05/07/04
空梅雨だか何だか存じ上げませんが、そんな事には一切お構いなく、普通に呼吸してるだけで生命維持に最低限必要な水分量ぐらいは摂取できるんじゃないかと錯覚を起こしかねないレベルで、僕の部屋の中で湿気が大変な事になっております。座布団に座るとお尻が見る見るうちに濡れて行きます。今まさに、僕のお尻はぐっしょりと湿っておるのです。
確かに、潤いのある生活を送りたいと望んだ時期もありました。しかしながら、僕は決して肌が乾燥すると死に至るタイプの妖怪ではありませんので、望むべく潤いが水分的な意味合いである筈がなく、よしんば僕がくだんの妖怪であったとしても、斯様にお尻だけが湿ったところで一体誰が喜ぶと言うのでしょうか。お尻がどんなに湿ろうと、体表の70%が乾燥した時点で僕は絶命してしまう訳で、詰まり、神は僕のお尻だけを救い賜うたのです。この文言だけを参照するに、神はホモセクシャルで死姦趣味があるとしか考えられませんが、数ある神話を鑑みれば、実際に左様なラディカルな趣味を持っていたとしても何ら不思議はなく、神の異常性癖、その疑いは一向に晴れません。梅雨だけに。
さて、理由はよく分かりませんが、今僕に天罰が下り、死に掛けました。恐らくは神を冒涜したとかそういった理由ではないかと推理申し上げる次第ですが、何? ダジャレ? 誰それ。フランス人? まあ、そんなフラ公はどうでも宜しい訳で、今問題とすべきは湿気であります。空梅雨だかで雨が少ないにもかかわらずこの惨状でして、今後暫く雨でも振り続こうものなら、我が家における水分含有量は増加の一途を辿り、その湿度は実に1500%を数え、この世界における物質量は常に一定に保たれるため、地球の裏側ブラジルにおいて大かんばつが発生し、食糧不足によりロナウドの体重が減少、全盛期の切れを取り戻したロナウドが遠くスペインでゴールを量産する一方、兎に角この世界における物質量は常に一定に保たれるため、柳沢のシュートが宇宙を目指して飛び立ちました。イエス。日本は宇宙開発において飛躍的な進歩を遂げる代わりに、深刻な決定力不足に陥ってしまうのです。
僕の部屋の湿度が高いばっかりに、まさか日本がグループリーグで敗退してしまおうとは、この現実は到底受け入れられるものではなく、俺の所為じゃない、こんな筈じゃない、何かの間違いだ。閃きました。これは何かの間違いなのです。これが現実であろう筈がありません。道理で、おかしいと思ってた。日本の決定力も、部屋の湿度も、友達がいないのも、足の裏のほくろも、この顔も、この運動能力も、幾らなんでも多重苦にも程がある。本当の僕は別のところにいて、本当の現実が別のところにあって、本当の世界は、ここではないのです。
そして、僕は真実を見つける旅に出ました。まあ旅と言っても、僕の世界は全てこの部屋の中で完結しておりまして、小一時間もあれば一周できて、お釣りで2、3日ぐらいは生活できますので、真実への扉を発見するのも時間の問題であります。竜王の座る玉座の裏を調べると地下へと降りる階段が見つかった。この故事に照らし合わせれば、僕の探す真実の扉も、恐らく何かの裏を調べる事で見つかるに相違ありません。ここか!
喜び勇んで勢いよく敷布団を捲ると、思った通り、新しい世界がそこにはあったのです。そこには憎しみも争いもなく、赤、青、緑、色とりどりの何かで覆われ、沢山の生物が静かに暮らす場所、簡単に言うとすっごいカビてた。一度しか言わないからよく聞いてくれ。今のが、オチです。さようなら。
05/07/11 前編
ピコン。まずは衆人の目に耐えなければならない! 思い立ち、それが社会復帰への第一歩であると信じて、電車に乗って無駄にグルグル回るという、日本国のGNPに殆ど貢献しない形での生産活動に摂取したカロリーのほぼ全てを費やしていた訳ですが、そこに至るまでの長い時間を、薄暗い部屋の中で新しいオリジナルの必殺技を考えたり、呪とか殺とかいった類の文字を大学ノート一杯に延々書き綴るタイプの社会福祉に費やして来たこの身には些か刺激が強すぎたようで、破水しました。赤ちゃんが、私の赤ちゃんが…。しかしながら、窓に映った我が身を見るに、この生物はどの角度から判断しても妊婦ではなく、命を賭して申し上げれば、むしろ人夫、この度はご愁傷様でした。
さて、故人は生前妊婦ではなかった訳で、そんな故人をしのべば、これが破水である筈がなく、お陰様で赤ちゃんは無事でした。その赤ん坊がお前だよ。突然告げられた驚愕の事実に慌てふためき右往左往するその様子から漂う懐かしさ、これはまさしくアルカノイド。跳ね返り来るボールを打ち返してはブロックを崩す事に心血を注ぎ、そして全ての壁が取り払われた時、僕はあの人を心からお母さんと呼べるのかもしれません。お母さん!
