05/05/08
僕には顎がありません。本来顎があるべき筈の場所は前衛的なシルエットにカットされ、 光を通すと七色に輝いて見えるとガイドブックにも載った事から今ではちょっとした観光スポットとして 親しまれております。この時期になると夜はライトアップされ、醜面を晒しています。
僕には首がありません。本来首があるべき筈の場所はぶ厚い脂肪で覆われ、 そしてその脂肪をめくった下には約束の地があるとされています。そこには争いも憎しみもなく、 餃子の消費量が日本一で、新幹線もとまる場所、それが僕らの町、宇都宮。約束の場所、宇都宮。
僕には土踏まずがありません。本来土踏まずがあるべき筈の場所は平らに整地され、 住む場所を奪われた動物達が夜な夜な野球拳をしては毛皮を脱ぎ捨て、僕はその毛皮を拾い集める事で 生計を立てています。月に換算するとだいたい40ぐらいです。40ヶ月でもう手遅れになります。
僕には腎臓がありません。本来腎臓があるべき筈の場所にはぽっかりと穴があき、
覗き込んだ者を不安な気持ちにさせるから、という理由で人前へ出る事を固く禁じられています。
最近になってようやく、それが腎臓のせいではないと気付くに至りました。お天道様が出ている間は
決してここから出て来てはいけない。彼は僕にそう告げると2歳若返りました。
05/05/16
健全な精神と屈強な身体を手に入れるべく、
心頭を滅却して人を銃で撃ち殺したり手榴弾で爆殺したりするデジタル遊戯を嗜んでおった所、
突然僕の胸を激しい痛みが襲いました。その痛みは心臓を鷲掴みにされたようであり、
吐き気すら覚える程で、もしこれが恋じゃなかったら僕はこのまま死にかねません。
そして残念な事には、
流石の僕といえども殺人という行為に対して恋心を抱いてしまうほど病んではおりませんので、
僕が急性の心臓疾患によって帰らぬ人となってしまう事は明白、
人類は偉大な財産を失う事となる訳ですが、それから既に数日が経過した今、
こうして生き永らえておる自身を顧みるに、結果論として、僕は恋をしていたのです。
運命の人は常に意外なタイミングで意外な所から現れる。
僕のケースではそれがたまたま人ではなく、概念という実体を持たない存在であっただけで、
果たしてその運命の赤い糸は殺人行為と固く結ばれていたのです。遂に巡り合った運命の人。
愛してる。今、恋は愛へと昇華され、2人が手を取り合ったその14日後、
国からお金が給付された。なるほど、こいつはよく出来たシステムだ。
05/05/22 0点
人を欺いてはならない。人を欺く者は、その理由如何に問わず、60進む。 これが世に悪法として名を轟かす六十進法の中でも最も有名な条文であります。 六十進法はその刑罰の全てが「60進む」であり、 仮にこれが人生ゲームをしている最中であれば大変な事 (就職マスにも結婚マスにも止まれないままゴールまで辿り着いてしまう。 「まるで現実のお前みたいだな」僕は唇を噛んで俯くより他になく) になってしまうのは想像に難くない訳ですが、残念な事に、 多くの犯罪は往々にしてスゴロク的な遊戯を楽しんでいる最中に犯されるものではありませんので、 犯罪者が刑罰をうけた(60歩前進した)後、 とって返して市民を無差別に惨殺する光景が街角の風景となっておりました。 この事態を重く見た、時の皇帝サルゴン1世は「60進むの単位は歩ではなく年であり、 すなわちこれは死刑の事である」という認識を示し、その直後、孤独死した。 このコンクリートジャングルで。 彼の亡骸が発見されたのは死後から既に数ヶ月が経った後の事であり、 都市国家の抱える問題であるとして当時のニュースを大いに賑わせました。 また、彼が死の二週間前に発明したとされる楔形文字(くさびがたもじ)は、 当初、全ての文字が同じに見えるという問題点が指摘されていましたが、 その後よくよく数えてみたら文字総数が7個しかないという新たな問題点が発覚し、 そのあからさまなまでの作ってる途中で飽きた感が人々の支持を集めました。 人心の掌握に成功した楔形文字は、日の昇る勢いでティグリス=ユーフラテス流域一帯を支配下に治め、 文字と人という次元の垣根を越え二代皇帝として君臨する傍ら、 稲作にも精を出し、国家の繁栄を支えた。 これがメソポタミア文明である。あと、太陰暦って何か響きがエロいと思う。
問 以下の語句を用いてメソポタミア文明を説明せよ。(25点)
