『アポロ13』は悪くはなかった。でも、やっぱりこのロン・ハワード監督って人間を描くのは得意なんだけど、臨場感を盛り上げるようなことって苦手なんですよね。例えば、『コクーン』の素晴らしさに対して、あの『バックドラフト』の大味さ。『遥かなる大地』のワイドシーンの凡庸さとトム・クルーズとニコール・キッドマンの掛け合いの素晴らしさなど、彼は状況によってすごく波がある。どんな題材を撮ってもそこそこ仕上げてくるような監督ではないから、彼の新作に臨むときには、期待と同時に不安があります。
この『身代金』は誘拐というテーマから、誘拐の手口や身代金の受渡などをイメージしてしまってロン・ハワードにとってあまり得意なジャンルには思えませんでした。観る前にはどんな仕上がりになっているのだろうと不安の方が先行していました。
でも、実際観てみると、心理状態がウエートを占めている作品で、特に身代金を懸賞金に変えて時の、感情の変化の描き方はなかなか見応えがありました。
やっぱり、誘拐の手口や身代金の受渡というのは実にあっさりと行われている。誘拐するところなどはいつの間にか誘拐されてしまっているのだから。彼は、そういう部分には関心がないのだろうけど、それはそれでいい。映画では、自分の持ち味を発揮することが大切なのだから。
とにかく、昔の彼に比べるとちょっとという感じもするが、楽しめる娯楽映画です。