◆スクリーン・インタビュー
映画をスクリーンで観る際に、身近な存在なのは映画館や各映画祭です。しかし、そのスクリーンで映画を上映していらっしゃる方々のお話を聞く機会はなかなかありません。このホームページではそんな情報を映画ファンに提供していこうと考えております。記念すべき第1回は3/27-4/11に第13回映画祭が開催される高崎映画祭の事務局長の茂木正男さんにお話をお聞きました。
地方での映画環境は悪化する一途です。シネマコンプレックスが各地にできてきましたが、いわゆる”単館系”の作品はほとんど上映されません。そんな中、地方でなかなかスクリーンで観ることができない作品を数多く上映する高崎映画祭は、群馬県在住の映画ファンにとって、ほんとうにありがたいものですし、その映画祭を運営していらっしゃる茂木さんは、群馬県の映画ファンにとって”神様”のような存在です。
今回、3/27から始まる映画祭の準備で忙しい中、今年の見所などをお聞きいたしました(聞き手:犬尾
千聰)。
(以下、敬称略)
犬尾:
いつも高崎映画祭の運営ありがとうございます。通常なら「ごくろうさまです」という言葉がまず先に来るのでしょうが、ここでは群馬の映画ファンを代表してお礼を述べさせていただきます。
まず、どのようなきっかけで映画祭を始められたのか教えていただけますか?
茂木:
約20年前に、自主上映のサークルを仲間とやっていました。数カ月ごとに数本の映画の上映をしこしこと続けていました。ミニシアタープームのはしりのころで、僕たちも上京しないと観ることができない作品の多さにあきれ、いらつき「映画まで中央集権主義は、許せない」などとかなり青臭い情熱をビールを飲みながら語り合い、えーい「思い切って数十本の映画もってきて映画祭やりましょ」とスタートしました。
犬尾:
そこで映画祭をやってしまう”映画愛”というのに驚嘆させられます。その恩恵を受けているのがわれわれなんですが。
現在、どれくらいの方が来場しているのでしょうか?
茂木:
昨年で、約2万人のお客様に来場していただきました。
犬尾:
2万人というとかなりの数ですよね。それだけの映画ファンが楽しみにしている映画祭ということになります。
主に群馬県の方が中心なのですか?
茂木:
約8割が群馬県、約2割が都内はじめ周辺の他県のお客様です。
犬尾:
この映画祭は、日本の若手監督の短編を上映したり、魅力的なスケジュールが毎年企画されています。確かに、遠方からも来たくなるようなスケジュールですね。
犬尾:
料金を教えていただけますか?
茂木:
前売り券が2作品有効で1,600円
全日フリー券が8,000円(65作品が観られます。)
犬尾:
毎年思うのですが、これは本当に安いですよね。特に全日フリー券は1本当たり123円です。すごい値段ですよね。前売りが1本当たり800円ですから、10本観れば元が取れてしまうすごいチケットです。洋画フォーラムではこのフリーチケットに広告を出稿しております。ぜひみなさんもお買い求めいただければと思います。さらに、今年は上映スケジュールを調節して、上映される作品すべてを観ることが可能になっているのが特徴です。こういう映画ファンへの気配りも、この映画祭ならではだと思います。
犬尾:
今年の目玉企画は何でしょうか?
茂木:
特集1の「近未来体験!」とスペシャル企画の「夜想鉱物展」
そして、「若手監督の現在5」も充実したプログラムです。
犬尾:
「近未来体験!」は以前都内に名画座が数多くあった頃にこういう特集はよく組まれていましたが、今ではほとんど見られなくなりました。とても楽しみです。
「夜想鉱物展」は高崎映画祭の映画以外の企画です。映画以外にも意欲的な試みがあるのが最近の映画祭の特徴にもなっていますね。今回は人間に癒しをもたらす美貌のオブジェ“鉱物”を取り上げ、その驚異の美の様々なイメージを集めたもののようです。ちょっとイメージがわきにくいのですが、その分、鮮烈な体験を期待できそうです。楽しみにしています。
「若手監督」特集は毎年注目です。日本映画の明日をになう監督たちの作品は東京でもなかなか上映されません。そういう作品を惜し気もなくどんどん上映するこの映画祭の心意気にはほんとうに頭が下がります。さらに、実際に映画の若手監督が映画祭にいらっしゃって、ロビーで話をすることができる形式も他ではないものです。
今年は現在東京で上映中の『avec mon mari』が早速上映されます。この映画はほんとうに素晴らしい作品ですので、みなさんにもぜひ観ていただきたいです。
犬尾:
毎年上映作品のセレクトには感心させられるのですが、どうやって作品を選んでいるのですか?
茂木
年間をかけて、ひたすら観ることです。
そして、その中から作品選定委員会が、選出します。
犬尾:
そうやってあれだけの個性的な作品が集められるのですね。意外な映画との出会いができるのがこの映画祭のいいところです。フリーチケットを購入してあれば、”予備知識画なんにもない状態で”素晴らしい作品に出会えたりします。私にとっては一昨年ですと、エドワード・ヤンの『恋愛時代』『カップルズ』がそうでしたし、去年ですと『フランキー・スタアーライト』がそうでした。こういう”うれしい不意打ち”もこの映画の楽しみであります。そして、それを演出してくださるのが作品選定委員会なんですね。
犬尾:
茂木さんが去年気に行った映画を何本が挙げていただけますか?
茂木:
『秘密と嘘』『バウンド』『日陰のふたり』『2/デュオ』などです。
犬尾:
ここに『2/デュオ』が入ってくるのがすごいですよね。確か『2/デュオ』は去年、こちらの映画祭で上映されましたし、若手監督グランプリ受賞作でした。東京で単館レイトショーのみのこの映画をちゃんと評価してしまう映画祭の度量の大きさには感服させられます。
一部の方には授賞パーティーも楽しみだと思います。じっさいに映画人といろいろと話ができる機会です。私も以前、授賞パーティーで奥田瑛二さんから映画に対する熱い思いをじっくり語っていただいて感激したことがございます。
それでは、今年の高崎映画祭楽しみにしております。どうも茂木さんありがとうございました。