消された書評

 ほぼ正しいことしか書いていないのに、投稿後しばらくして消されてしまったamazon.co.jpでのさわ としおさんの書評を転載します。さわさんは後出しで悪いですが、転載の許可を下さい。(一部改行など変更しました。)

ビジネス本であって、アニメーション史ではない

 本書は『ディズニー千年王国の始まり』で世界的な大企業ディズニーの成功の秘密を書いた著者が、創業者ウォルト・ディズニーの半生をおったもので、ビジネスの成功者の苦労やエンターテインメント産業の草創期のおおまかな流れが知りたい人向けの本です。
 でも、この副題見たらアニメーション史の本と思いませんか? わたしもそそっかしいのでそう思って買ったのですが、アニメーション史に興味ある人が読む本ではありませんでした。
 なぜなら、
    1)作品タイトル、人名表記がいいかげんである上、事実誤認が多すぎるために、資料本としては使えない。
    2)作品内容の価値ではなく、あくまで産業の転換として大事かという視点で作品を取り上げている(たとえばディズニーの新生面を見せた短篇「プカドン交響楽」を映画館での短篇公演の最後としか記述していない)。
 具体的な間違いを挙げます(ほんの一例です)。マッケイの有名な漫画『リトル・ニモ』がもともとミュージカルだったとしている。先駆的な作品『恐竜ガーティ』をディズニーが見ていないとしている(本当は見ている)。ディズニーのアニメーションの教科書であるルッツの本(復刻版が今でも手に入る)にセルの手法が書いていないとあるが、きちんと説明している。カール・スターリングが『蒸気船ウィリー』の音楽をつけたとしている(実際はその次の作品から)等々。
 アニメーションの好きな人は先に以下の本を読んだ方がいいでしょう。日本語の基本図書(資料としては古くなりましたが)『世界のアニメーション史』、アメリカのアニメーション通史『The History of Animation』『Of Mice and Magic』、ミッキー以前については(論文の集成)『Before Mickey』、初期ディズニーについては『Walt in Wonderland』をお奨めします。


Author: Fko-san