会奉行のかけ声でいよいよ「火生三昧」つまり「火渡り」の開始である。山伏姿の御坊達がまず渡っていく。見ている方がヒヤヒヤしながら奇声を発している。いくら道が作ってあるとはいえ、それはそこ真っ赤になった炭火の上を歩くのだ。見ているとなんだか神聖な気持ちになっている自分に気づき、周囲はと見るとやはりそれなりの表情をしているのも面白い。一心に経を唱えている人もいる。10人近くの御坊達が渡り終わると、いよいよ一般参加の檀信徒の方々の番だ。さすがに皆大分高齢者が多くちょっと心配だったが、神仏のご加護か200名近くが無事渡り終えた。とにかく、非現実的な世界にドップリと浸り込んだ一日であった。
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臨場感溢れる「火渡り」を順を追って紹介しよう。
今回の会場 |
山伏登場 |
阿字門の儀 |
師招待の儀 |
斧作法の儀 |
法弓の儀 |
法釼の儀 |
炉壇に点火 |
燃え盛る炎 |
火生三昧 |
壇信徒参加 |
山伏退場 |
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