会津駒ヶ岳


中門岳への分岐
山域 尾瀬(福島県南会津郡)
山名 会津駒ヶ岳(2133m)、中門岳(2060m)、大杉岳(1921m)
交通 東京(JR山手線)→上野(地下鉄銀座線)→浅草(東武線)→会津高原(タクシー)→登山口
小屋 駒ノ小屋(予約必要)
温泉 なし
山行日 1998年6月5日(金)〜6日(土)晴れのち曇り〜曇り
コースタイム 1日目:11:15駒ヶ岳登山口バス停-14:30駒ノ小屋-15:23中門岳
2日目:6:00駒ノ小屋-9:13大杉岳-10:01尾瀬御池ロッジ [18km/8h9min]
地図 「檜枝岐」「燧ヶ岳」五万分の一地形図(国土地理院)
メモ 山頂付近の花畑により会津駒ヶ岳は非常に有名な山となっています。しかしながら、登山途中のブナ林や池塘も見逃せない魅力です。もし会津駒ヶ岳の自然を静かに満喫したいと思われるならば、そういった花の時期からずらしてみるのも良いでしょう。なお、稜線上にある駒ノ小屋への宿泊には予約が必要です。

参照 燧ヶ岳


▼会津駒に登る。稜線に独り。

いつも同行するエスが会津駒に行きたいというので計画を立てていたのであるが、2週間前に、その日は行けなくなったのであと2週間ずらせと言ってきた。それではもう梅雨じゃないですか梅雨入り前にひとりで行ってきますと彼に告げたのであるが、今年の梅雨入りは早く、数日前に梅雨入りしてしまっていた。

登山道を登り始める ということで、この時期に会津駒に行かねばならない理由が無かった。目的もないまま何となく山に入ることになった。10時半に会津高原駅に降りる。自宅からはどんなに頑張っても夜行列車に乗らない限りこれ以上早く着くことができない。運良く乗合タクシーに同乗することができ、駒ヶ岳登山口に11:15に到着できた。ここから車道とそれをバイパスする山道とを歩いて階段でできた真の登山口に11:45にたどり着き、驚くほど幅員のある登山道を登り始める。

地塘が見えればもうすぐ。 列車の車窓から見えた空にはずっと雲が垂れ込めていたが檜枝岐の空は晴れ上がっている。しかしこの青空がいつまでも続くことは期待しない、今のうちにこの木漏れ日の中の山登りを楽しんでおこう。気持ちの良いブナの森ではあるが、なぜかこの道のブナには鉈目が多く、ひょっとしたら半分位はいたずら書きではないかとも思う。傾斜はそれほど急ではないが結構辛い。流れ落ちる汗が目に入る。暑さもあるが荷物も重い。駒ノ小屋には水がなく下から持って上がらねばならないと聞いているので、中腹に水場はあるが万一のことを考えてバス停近くの新しいトイレの洗面所で水を入れて登ってきていることも一因か。

駒ノ小屋まであと一息のところの池塘 ヘリポート跡というやや平坦で木が伐採された所で一休み(12:19)。空は薄く曇り始めている。ウグイスとセミの声が辺りに満ちており、まさに初夏の陽気だ。

13:05にやっと水場に到着する。息が上がっているわけでなく、足腰が疲れたわけでもないがかなり辛かった。水筒1本を携えて坂を下る。水場はルートから離れてはいるが気なる遠さではない。岩の間からポタポタと浸み出してきている。岩清水だ。足元の赤紫色のツツジの花弁が美しい。水筒の水を入れ換え、思う存分飲む。軽食を取り15分ほど休んでから出発。これで残り1時間半の行程は一気に登ることができた。下山するハイカーには10人ほどすれ違ったか。

中門大池 駒ノ小屋に着いた頃(14:30)には既に辺りはガスの中。小屋番さんに部屋を案内してもらってからサブザックで中門岳と会津駒ヶ岳を目指す。水、軽食糧、雨具とカメラを持っているがまるで空身のように感じ、飛ぶように歩く。今年は雪が少ないとはいえさすがに残雪はあり、所々木道を隠している。会津駒へは登らずにまずは中門岳を目指す。池塘がちりばめられたなだらかな稜線が素敵だ。西側からガスが吹き上げてきて時折稜線を隠す。木道の前にも後にも誰もいない。私ひとりだ。

