森の葉が真っ赤に燃えて実りの秋を向かえている。
この時期、村の学校は収穫の手伝いをするために一週間休校になる。
dbもハリーを手伝って、厳しい冬に備えて貯蔵するものを集めていた。
段々と冷え込んできたそんなある日。
(ダルイ…)
気のせいか熱っぽく目の前がぼやけているような気がする。
(とにかくこの仕事終わらないと)と、父親に気づかれないように気合を入れなおす。
「おい」
「ん?」
父親に呼ばれて顔を上げると、こちらを見ないまま「早く帰って寝ろ」と言われた。
「なんで?」
「そんなことお前が一番わかってるだろう」
こちらを見ない父の言葉がかえってdbを落ち込ませる。
そんな息子の様子に気がついたのか、作業していた手を止め、下を向いているdbの頭をくしゃくしゃとなでる。
「息子に無理させてんじゃ、オレもまだまだだな」
「とうさん…」
上目で見上げる息子に笑いかける。
「オレが困るから早く帰って寝ろ」
「…うん」
「そんな顔すんじゃねぇよ。治ったら嫌って程手伝って貰うからよ」
ペンッ、と頭を叩《はた》かれて素直にいうことを聞くことにする。
「あ、これ持って帰れ」
手渡された籠の中身は今日採った木の実だった。
「?」
なぜこれを手渡されたのかわからないdbは首を傾げてハリーを見る。
「コレ持っていけば、早く帰ったこと心配されねぇだろ」
「…とうさん」
「あ、なんだ?そんな可愛い顔で見て」
父の気遣いに、思わず感動した声になったのをからかわれる。
「オヤジッ」
ムキになる息子にカ、カ、カと笑い早く帰れと促す。
「ただいまーーー」
ガチャリ、と家の戸を開けると、暖かい空気と共に何かを煮込んでいる匂いが出迎えてくれる。
「あら?」
予定する時間よりも早い息子の帰りに、アリィは鍋をかき混ぜる手を止める。
「早かったのね?」
暖炉にかけてあったヤカンからポットにお湯を注ぎ、ハーブティーを淹れる。
なぜ早く帰ったのか理由は言わず、dbは木の実で一杯になった籠を出す。
「はい」
「これでパイを焼けるわ♪」
籠の中身を見て満面の笑みを向ける。
「手伝うよ」
しかしアリィは、そのdbの言葉に返事をしない。
「あー、にーたん?」
昼寝をしていたのが今の声で起きたのか、フォレスターが目を擦りながらトコトコと近寄ってきた。
「フォー起きたのか?」
「にーたん!」
近寄ろうとしたフォレスターを、アリィが抱きかかえる。
「フォル君はお母さんと一緒にいようね」
「う?」
いつもと違う行動に不思議そうに見る息子二人。
不思議そうに自分をみる二人に笑顔のまま、「今日はお母さんと一緒にいましょうね?」と、抱えたフォレスターを椅子に座らせ、ポットからハーブティーをdbに手渡す。
(あ…)
淹れられたのはふんわり甘いエルダーのハーブティー。
風邪気味なのを入ってきた瞬間に気がついたらしい。
「それを飲んだら暖かくして寝るのよ?」
反論を許さない優しい口調にコクリと頷き、いつもの自分の席に座り手渡されたものを飲む。
自分でも気付かなかった身体の冷えが、徐々に解されていくような気がする。
「晩御飯はベッドまで持っていくから大人しくしとくのよ?」
まるで小さな子供に言い聞かせる口調に、dbは思わず苦笑する。
どれだけ大きくなっても、アリィの前ではフォーと変わらないらしい。
母の言いつけ通り、寝巻きに着替えベッドにもぐりこむ。
眠れないと思っていたdbだが、暖められた体と良く干された布団と、微かに聞こえるアリィの歌声がゆっくりと眠りに誘う。
「お兄ちゃん寝てるから静かにね」
「にーたん、ねんね?」
「そう、だからしー」
「しー?」
自分の顔の前で母と同じように指を立てる息子に、笑顔で頷き返す。
「そう、フォル君はいい子ね」
そとは段々と冷えてきたこの季節。
けれどこの家はそんな寒さに負けることはない。
いつものんびり暖かな空気に包まれている。
<Fin>
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Written by かずみ 20031007
諍いを読んで、ちょっくら風景描写に力を入れてみました。
…見る影もありませんが。
確かこのころは自分も風邪を引いていて
なんだかそんな気分で打ってしまいました。
まだまだ父と母には勝てないdbです。
調べたのは…よく知らないからです。(苦笑)
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なんかもう、あったか家族を書かせたら日本一です!
かずみ様!
いただいたMDの某宮崎アニメ絵のCM曲もあいまって、
心の中がホッコリします。
現実ではあり得ない家族かもしれないけど、
そこで否定してしまわないで、こうなったらいいなっていう
理想にして暮らすだけでも、きっと何かが変化すると思うの(ゆうや)
20031025追記
=かずみ様のあとがきから抜粋=
エルダーはセイヨウニワトコといってヨーロッパ原産のハーブです。
若芽はピクルス、開きかけた花芽は山菜料理、花は揚げ物と利用価値は大きく
果実はジャムに、ワインも美味しいらしい。花の浸出液は化粧水に、葉、果実、根は染料にも使えます
葉や樹皮には他にも様々な効能があるようです 、という事だそうです。
なんにせよ、西洋では生垣によく用いられたらしいので出してみました。
それしか知らなかったから今回調べて驚きました!すごい利用法があるんだなぁ
染料としてどんな色が出たのか知りたいんだけどね。
まぁ風邪の初期にエルダーとリンデンエキセトナ(だっけ?)を
ブレンドしたティーとかお勧めです。
=すげぇよ!ちゃんと調べてるんだもんよ(ゆうや)