看護計画
副鼻腔炎は副鼻腔の炎症である。副鼻腔粘膜は血管、腺に乏しく、炎症により容易に循環障害や浮腫を起こす。また、自然孔が小さいので、分泌物の排泄障害を起こし、慢性化しやすい。病理組織所見は粘膜の変化によりカタル型、化膿型、繊維型に分けられる。カタル型は浮腫、化膿型は細胞浸潤、繊維型は結合繊の増生が特に強い。病因はアレルギ−型、感染型、混合型の三つに分類され、感染型または混合型が90%を占めると考えられている。
近年では、抗生剤の発達、医療の普及、栄養の向上により、慢性副鼻腔炎の軽症化が顕著になってきており、かつてのような化膿性炎症による重症な粘膜の不可逆的病変や骨病変は減少し可逆的な病変が主体となってきている。
日本では、副鼻腔のうち、上顎洞、篩骨洞の炎症が最も多いが、多くは両者が合併した複合性副鼻腔炎出ある。次いで、前頭洞、蝶形骨洞炎がみられる。
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慢性副鼻腔炎の治療は、主に内視鏡鼻内手術である。この療法は粘膜を保存する方法であり手術侵襲は少ないが再発しやすい。そのため術直後は疼痛のコントロ−ルに加え感染を避け正常な上皮の再生を妨げないことが重要ポイントとなる。また、副鼻腔の粘膜が安定するまでに最低1年を要するため、退院後1〜2年の経過観察が必要である。従って患者が継続治療の必要性を理解できるような援助が必要となる。
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- 1.鼻症状
- 1)鼻漏(粘性、膿性)
- 2)後鼻漏(粘性、膿性)
- 3)鼻閉塞(持続性、交代性)
- 4)嗅覚障害(脱失、減退)
- 5)鼻が臭い(化膿性病巣の存在)
- 6)鼻出血(粘膜の炎症による)
- 7)鼻入口部の爛れ(鼻汁の刺激による炎症)
- 8)鼻声(閉鼻声)
- 2.随伴症状
- 1)いびき(鼻閉塞による)
- 2)口呼吸(鼻閉塞による)
- 3)頭痛(頭重感、偏頭痛など)
- 4)咳嗽(洞気管支炎の存在など)
- 5)喀痰(粘性、膿性)
- 6)精神障害(集中力障害、根気がない)
- 7)全身症状(易疲労、食欲不振など)
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- 1.X線検査(副鼻腔単純撮影、CT)
- 2.鼻腔通気度検査
- 鼻の通り具合を客観的に判断する。
- 3.嗅覚検査
- 嗅覚の障害を自覚していない患者も多く術後との比較になる。
- 4.アレルギ−検査
- 好酸球、IgE、RAST(ダニ、ハウスダスト、スギなど)を施行し、アレルギ−の有無を調べる。また、喘息に関しては、既往歴、家族歴も充分に聞く。鼻症状の中には心因性による症状も少なくなく、患者の訴えている症状を知り、鼻内の形態やX線検査などとあわせ総合的に判断する。
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手術療法
- 1.鼻内的副鼻腔開放術(篩骨洞開放術)
- 鼻内的に中鼻道より篩骨道を開放し、病変粘膜を切除し、さらに上顎洞との交通を広くつけ、また前頭洞との交通路を拡大し、各洞の通気と排泄をスム−ズにする術式。最も簡単名ものは、鼻茸(ポリ−プ)の除去のみの手術。
近年は副鼻腔炎の軽症化とともにこの術式が見直され、さらに最近では術野を拡大し、死角をなくし、すべてを直視下で見ながら手術操作を行う内視鏡下鼻内的副鼻腔手術が普及している。
- 2.上顎洞根本術(経上顎洞的副鼻腔手術)
- 歯肉部の切開より入り、上顎洞前壁を除去し、上顎洞内の粘膜を除去した後、後部篩骨洞から病変の除去を行う術式。術直後に頬部の腫脹があり、半年から1年位頬部のシビレ感が残る。また、術後10年以上経過して頬部の腫脹(術後性上顎嚢胞)が出現することがある。
- 3.下甲介切除術
- 肥厚性鼻炎やアレルギ−性鼻炎に適応される。鼻閉を軽快させるのが主な目的であるため、広範囲な下甲介粘膜の切除を行う。下甲介の切除の仕方に多少の差がある。
