陰毛

人間の祖先は猿であったといいます。
類人猿などの絵を見ると,それはまさに全身毛だらけの猿…頭はもちろん,手,腕,体,足… いたるところが毛で覆われています。

しかし,やがて人類が進歩を遂げる過程で,その毛はだんだんとなくなってきました。
そして,男性か女性かによってのホルモンのバランスで,個人差はあるものの,現代に生きる人たちの毛は,概ね決まったところに存在します。

ところで,それぞれに毛には,動物としての必要性の他に,現代社会における役目や意味合いもあります。

例えば髪の毛
これは頭部を日光から守ったり,何らかの衝撃を和らげたりする働きがあるといいます。
しかしそういった本来の目的に加えて,染めてみたり伸ばしてみたり,パーマをかけてみたり束ねてみたり,剃り込みを入れてみたりモヒカンにしてみたり,ちょんまげを結ってみたり剃ってみたりと,その人の好みや職業によった主義主張を,髪の毛で行なうこともあります。
あるいは,「最近ちょっと薄くなってきたな〜」とか「白髪が目立つようになったな〜」などと,悩んでみたりもします。
いずれにせよ髪の毛は,人間が生きる上で日のあたる場所に生息していることになります。

例えば眉毛
本来は,汗が目に入るのを防ぐ為にあるとか。
しかし,これもまた比較的日の当たるところに存在することを許された毛。形を整えてみたり,剃ってパンチの効いた顔にしてみたりと,その利用価値は高いです。

例えばまつ毛
もともとの役目は,光が目に入ってまぶしく感じるのを和らげる役目があるそうな。
しかしこれも,特に女性はカールを当ててみたり,付けまつ毛をしてみたり,やはり本来の目的以外のところで存在価値はあります。

ワキ毛も,まあ微妙な立場にはいますが,それなり存在価値はあります。
以前,某男性アイドルが“ワキ毛がない”などということをテレビでネタにしていたことがありますし,ワキ毛をウリにしていたAV女優もいました。ビジネスにおける重要なセールスポイントであったという適例です。

胸毛はもっと微妙な立場ですが,少なくとも“俺は胸毛が濃いぞ〜”などと笑いを取ることができるケースがあるので,まあ利用価値はあるのでしょう。

スネ毛も,暇なときにアリを作って遊ぶことができるのでOK。因みに私は比較的スネ毛が濃い方ですが,娘がよくアリを作ります。親子の重要なスキンシップです。

これらに対して陰毛……
影でひっそりと咲く毛,陰毛
なかなか日の光を見ることの出来ない毛,陰毛
決して真っすぐにはなれない,独特の形状を有する毛,陰毛

少し前の雑誌でようやく(なし崩し的に?)解禁され,またこれも以前,某男性アイドルが陰毛ヌードを披露して話題になりましたが,まだまだ他の毛とは一線を画しています。
食堂で出されたうどんの中に髪の毛が入っていると「ちょっとこれ,髪の毛が入ってますよ!!」と即文句ですが,陰毛が入っていた場合は笑いです。頭の中では,「なぜここに?」,「誰の?」などという憶測も飛び交います。

これはそんな陰毛に,ちょっとだけスポットライトをあてたお話です。

ある日,会社について更衣室で職服に着替えた私は,ハンドタオル片手に更衣室から出ようと思いました。その時うっかりして,タオルを下に落としました。体をかがめて拾います。
とその時,更衣室の片隅に発見しました。陰毛… お!!と思って周りの床を見渡すと,意外や意外,結構おちています。特に部屋の隅の方には,数本が群れをなしているではありませんか!! ちょっとした発見です。

しかしその後の調査で,なんとその他にもいくつかの目撃談がありました。

【目撃談1】
「トイレの,特に男子小用便器は定番ですね。かなりの確率で1,2本は生息していますよ。僕はおしっこをかけて一緒に流しちゃいますが,便器の淵についているやつは,狙うのが難しいです。失敗するとおしっこが外に出たり,淵ではねたおしっこが自分に掛かったりしますからね。でも,そこまで頑張っても,たまに流しきれないで残るケースがあるんですよね。あれは悔しいです…」

【目撃談2】
「喫煙室によくおちてますよ。多分,抜けたやつがズボンのすそを通って下に落ちてくるんじゃないですか?まさかあんなところでズボン脱ぐ人はいないだろうし…」

【目撃談3】
「私は目がいい方なんですが,しょっちゅう目にしますよ。特に机の下。朝の掃除当番で掃除機をかけているときに,よく落ちてますよ。掃除機でガンガン吸っちゃいますが,みんな仕事中に何してるんでしょうね…」

等など…

いろんなところに生息しているんですね。ゴキブリ並みの生命力ですね。

さて,そんなことに感心していたある日。
会社の,とある部署の,とある机の上の電話が鳴りました。
周りに人がおらず,近くにいた私が仕方なく受話器を上げた時,わたしが電話機の上に目にしたもの……

それは,陰毛(風に妙に縮れた毛)でした。

電話機本体の受話器を置くところ,受話器のマイク部が置かれる部分のくぼみに,その毛はあったのです。

なぜこんなところに?
なにしてたんだ??
なにをどうしたらこんなところにいんもうがのるのだ???

色々な事が頭を駆け巡る中,「ハイ,○○です…」と電話に対応したのでした。


因みに件の電話機は,私の部署の私が普段使う電話ではないことだけ,書き加えておきます。

 

たまゆらの乱文 TOPへ

TOPへ