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1.公共輸送の概要

 

(1)輸送モード

 バングラデシュの交通手段は、道路・鉄道などの陸上交通と河川を利用した内水路交通に分類される(一部空路もあるが比重が小さい)。大小さまざまな河川が国土を縦横(主に北から南へ)に流れるバングラデシュでは、陸上交通網の整備は資金面でも大きな困難が伴う。

 東パキスタン時代、道路・鉄道への公共投資はなおざりにされ、さらにその後の独立戦争でも大きな被害を受け、陸上交通網は分断されてしまった。独立後バングラデシュ政府はこれらの陸上交通網など輸送部門の整備に公共投資の約30%を投資してきたが、いまだ道半ばの感がある。

 一方、自然の交通路である河川を利用した内水路交通はバングラデシュの主要な交通路として歴史的にも重要な役割を果たしてきており、特に雨季においては道路交通が困難になることもあって、現在でもその役割は小さくはない。


(2)モード別輸送量

輸送モードしては、道路、鉄道、内水路の3つに分けられるが、人の輸送の場合、道路による輸送が54%、鉄道が24%、内水路が22%を、物の輸送の場合は道路が49%、鉄道が17%、内水路が33%を占めている。時系列的に見れば、道路による輸送が年々その比重を高めており、鉄道が果たす役割は減少、内水路については大きな変化は見られない。


(3)道路網

交通網は首都ダッカ、最大の貿易港であるチッタゴン、第2の貿易港であるモングラを持つクルナの3大都市圏を要として形作られ、バングラデシュの物流の60%以上はこれら3大都市を中心とする地域を起終点とするものになっている。なかでもダッカとチッタゴンを結ぶ幹線道路(N1)は、バングラデシュの中でも最も交通量が多い最重要路線となっている。

道路は、国道(National Highway)、地方幹線道(Regional Highway)、支線道(Feeder Road)、その他(Thana connecting Road)に区分されるが、このうち完全舗装道路は国道と地方幹線道(一部未舗装)であり、あとは簡易舗装道路あるいはレンガ舗装道路か未舗装道路となっている。通常「Highway」とは、土盛りしてやや高く作られた道路のことで、雨季においても冠水しないように設計されているが、大規模な洪水が発生すれば冠水することもあり、道路の破損が起こりやすく、補修にも多くの資金が必要となる。

デルタでは、道路はいたるところで河川を横断することになるが、川幅が広く、かつ流路が不安定な河川に橋梁を建設することは、技術的にも資金的にも大きな困難が伴う。このため、大河川の横断にはフェリーが活躍することになる。現在、RHDが管理するフェリーは全国96箇所で運行されており、この中には国道として運行されている12箇所のフェリーが含まれている。一般的に言って、フェリーの運行便数は少なく、フェリー発着場(桟橋)の整備も不十分であり、かつ、整列待ちが出来ず乗下船に大混雑を起こすため時間がかかり、陸上交通路の大きなボトルネックとなっている。

 


2.道路概要


(1)道路局(RHD:Roads&Highways Department)の概要

道路局は、運輸省(交通省)内の道路鉄道総局に属し、当国幹線道路(国道と地方幹線道、支線道(Type A))の建設及び維持管理を行っている。

RHDの組織は、Chief Engineer(道路局長)の下に、通常の組織として14人のACEAdditional Chief Engineer)が配置されており、各人が各分野を担当している。その内、Network ManagementACEが全体の企画、予算、維持管理を、Technical ServicesACEが道路・橋梁設計、環境、調査を担当している。その他のACEは、各行政ゾーン(DhakaChittagongComilla, RajshahiRangpurKhulnaBarisal)担当の7人、および機械・フェリー担当である。また、大プロジェクトには、通常の組織とは別にProject Directorが任命され、そのプロジェクトを担当している。現在は、組織改変プロジェクト、ジャムナ橋取付道路、第2・3次道路・復旧維持管理プロジェクト等5人のProject Directorが任命されている。

