『エドワード・ヤンの恋愛時代』

とにかく、すてきな映画です。しかも、”傑作”です。同じ対象に対して
使われることはあまりないこの言葉が同居してしまう奇跡のような映画。

★★★★
1997/05/02 飯田橋ギンレイホール17:25 混雑度:60%


 とにかく、すてきな映画です。しかも、”傑作”です。この2つの言葉は同じ対象に対して使われてることはあまりないのですが、それが同居してしまう奇跡のような映画です。

『エドワード・ヤンの恋愛時代』 都会での恋愛模様をポップに描きながら、人生全体の意味すら語りつくすという深さもあるという、こういうものが、おそらく100年経っても、その時代の人たちをも楽しませることができる映画なのだろう。そして、いい意味での”古典”と呼ばれるのでしょう。映画が始まって100年経ったのですが、その次の100年間を代表する映画作家に選ばれるような存在感、それをエドワード・ヤン持ちえている、そんな気さえしました。奇跡を起こせる人はそうはいないのだから。

 とにかく、すてきなシーンの連続で、特にポスターにも使われているプールサイドでの『エドワード・ヤンの恋愛時代』シーンは最高。チチが口にタバコを加えた瞬間、まさに時間が止まって感じられました。こんな幸福感は、滅多に味わえるものではないです。「このまま時間をすごすことができたら」と思える映画は、50本観て1本あるかないかだろう。その1本がこの映画。こんな出会いがあるから、映画って止められませんね。

 優れた映画作家は、画面の外を描くことができる。見えないものを描き出す、それができるかできないかで、その人の才能を判定することができる。コメディシーンのような場面でも、軽々とそういうものすごいものを見せてくれる。軽さと重さの両方を自在に操れる監督の術中にはまる快感を満喫できました。