「偉大な喜びと映画の未知への大きな信頼を与えてくれた一本の映画」これは、「セックスと嘘とビデオテープ」がカンヌでグランプリを取ったときに、審査員長のヴィム・ヴェンダースがその映画に送った言葉である。実際、この映画は、セックスだろうが、嘘だろうが、ビデオテープだろうがそんなことにはお構いなく、一つの作品として、そして、表現として素晴らしいものだった。
しかし、ヴェンダース自身がその映画のすぐ後で、<映画の未知への大きな信頼を与えてくれる映画>を完成させていたのだ。映画が「映画的」と言われるように昔の映画に対する回帰の姿勢が重視されてきた風潮から見事なまでに飛躍し、彼独自の表現を確立しているような気がする。ビデオという手段を映画に取り入れるだけでなく、それを使いこなしているからだ。
この映画がヴェンダースの新境地なだけでなく、映画というジャンルの新境地であるような気がする。