『WILD LIFE』

意外なものが大満足だった時、”最高”って感じる。
この映画はその1本。

★★★★
1997/04/08 シネマ・カリテ 21:20 混雑度:50%


 映画を観おわった時、どんなときが”最高”かと考えると、話題作が楽しかった時でも、もちろん、映画がつまらなかった時にでもない。それは、都内でも、キネカ大森3や新宿東映パラス3などのサイズの映画館で単館でやっているような映画が、つまり、公開規模がマイナーなものが、とても楽しいものだったときの気分がぼくにとっての”最高”っていうでしょうか。

 大混雑の中、ちょっとしか楽しめなかった『シャイン』のような映画の食い足りなさに比べると、この気分は本当に劇場で観る醍醐味ですね。映画が終わって、満足して席から立ち上がる時、同じ様に満足している(少なくとも自分にはそう見えてしまう(笑)、他の観客が一種の共犯者のように思えてしまうほど。すてきな映画を密かに支持する共犯者という感じでしょうか。最近では、アラン・モイルの『エンパイア・レコード』がそうでした。映画が終わって場内が明るくなった時、みんなの「うわーっぁ」という雰囲気、これはたまらない。きっと、富岡忠文の『湾岸バット・ボーイ・ブルー』の公開時も、こんな感じだったのだろうな。残念ながら、ぼくはその場面に立ち会えなかったのだけど。

 そして、この『ワイルド・ライフ』。『helpless』『チンピラ』の青山真治監督で、上映はシネマ・カリテでレイトショーのみ。これで、”最高”な気分のための舞台は完璧。心配なことと言えば、『チンピラ』の後半が今一つだったこと。でも、この映画監督はテクニックを自分のためではなく、役者を輝かせるために使う。それは、信頼できる。だから、ひどいできにはならないだろう。

 映画が始まってみると、今までとはちょっと違って、コミカルな面もあって、ロマンもある。そして、やっぱり役者がいい。これは魅力ですね。豊原功補、ミッキー・カーチス、矢島健一、夏生ゆうな。それぞれの、魅力がよく出ていた。

 特によかったのは、飲んでいる矢島健一を豊原がたずねるシーン。このシーンは、とにかくおかしくて、社長が誘拐されているという切迫した状況にも関らず、妙な幸福感を漂わせていた。いいシーンです。

 時間が交互して、ちょっと構成が複雑なんだけど、うまくわかるようにはなっている。『パルプ・フィクション』のようにわかりやすくはないけど、悪くはない。これをもう少しわかりやすくなれば、いいし、所々に挿入されるテロップは不要だったのでは。

 終わって場内が明るくなってみると、周りの観客の目がキラキラして見えた(笑)。恐らく、きっとみんなも満足しているよね。やっぱ”最高”だった。