サイボウズVS.ネオジャパン事件和解の顛末・藪の中?(03/06/09・03/07/26加筆)

http://www.neo.co.jp/neojapan/mistake.html

 この事件は、グループウェアの主要メーカ間で、画面デザインの著作権侵害が問題となった事件である。 法律実務的におもしろいのは、仮処分では提訴したサイボウズの主張が一部通っているが、本訴では逆転した、というあたりである。このあたりは詳述はここでは避けるが、上述のネオジャパンのHPには、ここのHPでも時々出てくる、北大田村教授の鑑定意見書もアップされていて、これは著作権侵害が起こっているのかという判断の手法・考え方の整理として、非常に役に立つと思う。

 さてと、これだけなら普通の著作権侵害訴訟が和解した事件であるが、これについて毎日新聞が、サイボウズ社への取材のみに基づいて記事を書いて報道して、ネオジャパン社が抗議して、その結果として毎日新聞は記事を差し替えた、という事件が起こっている。 このことの顛末が上記URLに掲載されている(一応、ネオジャパン社のサイトであることには注意が必要であるが、僕が見るに、一方的な事は書かれていないように思える)。

 上記HPでは、毎日新聞とサイボウズ社との言い分も掲載されており、これがまた、食い違いがある。 どうも、藪の中状態になっているように一見思える。 しかし、これを僕があえて断ずると、やはり毎日新聞の勇み足でしょ、というあたりになるのだと思う。 なぜなら、
(1) 当事者が、自分に有利に言うことは、或る程度当たり前であって、取材には慎重が求められるはずなのに、一方の当事者の言い分のみで記事を書いた。
(2) 毎日新聞は、取材の過程で和解調書を参照することが出来たはずであり(記者会見で要求すればよいじゃないか)、従って、当事者が何を言ったとしても、それの適否を判断する材料は手元にそろえることが出来たはず。
(3) 5月30日付の記事は、地裁ではネオジャパンが受けきった(被告が勝った、というのが一般的な言い方だが、僕はこの言い方は嫌いである。)事件であることを考えると、一見して、和解内容としてはおかしく感じられる(ネオジャパン社が判決に対して大きく譲歩しているように見える)。 また、実務的に(は、事件が和解まで行ったのに、当事者がここまで言う(せっかくまとめた事を荒立てる)とは考えづらいものがある(言っていたら、これまたびっくりなのだが)。

 まあ、あえて言ってしまえば、事件の判決文も、和解調書を読むこともしなかった書き手が、掲載してしまった記事、と考えられても仕方がないでしょう。 風評被害、なんてことが大きくなっている今日では、マスコミ・広報関係者のモラルは以前よりもかなり高いものが要求されているはずだから。 それにしても、知財とか、裁判について、もう少し慎重に、クールに、中立的になれないものかなぁ……。

03/07/26加筆
 本件について、ネオジャパン側の代理人である松本直樹弁護士が自らこの顛末の経過を記している。 この中では、毎日新聞の取材に対しては、僕よりは若干同情的な(情状酌量の余地はまだあり、と言う程度のように僕には思えるが)意見が記されている。 どうも上記の「これまたびっくり」という状況が発生しているようでもある。 それでも僕は上記(1)(2)の勇み足は存在すると未だ思っている。
http://village.infoweb.ne.jp/~mat/cnGohou.htm

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