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代表からのメッセージ


DEEPが目指すもの

前園泰徳(DEEP代表 龍郷町環境教育推進指導員 農学博士)

 奄美は、世界に類を見ない固有の生態系を有する自然豊かな島です。そして、その自然に根ざした独自の文化をも有する島です。この豊かな自然と文化を守りつつ、奄美と地球の未来をも担える人材を育てるには、自然のなかで感性を磨きながら、命の大切さ、つながりなどを心で感じることが大切だと思われます。そして、それらを通し、自分で問題に気づき、それを自分で考え、仲間とともに解決へと行動する力を育てること、つまり、「人間の総合力の育成」が欠かせないと考えています。これが私たちの考える「環境教育」なのです。

 D.E.E.P (Dragon Environmental Education Project)は、この環境教育を実践するために、奄美大島龍郷町出身の渡伸一郎氏(コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド代表取締役)により創設された「龍郷町環境教育基金」を活動資金として、2006年に活動を開始しました。D.E.E.Pは活動方針決定や経理を行う理事会、教材作成や講師としての活動を行う実行メンバー、適切なサポートを行うアドバイザーにより構成されています。メンバーは各分野の専門家や教員から構成されており、質の高い教育を実践するために常に最新情報の吸収と共有を行っています。

 D.E.E.Pの活動は、指導機関や活動の舞台としての龍郷町教育委員会と町内10校の小中学校の教員、また、専門知識や人材の提供機関としての京都大学大学院農学研究科昆虫生態学研究室の協力があって初めて成り立つものです。このような地元有識者、行政、学術機関、民間企業を巻き込んだ環境教育の連携プロジェクトは、全国的にも類を見ない、大変先進的かつ画期的なものです。この連携があるからこそ、斬新かつ効果的な教育プログラムが日々生み出されているのです。


DEEPに期待します

藤崎憲治(京都大学大学院農学研究科教授)

 人類の歴史は700万年と言われていますが、生物が地球上で誕生してから現在までを1年の暦に換算すれば、それはわずか15分程度にしか過ぎません。しかし、その15分の間に、いや産業革命以降のほとんど一瞬のうちに、自然生態系を破壊し、多くの生物種を絶滅させてきました。人類は生物種の10パーセントから20パーセントをすでに絶滅させたと言われています。そしていま、人類は地球温暖化という、かつてないほどの急速な環境変動を地球上にもたらし、さらに多くの種を絶滅の淵に追いやりつつあります。自然生態系は人類がいなくても存続し得るが、人類は自然生態系なくしては存続できない。この自明の理に背いて、人類は自然生態系を破壊し続けているのです。

 奄美群島には人類の財産とも言うべき、かけがえのない自然生態系とそれが育む貴重な野生生物がかろうじて残存しており、それらの保全は火急の課題となっています。しかし、その保全のためには住民の理解と協力が不可欠なのです。「灯台下暗し」ということわざにあるように、あまりにも身近なものはかえって見えにくいものです。失ってからその価値に気づいても遅いのです。

自然を守り育てるためには、自然に対する慈しみと畏敬の念を持たなければなりません。自然に対するそのような感性は、大人になってからでは、なかなか培われないものです。それに対して子供たちは、自然の中でのさまざまな体験を通して、驚くほど早くそのような感性を身に付けることができます。その次に必要なのが正しい知識です。「なぜ?」という素朴な好奇心こそが、人類をここまで導いた知的原動力であります。大人には子供たちの素朴な問いに答える責任があります。自然に対する豊かな感性と知性を備えた子供たちは、大人になっても自然のことを正しく理解し大切にするようになるに違いありません。ここに、子供たちに対する環境教育あるいは自然教育の大切さがあるのです。

「地球社会の調和ある共存」をその基礎理念としている京都大学の21世紀COEプログラム「昆虫科学が拓く未来型食料環境学の創生」は、龍郷町教育委員会とともに龍郷町環境教育プロジェクトを2006年に立ち上げ、小学生や中学生に対する環境教育を実践しつつあります。このウェブサイトが環境教育や自然教育を考え、実践する多くの人たちにとって、貴重な情報発信と交流の場になることを期待します。

>> 21世紀COEプログラム「昆虫科学が拓く未来型食料環境学の創生」


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