オフビートなやくざ映画。
奇妙なテンポが笑いを誘い、楽しませる。

★★★
1997/04/18 シネマ・カリテ 21:20 混雑度:80%


 地方在住のぼくにとって、上京して観る映画は貴重なものです。しかし、観ることができるその少ない本数をまたこの映画のために使ってしまいました。ほんとうに、吸引力がある映画なんですね。

 まず、うれしかったのが、前回よりも劇場が混んでいたこと。金曜日の夜ということも『WILD LIFE』あるけど、自分がひいきする映画に集まってくれるのを見るのはいいものですね。

 で、もう1度観てみると、実に失敗の多い映画ということが改めてわかる。いろいろと伏線があるのだけど、伏線が生きるはずのシーンが出てくる頃には、そんなことがあったのを覚えていない。少なくとも、ぼくはそうだった。オープニングに水口の手紙が画面に出ているのを、最後までおぼえているのはいったい何人いるのだろう。

 また、樋口刑事が飲んでいる場面でも、手錠がビールビンにかけているのがよくわからない。最初見た時も、わからなかったけど、今度もやっぱり画面から判別できない。でも、そんな失敗があってもこのシーンは笑える。

樋口刑事: 「今日、昼間、ルノワールでコーヒーを飲んだ」 「ガーシュインがかかった。」 「涙が出た」.... こんなシンプルなセリフにも彼の気持ちが息づいていた。ほんとうにいいシーンでした。

 あと、もう1回観て思い出したシーン。机の上に仁王立ちしている夏生ゆうなのりりしいこと。そして、その机の足を力一杯蹴飛ばす矢島健一。この蹴り方を観て「まじだよ」って思わずつぶやいてしまったほど、映画が力を持っている。この、観客を乗り出させる力が、失敗に目をつぶらせ、この映画のひいきしてしまう理由なんでしょう。