蛭ヶ岳


蛭ヶ岳山頂
山域 丹沢山地(神奈川県津久井郡/愛甲郡/秦野市)
山名 焼山(1059.6m),蛭ヶ岳(1672.7m),丹沢山(1567.1m),塔ノ岳(1490.0m)
交通 東京(JR中央線)→八王子(JR横浜線)→橋本(バス)→三ヶ木(バス)→西野々
小屋 (蛭ヶ岳,丹沢山にあり)
温泉 なし
山行日 1996年9月29日(土)晴れ
コースタイム 7:25西野々バス停-9:00焼山-10:30姫次-11:56蛭ヶ岳-13:28丹沢山-14:17塔ノ岳-16:15大倉バス停 [21km/8h50min]
地図 「上野原」「秦野」五万分の一地形図(国土地理院)
メモ 丹沢の主脈縦走の記録です.主稜縦走(檜洞丸〜塔ノ岳)ほどではありませんが,かなり長距離のコースです.縦走の達成感はかなりのものがありますが,天候や体調には万全の注意と準備が必要です.

参照 丹沢三ツ峰


十五夜お月見登山も棄て難かったが,初めの計画通り,日の出前に家を出て7:15頃,西野々のバス停に降り立つ.公園でトイレを済ましストレッチングをしてから7:25に出発.同じバスだった2人のパーティーが後ろから付いてくる.ひんやりした湿っぽい空気は秋を感じさせる.吐く息も白い.陽の光も弱々しい.特に急ぐでもなく抑えるでもなく,マイペースで登り始める.熊出没注意と大きな字で書かれている.焼山登山口バス停にある店には駐在所からの熊出没情報が張り出されていた.

昨夜の雨のせいか濡れてはいるが小石混じりの道は滑ることはない.この間来たのは3月でまだ木々は芽吹く前だった.7:38に焼山登山口からの道と合流.登山道にはクモの巣が多い.途中枯れ枝を拾いクモの巣避けとする.

汗が吹き出すようになる.8:00に「焼山2.3km←→西野々1.8km」の表示のある最初のベンチで小休止し汗を拭く.後ろから来ていた若い2人はこの間に私を抜かして行った.彼らの60リッターのザックにぱんぱんに荷物を詰め込んであるが,何を持って来ているのだろう.

焼山のシラカバ もう一つの焼山登山口との分岐の辺りで焼山登山口から登ってきた中年夫婦パーティーを目にする.この間の台風17号は小枝や青葉を道に巻き散らかした.枯れ葉と青葉と小枝の道はパチパチカサカサと音を立てる.確か南東側の面に出た所で焼山への分岐があったはずだ,まだかまだかと思いつつ歩くがなかなか着かない.私の記憶は当てにならない.

白樺のある焼山には9:00に到着.積雪時に登った時と全くの同タイムである.これで縦走できるのかと不安になる.最後はヘッドランプのお世話になるかも知れない.若干シャリバテ気味であったが,やっと休憩できる場所に着いたのでまずはおにぎりを1個食べる.麦茶で水分も補給.それから恐エ〜と叫びつつ展望台に上る.さすがに眺望はばっちりである.奥多摩のシンボル大岳山が目印になり,その向こうに日光の山並みまで見える.10分後に出発.

焼山には卷き道があるがここからの下りは殆どない.山頂を巻く必要があるのだろうか.しばらく平坦な道が続くので早足で歩くも次第に傾斜が付いてくるとその影響ですぐに疲れてしまう.平坦の道は体力の回復に使おう.9:16鳥屋への分岐,9:30平丸分岐,9:45黍殻山への2度目の分岐(ここが姫次までの中間地点だ),9:47水場を通過する.焼山に着くのが思ったより遅かったので急ぎたいが急げるものではない.前回は焼山から姫次までは私が標準としているエアリアマップのコースタイムより短縮することができなかった.園地避難小屋(黍殻避難小屋)が左手下に光って見える.

途中,遥かなるスワニー河,と笛の音がする.青根分岐のベンチでランニングシャツの人が休憩をしていた.ここは人がいませんねと関西風のアクセントで話しかけられる.そう,裏丹沢は人が少ない.焼山手前で2組のパーティーに会っただけである.

単調な道に飽きてきた.登るのが嫌になってきた.こんなことしてないで家でぼけーっとしていれば良かったと思い始めてきた.道にはみ出た松の所で小休止(10:10).水筒から麦茶を飲む.小柄のオジサンが富士山が雪被ってるよー,もうすぐ姫次だよーと言いつつスタスタと抜いて行った.は,速い.でも姫次まではあと20分は掛かるだろうと思う.すぐに前回,復路に使った2つ目の青根分岐を通過(10:20).単調な道は続く.

姫次直前の看板が見える.ああ,やっと着いた.姫次だ(10:30).先ほどの快足オジサンは姫次の広場の50mほど手前からビデオを回し始めた.ぶつぶつ言ってる.先に行って良いですよとの声で脇を通らせてもらう.

姫次にて 明るい見通しの良い姫次,正面には雪を被った富士山が姿を現した.美しい.気持ちが良い.久しぶりに腰を下ろす.おにぎりをひとつ,チョコレートビスケットを4枚ほど食べる.この間は雲に隠れて良く分からなかった蛭ヶ岳は結構近くに見える.快足オジサンに聞かれて蛭ヶ岳に登ります,うまく行けば塔ノ岳まで行きたいと思いますと答える.それじゃ一泊するつもりで来たのですねと言うので,いや蛭ヶ岳で先に行けそうもなければ戻りますと返事する.泊まる用意はしていない.でも尊仏山荘なら何とかなるかも知れない.