六十進法 サルゴン1世 都市国家 楔形文字 ティグリス=ユーフラテス 太陰暦
05/05/24
再び、健全な精神と屈強な身体を手に入れるべく、 心頭を滅却して人を銃で撃ち殺したり手榴弾で爆殺したりするデジタル遊戯で己の荒んだ心を癒していたら、 またしても胸に激痛が走りました。その痛みは心臓を鷲掴みにされたようであり、心臓を鷲掴みにするものと言えば 悪魔それ以外に考えられず、これは悪魔が僕の心臓を鷲掴みにしているに相違ありません。 僕の心臓をニギニギする事によって、交通事故で落ちた握力の回復に努めているに相違ありません。 来年の夏あたり、甲子園に悪魔が降臨する予感が致します。4番、ピッチャー、ビヒモス。 ビヒモス大きく振りかぶって、第一球、どーん! そして日本は壊滅した。
さて、幸運な事に、ビヒモスは悪魔ではございませんので、辛くも日本の壊滅は免れた訳ですが、 しかしながら、僕は今まさに壊滅せんとしております。胸が苦しい。 もしこれが恋じゃなかったら僕はこのまま死にかねません。 そして、前回だか前々回だかの日記を参照するに、 これを恋であると主張する事によって生活保護を受ける権利を得る事は出来るのですが、 その際受診する色々な検査を通じて、これが恋ではない事が判明致しました。 カウンセラーは何でもお見通しでした。では何か。恋でなければ、この痛みは、おや、心臓病?
という訳で、病院へ行きました。会社休んで病院へ行きました。自分、マジで病院行きました。 死にたくない一心で、一睡もせずに、病院行きました。先生、心臓が痛いです… 心の中で、心臓をバスケ、痛いをしたいと変換する事で、 すっかりスラムダンク気分を味わいながら待つ事2年、こんなに大きくなりました。 そして2年後、先生から返って来た病名は「自律神経失調症です」。僕の痛みは「気のせい」の一言で片付けられ、 なるほど、お陰様で言われて見ればもう全然痛くありませんでした。さようなら。
豆知識を申し上げます。本当に心臓がどうにかなると、胸がズキズキするのではなくて、
背中が爆発するそうです。先生がそのように言っておられました。お大事に。
05/05/28 あーあ
先日、7年ぶりに外出しようと思い立ち、7年ぶりにパンツをはき、ネクタイを締め、 小麦粉をつけ、溶き玉子を絡め、パン粉をまぶして、180℃の油でからっと揚げたらコロッケが出来ました。 なるほど、今冷静に考えてみれば、 コロッケの作り方と外出の仕方を間違えるというケアレスミスを犯してしまっていたようですが、 その時はまさか自分がコロッケを作っていようなどとは夢にも思わず、 家にあるすべての物がコロッケとなったのです。 その後、他にコロッケにするものはないか、コロッケにするものはいねがーと玄関を開けた丁度その時、 雨が降り始めました。そして本日、この良き日、今度は15年ぶりに外出しようと、 コロッケを20個ばかり作ったところで玄関を開け、外へ出たその時、またしても雨が降り始めたのです。
僕が外出しようとすると、その出鼻を挫く様に雨が降る。それが、一度ばかりか二度までも。
そして二度ある事は三度あり、三度あったら後はもう4も5も6億も似たようなもんなので、
これはもう誰がどの角度から分析しても、僕が外出した事によって雨が降ったと結論づける他なく、
詰まるところ、僕は外気にその身体を曝す事によって雨を呼ぶ事が出来るのです。
これはアフリカだったら神として崇められて然るべき偉業に相違なく、
事実各地には僕を模った偶像が点在し、それを見たものは一人残らず嘔吐し、
内2割が決して回復する事のない精神的外傷を負った事から、神から一転邪神呼ばわり、
子供からは石を投げられるわ、大人からは槍で刺されるわ、ハエからは異様に懐かれるわで、
ちょっとばかり偶像をリアルに作り過ぎたばっかりにまさかこんな事になろうとは…と、
目を見張る速度で沈んでいき、素もぐり世界記録を叩きだした僕でしたが、
内臓が水圧に耐えられずに押し潰されて口から出てきたので、
鼻を摘まんで飲み込むタイプの最新医療で事なきを得ました。
しかし、後日、僕が沈んでいったのはディープブルーではなく、
後悔という名の海であった事が明らかとなり、世界記録が取り消されたばかりか、
再び後悔への沈降が開始されたのです。このままでは、僕は後悔に飲み込まれ、
最終的にはがっかりしてしまいます。何という事でしょう。
がっかりなんてしてしまったら、がっかり、まあ、がっかりぐらいなら、してもいいかな?