中門岳の標識が中門大池の傍らに建っている(15:17)。まだ花の季節ではないようだが、ハクサンコザクラが私を迎えてくれた。さらに木道は奥まで続いており、最後は池塘を囲むようにループ状になって閉じられている。湿原の雰囲気を楽しんだあと、来た道を引き返し今度は稜線づたいに駒ヶ岳に登る。山頂は腰が砕けるほど平凡だった。16:10に小屋に戻る。

今夜の宿泊は私の他に女性3人のパーティーのみ。寝床に入りラジオの天気予報に耳を傾ける。夜には雨が降り始めた。


▼御池に下る。湿原とブナ林が見事

5時に起床。雨は止んでいるようだが、薄暗いなかガスが流れ寒々しい雰囲気である。階下で昨日買っておいたおかずパンをかじり朝食とする。音を聞いてか小屋番さんが起きてきて早いですねと言う。そういえば3人パーティーは起きてくる様子もない。下だけ雨具を着けて6:00に小屋を出発。森の中を下る。

雨に濡れた木道は滑りやすい。慎重に足を運ぶ。昨日のうちに中門岳と駒ヶ岳まで往復できたために今日は時間に余裕ができた。中門岳の往復を考えれば渋沢温泉小屋までのエアリアマップでのコースタイムは9時間半にもなり食事の時間などを考えたら小屋への到着は4時を過ぎてしまうところであった。今日は散歩のつもりでゆっくり歩ける。

アズマシャクナゲ 森の中にはシャクナゲが咲いている。雨露に濡れた様はきれいを通り越し色っぽいとさえいえる。池塘のある湿原をいくつか通り過ぎるとキリンテへの分岐だ(7:08)。この時間に既にここに人がいたのには驚いた。結構大きな声で歌いながら歩いていたので少し恥ずかしい。分岐には大きな標識が建てられていた。

ここから道は若干狭くなる。ただし道ははっきりしており十分歩かれている様子。この稜線は足元が危険なところが全くない(階段が2つ3つあるのみ)。傾斜も緩やかで鼻歌気分で歩ける。左手側が草原状になる。ガスの中黄色い花がちらほら咲いているのが見える。

ガスの中から沢の音とともに何か人の気配が漂ってくる。誰かが沢の中を歩いているようだ。立ち止まり耳を澄ます。今度は大きめの岩がひっくり返されるようなコトン、ゴトンという音、それからフウという鼻息のような音。……ヒョットシテ、熊、デスカ? 腰にぶら下げ鳴るに任せていたカウベルを指ではじきつつ足早にその場を離れる。もう一度耳を澄ましても聞こえるのは沢の音だけだったが、しばらくはそうやって歩くことにした。熊のテリトリは広いはずだからさっきの音の主が熊ならもう会うことは無いはずだと考えるが、そう簡単に安心できるものではない。私の頭の中には「熊」の文字が常駐してしまったようだ。

地図上にはいくつかのピークが載っているがピークといえるほどの高低差はない。ただ歩くという感覚である。しばらくすると正面に送電線が見え、分岐を左にとれば電発避難小屋が見えてくる。積雪時にも使用できるようにだろうか、小屋は高床式になっており、その下で休憩とする(8:05)。七入へはこの送電線の巡視路で降りられるらしい。

今にも降りそうな空模様なのに雲に穴が開き青空が見えてきた。ほんの小さな青空であるが見ていて気持ちが良くなる。やはり晴れないといけないなぁと思いつつ、ちょうどたどり着いた湿原でザックに腰を下ろし空を眺める。

大杉岳には9:13に通過する。ここも山頂という感じではない。ここからやっと下りが始まるが、たいして急ではない。水場を通り過ぎあっと言う間に車道に出る(9:53)。余りにもあっさりと降りてしまい拍子抜けした。


BasshoZakki | 19980605 Mt. Aidzu-Komagatake, ©KageYama.ページトップに戻る