'93年にフジテレビのドラマ「ifもしも」の1本として放映され、TVドラマにも関わらず、また劇場用作品でデビューする前にも関わらず、岩井俊二が日本映画監督協会新人賞を受賞した中篇。
「優れた芸術家は優れたテクニシャンである」
とよく言われる。ぼくも確かにその通りだと思う。
しかし、優れたテクニシャンが優れた芸術家になれるとは限らない。むしろ、そうではない方が多いだろう。これはTVドラマで評判になったものらしいが、確かにTVでこのようなことをやれば目立つだろう。でも、テクニックがある人はどうも無邪気にその武器を振り回しすぎることがある。ハル・ハートリーなどもそうだ。そして、その危険な側面が映画の中でぷんぷん匂うのだ。不必要なテクニックによる演出は、不必要な味付けをされた料理と同じ様に素材の魅力を失わせる。奥菜恵ちゃん以外に役者が魅力的でないというと仕方がないのだが、周りがちょっと弱い。だから余計、テクニックが鼻についてしまう。
プールのシーンはよかったが、これだって人が、つまり役者が生き生きとしている『バタアシ金魚』のプールのシーンには遠く及ばない。
まあこの映画はこの監督が注目されるきっかけになった作品。だから彼の打ち上げ花火だと思えば、このテクニック先行も納得できる。注目されたんだから、よかったよね。