名残惜しいが姫次を出発(10:45).快足オジサンの先を進むも後ろから煽られてしまった.道を譲ると,私は日帰りなのでと言って駆けるようにして坂を下りていく.俺も日帰りだぞと心の中で叫ぶ.10:52原小屋平を通過,11:00には地蔵平に着いたが,結構疲れを感じる.

快足オジサンがまたビデオを撮っている.鹿がいた.親子のようだ.私はこれが撮りたかったんですよーと嬉しそうに私に話す.ここら辺は鹿が良く来るそうで確かに下草はひとつも残っていない.木の幹も皮が食べられてしまっており痛々しい.

秋の気配 蛭ヶ岳の登りが始まる.ブナの大木がすばらしい.ギアをローに入れ換えるようにゆっくり登る.急斜面の階段は殆どが土が抜けておりハードル状になって歩き辛い.富士の見える崩壊した斜面でタバコをくゆらせているオジサンがひとり.今日は天気がいいですねとこちらから声を掛ける.にこやかに答えてくれる.風もないし最高の天気である.右手の斜面が大きく崩壊している所に出た.この手前にベンチがあったと思ったが,ない.姫次では近くに見えた山頂はまだ遠い.ひたすら登る.緩斜面はないので息を切らさないようゆっくりひたすら登るしかない.

やっとベンチに到着(11:40).ここまで来れば後一息.ベンチに腰を掛ける.富士の雪は北面に多い.蒸気が増えてきたのか富士山も霞んできた.

山頂を巻くような感じで山頂に到着.やっと着いた(11:56).5組ほどが休んでいる.空いていたベンチのひとつに座る.靴を脱ぎ,おにぎり1個を口にする.今日はガスは持って来なかった.軽量化のためである.それに時間短縮のため昼飯というのは敢えて取らないことにした(おにぎり山頂1個ずつ作戦).缶詰も持ってきたが食べたいとは思わない.1時までに山頂に着けば明るいうちに縦走できるなと考えていたがこれなら大丈夫だろう.塔ノ岳まで2時間と見積もる.

稜線漫歩 12:15に山頂を発つ.ここから丹沢山までは歩いたことがない.ブナの大木,背の低い笹原,明るい稜線である.これは気持ちが良い.右に富士を見ながら爽快な尾根歩きが始まった.心配していた鬼ヶ岩の鎖場は何でもなかった(12:32).鎖場とは呼べない所である.鎖を使おうと思ったら四つん這いにならないといけない.

不動ノ峰を過ぎる 棚沢ノ頭への分岐を分け(12:45),12:54不動ノ峰で5分間の小休止.ここで水筒の水が無くなる.でももう1本持って来ているので大丈夫.あずま屋を通過する(13:02)と再び明るい笹原歩きだ.

階段の崩壊した急坂を下り,再び登り返すと丹沢山山頂だ(13:28).この登り返しは結構辛いものがあったが蛭ヶ岳の登りよりは楽だ.丹沢山山頂には3パーティーくらいが休んでいる.ここは見晴らしがイマイチなので足を止めずに竜ヶ馬場まで降りる.

竜ヶ馬場で休憩(13:41).ここでもおにぎりひとつ.関東平野が一望できる.街の上空は茶色がかっている.新宿の高層ビル群は見えない.方向が違うのだろうか.塔ノ岳方面からはまだ登ってくる人が多い.何処に降りるのだろうか.13:50に再び歩き出す.14:02に日高の表示のある小ピークを越える.塔ノ岳の登りに入る直前のほんの5mくらいのやせ尾根がもう崩れる寸前だ.今度大雨でも降ったら危ないのではないだろうか.

尊仏山荘のトイレに寄ってから塔ノ岳の山頂に出る(14:17).思わず声が出るほどの人出である.中には鹿の格好をした人もいる(いや本物の鹿だ).最後の山頂では焦げ茶色のロールケーキをかじる.白い生クリームがうまい.オレンジジュースが欲しいところだ.富士山は雲の上に何とか見える程度まで霞んでしまった.賑やかな塔ノ岳山頂へはまだ登ってくる人が絶えない.

霞む午後の富士 さて,後は下るだけである.身体の疲れは感じない.気合いも十分である.表尾根さえ歩けそうである(止めて良かった).14:30に階段の続く大倉尾根を降り始める.

花立を14:41に通過する.何か両膝に痛みを感じてきた.これは疲労による痛みだろう.心配はしないがスピードが出ない(階段は膝にくるぜ).階段ではよちよち歩き,普通の斜面ではテンポ良く降りる.が,たまらず堀山の家(小草平)のベンチで5分の休憩(15:10).膝から下がじーんとする.オバサン達が賑やかである.

休憩時に膝から体重を解放させたせいだろう,膝の痛みは消えた.また気分良く下り始める.だが,しばらくするとまた痛み出す.やはりかなり疲れているらしい.秦野の町並みは遥か下だ.下りが辛い.いくつかの小屋を過ぎ,展望台への分岐である雑事場でまた5分の休憩(15:47).急坂を避けて左折する.いつしか電信柱が道の脇に現れ,舗装道路になり,林を出て民家の間を歩く.大倉バス停には16:15着.やっと着いた.顔と腕を洗い,ぐるりとロータリーを囲んだベンチにザックを降ろしビールを購入,グビグビとやる.旨いっ!今日は充実した一日であった.満足.


BasshoZakki | 19960929 Mt. Hirugatake, ©KageYama.ページトップに戻る