職員数は、CE(Chief Engineer)を筆頭に6階級(技術職の場合)に別れ、技術職で合計636名、経済学者、経理士、秘書等の1級職員が38名、その他の技能職を含めると総合計9,338名である。なお、この他にも約1万人ほどの非常勤・臨時雇用の職員(労働者)がいる。(2000年度)

(2)データベース

RHDについては、IDAの第1次道路改良・維持管理事業において、組織を含めた維持管理体制の見直しが提言され、IDAの第2次道路改良、維持管理事業において、IDC(Institutional Development Component)プロジェクトが開始され、組織の見直し、GPS(Global positioning System)を採用したデータベースの構築が行われてきた。

データベースの構築は、Network Planning HDMサークルによって行われており、各Zoneからの計測データは全てHDMサークルで集中的に管理することが可能となっている。これらのデータベースは、年度ごとに整理されて総合報告書及びゾーン別報告書(7冊)として取りまとめられており、次の調査結果(データ)が含まれている。

  RHD ROAD NETWORK DATABASE ANNUAL REPORT

    Traffic Survey

    Road Condition Survey

    Roughness Survey

    Bridge Condition Survey

    List of ADP Roads for the FY2000 2001

    Detail Inventory of Ferries and Pontoons of RHD

    Clearance over the River Gap on RHD Road Network

IDCプロジェクトは、BIMP3(Bridge Improvement and Maintenance Project Phase-3)プロジェクトとも連係し、組織改変の提案、データベースの構築、点検要領の作成、点検業務に関する海外研修等を行っている。現在はIDC3に移行し、これまでの維持管理に加えて交通管理面への支援も実施されている。

(3)道路区分と管理延長

RHDの担当する道路区分とその管理延長を表−1に示す。

         表一1 道路区分及び延長(2000年10月現在)

道路区分

内     容

延 長

備     考

国   道

National Highway

首都とその他の地方・旧行政区の行政庁、港湾都市、及び国際道路を結ぶ道路

3,086km

設計速度=100 or 80km

幅員=12.20m

(車道幅員5.5-7.32m)

地方幹線道

Regional Highway 

地方間、行政区の行政庁を結ぶNational Highway以外の道路

1,751km

設計速度=80 or 60km

幅員=10.98m

(車道幅員3.66-5.50m)

支 線 道

Feeder Roads

Type A

重要な開発拠点及び社会経済上の重要拠点(郡行政庁とは別)を結ぶ舗装道路

15962km

設計速度=65 or 50km

幅員=7.32m

(車道幅員3.66m)

Thana connecting RoadsType A) 

郡行政庁と近くの舗装道路を結ぶ道路

              (出典:RHD Road Network Database Annual Report 2000; Oct. 2000

        注)設計速度は平地用


  フェリーの運行は、全国96箇所で行われており、その内訳を表−2に示す。

これによれば、幹線道路においてもフェリーの運航に頼らざるを得ない個所が12箇所あり、特にDhaka, Barisalにおいて顕著である。将来的には、これらの個所では架橋事業が必要になってくるものと思われる。

         表− 2 フェリーの運行箇所

道路区分

Zone

National

Highway

Regional

Highway

Feeder Roads

Type A

Others

合 計

備  考

Dhaka

   4

10

14

34

Chittagong

   0

Comilla

Sylhetを含む

Rajshahi

Rangpur

Khulna

12

Barisal

17

30

  合 計

 12 

  10 

33

41

96

              (出典:RHD Road Network Database Annual Report 2000; Oct. 2000
 

(4)路面の状況

路面の状況を表−3に示す。

         表−3 路面の状況(全国)

年 度

点検延長(km)

良 好

普 通

貧 弱

悪 い

備  考

1995/96

7,970

29

44

25

1

1996/97

9,733

35

41

21

1

1997/98

10,583

54

38

8

1

1998/99

13,586

52

43

5

0

1999/2000

16,864

69

26

4

0

  
                          表―4 路面の状況(クラス別・ゾーン別)
             (年度:1999/2000)  