- 4.鼻中隔弯曲矯正術
- 左の鼻中隔前縁とその少し後方より切開を入れ、両側の粘膜と軟骨を剥離する。そして弯曲している軟骨や骨を除去し(弯曲のない部の軟骨は再挿入)切開部を縫合、両側の鼻腔に圧迫のためのタンポンを挿入する。
下甲介切除術との組み合わせで行われることが多い。
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- 1.疼痛の管理
- 創部痛と鼻腔内へタンポンガ−ゼが挿入されるための疼痛がある。疼痛は血圧を上昇させ出血を招く原因となるため、積極的に疼痛の緩和に努める必要がある。タンポンガ−ゼ抜去時にもかなりの疼痛を伴うため、事前の鎮痛処置の考慮も必要である。
- 2.出血の管理
- 副鼻腔手術は出血しやすくタンポンガ−ゼによる圧迫止血に頼ることが多い。出血の量によってはショックを引き起こす恐れもあるため、血圧のコントロ−ルと鼻腔からの出血量、咽頭への血液の流下の観察が重要となる。術当日は血液の流下による吐き気、胃部不快感に対する援助も大切である。タンポンガ−ゼは、術後4〜5日目に抜去されるが、術後7〜10日までは出血しやすい時期なのでタンポンガ−ゼが抜去されても鼻かみは禁止し出血予防に努める。
- 3.感染予防
- 術後の副鼻腔は開放された状態にあり、排泄機能も低下しているため感染しやすい状態である。特に鼻内内視鏡術は根治術とは異なり副鼻腔粘膜をできるだけ保存し、通気と排泄の改善により病的粘膜を正常に導く保存的な手術法である。したがって、術後感染予防と再発防止のために抗生剤の投与とステロイドのネブライザ−療法が行われる。副鼻腔粘膜が安定するまでは継続して行う必要がある。
- 4.合併症の早期発見
- 術後の合併症として視力障害や眼球運動障害、鼻涙管損傷、中耳炎が考えられる。目の動きや見えにくさ、流涙、耳閉塞感の有無に注意する。
- 5.口腔内の乾燥予防
- 鼻腔内にタンポンガ−ゼが挿入されるために口呼吸となり、口腔内は感染しやすい状態にある。乾燥により急性咽頭炎を起こしやすいので、口腔や咽頭の湿潤に心掛ける。
- 6.安眠への援助
- タンポンガ−ゼ挿入による鼻閉、口呼吸による口内の乾燥、頭重感等により不眠傾向になりやすく睡眠に対する援助が必要である。
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- 術後出血
- 感染
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T.アセスメントの視点(術前)
おおむね全身麻酔で手術が行われるが、局所麻酔で行う場合もあり、手術に対する理解と不安の除去に努める。術後出血が問題となるため術前の血圧値と高血圧症の既往の有無について把握しておく必要がある。
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#1.手術や術後の苦痛に対する不安
[要因]・顔面(鼻)の手術、全身麻酔(局所麻酔)に対する不安
・術後の創痛や苦痛に対する不安
・入院という慣れない環境
#2.疾患による苦痛
[要因]・鼻閉による口呼吸
・鼻閉による不眠
・鼻閉、鼻漏、頭重感によるストレス
・鼻閉による嗅覚障害
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- 手術に対する理解を深め不安の除去に努める。
- 全身状態を把握し心身の安静に努める。
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&手術についてオリエンテ−ションを受けて不安や不明な点を表出できる
$手術前日
O−1.入院生活への適応状況
2.手術に対する患者の情報量と理解度、受容の程度
3.対処行動や対処能力
T−1.術後の状態をイメ−ジできるような術前オリエンテ−ションを行う(E−1.2.3.)