精神に甚大な被害を被り、もう少しで目の前に立っていた見知らぬ女性をお母さんと呼んでしまいそうになってしまった僕でして、このままでは将来の扶養家族が指数関数的に増加しかねません。とてもじゃないが養い切れない。僕は泣く泣く背負って山へと向かう訳ですが、それを全部捨ててしまおうものなら山の生態系が破綻をきたすのは確実、あの赤兜でさえ綺麗に畳まれてタンスに詰め込まれてしまうのです。僕は動物達を守るため、静かに目を閉じ、外界を遮断する事で自己の確立に努め、こうして辛くも山の平和は保たれたのでした。
05/07/21 後編
これまでのあらすじ。電車に乗って目を閉じた。
今になって思えば、お母さんのくだりとかまったくもって必要がなく、むしろ邪魔以外の何物でもなかった訳でして、お母さんさえ出て来なければ、電車に乗って目を閉じたこと、それだけを伝えるために7時間もの時を要した筈がなく、これは即ち、お母さんによって僕の寿命が7時間分奪われた事と同義であります。これは7時間分の殺人なのです。母による子殺し。お母さんは僕のことがきらいなの? 僕は産まれてきてはいけない子だったの? まさか僕がこれ程までに母から憎まれていようとは、そう思って自らを顧みれば、心当たりが多すぎて、ごめんなさい。もう二度と掃除機を掃除以外の用途では使用しませんから…
そんな懺悔の念を目の前に立つ見知らぬ女性に向かって送り続け、その気持ちが高じるあまり、危うく新型のトランスフォーマーとして人型から土下座形態へと華麗なるトランスフォームを遂げ、コンボイの謎に挑んだはいいものの、肉眼では捕捉できない弾丸に打ち抜かれて宇宙の藻屑と消えそうになっていたその時、白昼夢を切り裂き、ワタシブログハジメタンデスヨー。何たる奇怪な鳴き声であろうか。ついの今まで2人目のお母さんだと思っていたこの生物は、本来南米辺りに生息する珍しい動物の一種だったのです。
確かに、左様な生物は市販されている図鑑にはおろか、全知にして万能のウェブ百科事典たるウィ? ペディ? ウィアペドフィリア? 我々は幼児性愛者です? 随分と後ろを振り返らない名称ではありますが、その自分に正直な所嫌いじゃなかったぜ、にも記載されてはおりません。しかしだからと言って、左様な生物が存在しないと結論付けるのは時期尚早であります。アマゾンを舐めるな。アマゾンに人知が及ぶと考えるのは人類の傲慢以外の何物でもありません。その存在が古くから示唆されているにもかかわらず、未だ黄金郷エル・ドラードでさえ発見されていないと言うのに、どうしてこの生物だけが存在しないと言い切れるのか。アマゾンには全てがあっておかしくない、魔物だって棲んでいて然るべき。
しかしながら、ここはアマゾンではなく、日本の、関東の、TOKIOの、電車の中である。アマゾンには生息するかもしれないその生物は、果たして東京にも生息し得るのかえ。そのしたり顔に砂糖をまぶして庭の隅の方に放置したい。いいか、よく聞け。アマゾンには魔物が棲んでおります。そして、甲子園と府中の坂にも、同じように魔物が棲んでいるのです。気候区分こそ違え、アマゾンと兵庫、東京は同じ生態系を生きているのです。
遂にアマゾンと東京が繋がりました。今、目の前に立つこの主婦然とした生物は、霊長目ブロガー科メガネブロガーに相違なく、僕は遂に新種の動物を発見したのです。したのですが、私、残念ながらこちらの件に関して一切興味がございませんでしたので、眠るように息を引き取りました。さようなら。