 ゾーン

点検延長(km)

良 好

普 通

貧 弱

悪 い

備  考

Barisal

  National

  Regional

  Feeder A

2,714

203

262

2,249

82%

72%

73%

84%

14%

28%

18%

13%

3%

0%

8%

3%

0%

0%

0%

0%

Chittagong

National

  Regional

  Feeder A

2,218

303

81

1,834

69%

74%

85%

67%

27%

24%

15%

29%

4%

2%

0%

4%

0%

0%

0%

0%

Comilla

National

  Regional

  Feeder A

3,483

497

225

2,761

59%

59%

38%

60%

36%

41%

48%

34%

5%

0%

14%

6%

0%

0%

0%

0%

Dhaka

  National

  Regional

  Feeder A

2,743

351

235

2,157

68%

65%

64%

68%

30%

33%

36%

29%

3%

1%

0%

3%

0%

0%

0%

0%

Khulna

  National

  Regional

  Feeder A

1,960

318

322

1,320

67%

48%

54%

75%

25%

47%

25%

19%

8%

5%

22%

6%

0%

0%

0%

0%

Rajshahi

  National

  Regional

  Feeder A

1,722

284

175

1,263

78%

95%

64%

76%

21%

5%

34%

23%

1%

0%

2%

2%

0%

0%

0%

0%

Ranpur

  National

  Regional

  Feeder A

2,025

472

133

1,420

69%

65%

92%

68%

26%

30%

8%

26%

6%

5%

0%

7%

0%

0%

0%

0%

  

(5)橋梁の現況

橋梁の調査は1997年度より実施されており、橋梁の現況に関する調査結果を表―5に、タイプ別の橋梁数を表−6に示す。これによれば、架け替えを要する橋梁が全国に約2,700橋ほどもあり、また、補修を要する橋梁も2,500橋ほどあることが分かる。

ただし、この中には、小さなボックス・カルバート等が多数含まれており、橋梁として架け替えが必要な実数は、相当少なくなる。

              表−5 橋梁の状況                 単位:橋

年 度

健全

軽傷

要補修

要架替

合  計

備  考

1997/98

2,505

2,090

2,293

2,323

9,211

1998/99

2,485

2,235

2,530

2,666

9,916

1999/2000

2,485

2,235

2,530

2,666

9,916

                     注)1998/991999/2000は全く同じ数値となっている。

                                      表−6 タイプ別の橋梁数

橋 梁 の 種 別

橋梁数

割合(%)

Box Culvert

Slab Culvert

Arch Masonry(石造アーチ)

RCC Bridge

RCC girder Bridge

PC Girder Bridge

Steel Beam & RCC Slab

Truss with Steel Deck

Truss with RCC Slab

Bailey with Steel Deck

Bailey with Timber Deck

3,257

2,056

426

1,416

1,166

67

312

146

44

952

74

32.85%

20.73%

4.30%

14.28%

11.76%

0.68%

3.15%

1.47%

0.44%

9.60%

0.75%

                        Total

9,916

100.00%

また、建設された年代から分類すれば、表−7のようになる。

            
                         表−7
年代別・ゾーン別の橋梁建設数

不明

1950以前

1950-1960

1960-1970

1970-1980

1980-1990

1990以後

合計

Dhaka

Comilla

Chittagong

Rangpur

Rajshahi

Khulna

Barisal

750

845

631

322

331

395

613

8

30

45

11

4

33

2

75

230

99

41

9

42

24

134

116

226

148

42

116

84

181

220

193

259

117

104

38

236

221

314

248

133

200

141

299

384

242

351

183

145

301

1,683

2,046

1,750

1,380

819

1,035

1,203

  Total

3,887

133

520

866

1,112

1,493

1,905

9,916


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