2.手術に関しての不安や疑問点を表出するように促す
3.医師からの説明が必要な場合、医師とコンタクトをとる
E−1.手術前日、当日の準備について
2.手術後の生活における注意点(創部の安静、食事、保清)
3.感染防止や再発防止のための術後治療の重要性
4.患者の理解不足な点の追加説明
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T.アセスメントの視点(術後)
術後は疼痛と血圧上昇による出血および感染に注意する。術後の副鼻腔は開放された状態にあり、粘膜が安定し完全治癒するまでに1〜2年を要する。術後の通院治療の必要性が理解できるような指導が必要である。
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#1.術後出血
[要因]・蝶口蓋動脈の枝や篩骨動脈の損傷
・血圧上昇
#2.術後疼痛、頭痛
[要因]・鼻内タンポンガ−ゼ挿入による疼痛
・創痛
#3.易感染状態
[要因]・鼻内粘膜の繊毛機能低下による排泄機能の低下
・鼻内タンポンガ−ゼ挿入による血液、分泌物の貯留
・鼻内タンポンガ−ゼ挿入による鼻呼吸障害とそれによる口内乾燥
#4.吐き気、胃部不快感による食欲低下
[要因]・咽頭、口腔内へ流下した血液の誤飲
#5.副損傷による術後合併症の出現
[要因]・眼窩内組織の損傷
・篩骨洞天蓋の損傷
・視神経管の損傷
・血腫形成
#6.睡眠障害
[要因]・鼻内タンポンガ−ゼ挿入による頭重感、疼痛
・鼻内タンポンガ−ゼ挿入による鼻呼吸障害とそれによる口内乾燥
#7.再発しやすい
[要因]・副鼻腔の粘膜を保存する手術方法(粘膜の安定に時間がかかる)
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- 術後出血と感染の防止、苦痛の緩和に努める
- 継続治療の必要性が理解できる
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&除痛と血圧のコントロ−ルを図る
$タンポンガ−ゼ抜去後3日後
O−1.バイタルサイン(特に血圧値)
2.鼻内の綿栓の汚染、口内血液流下の程度
3.痛みの程度と鎮痛剤の効果
4.タンポンガ−ゼ抜去後の出血の程度
T−1.BP≦180にコントロ−ルする
2.鼻出血がある場合、少し頭を高くして寝かせる
3.出血が長時間続く場合は、医師に知らせタンポンガ−ゼを追加する
4.鎮痛剤の使用による除痛と血圧上昇予防を図る
E−1.咽頭、口腔へ流入した血液を嚥下しないで吐き出しティッシュで拭き取る
2.鼻内の綿栓が汚れたら適宜交換してもらう
3.全粥食とし、柔らかいものを摂取するように勧める
4.手術の程度や出血の状態によるが術後約1週間は入浴、洗髪は禁止。許可が出たらシャワ−浴から開始する
5.タンポンガ−ゼ抜去後もしばらくは鼻を強くかむことは避ける
6.口のう部にナ−トがある場合は、抜糸までは口のう部を避けて歯磨きを行う
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&疼痛の緩和に努める
$タンポンガ−ゼ抜去まで
O−1.疼痛の程度、鎮痛剤の使用状況
2.夜間の睡眠状況
3.食事摂取状況
T−1.鎮痛剤を使用し積極的に疼痛を緩和する
E−1.疼痛は血圧上昇を招き出血の原因となるのであまり我慢しないように説明する
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&感染予防行動がとれ感染を起こさない
$退院まで
O−1.鼻腔内、口腔内の清潔の保持
2.咽頭、口腔内の乾燥感の程度
T−1.イソジン含嗽5回/日
2.タンポンガ−ゼ抜去時より鼻吸入2回/日開始
3.抗生剤の確実な内服
4.室内乾燥予防のため換気に注意する
E−1.感染予防の必要性を説明する
2.鼻吸入、含嗽の仕方を指導する
3.咽頭乾燥感に対し、湿らせたガ−ゼを口に当てる、水分摂取等を勧める
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&吐き気、胃部不快なく食事摂取ができる
$術後より翌朝まで
O−1.吐き気、胃部不快感の有無
2.食事摂取量、食欲
3.血液の流下と口腔内の汚染状況
T−1.吐き気、胃部不快感があるときは経口摂取を中止する
2.イソジン含嗽により口腔内の清潔を保つ
3.口腔内への流下血は飲み込まずに吐き出す
E−1.経口摂取は吐き気や胃部不快感がないことを確認してから行うよう説明する
&術後合併症の早期発見に努める
$術後より翌朝まで
O−1.視力、眼球運動の変化、複視、目のコロツキ感
2.眼瞼、頬部の腫脹の有無
3.熱型
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&夜間熟睡感が得られる
$タンポンガ−ゼ抜去まで
O−1.睡眠時間と熟睡感の有無
2.タンポンガ−ゼ挿入に伴う諸症状
T−1.症状に応じて睡眠剤や鎮痛剤を予薬する
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&再発予防行動が分かり実施できる
$完治まで
O−1.継続治療の必要性についての理解度
T−1.退院後の定期的外来通院を促す
2.風邪をひかないように注意する
E−1.継続治療(創腔の清掃、抗生剤の内服)の必要性を説明する
2.鼻吸入だけの通院の場合、時間予約が可能であることを説明する
3.退院後の日常生活における注意点を説明する
1)退院後もしばらくはマスク・綿栓などをして鼻内の乾燥化を予防する
2)しばらくは鼻を強くかむことを禁止する
3)感冒の罹患には特に注意する
4)スイミング(室内プ−ル)は控えさせる
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