こういう伝記映画ができると、主人公の行動から社会的なメッセージを強く読み取ろうという風潮がある。”弱者=黒人”という構図ってやつに。そういう社会的な背景はもちろん存在している。それは事実だ。しかし、映画をその側面で片付けようとするのは間違っている。そんなもんじゃないんだよ。この映画はそう言っているじゃないかなぁ。
アリというボクサー個人の個性から映画はなりたっている。この個性は、そんな社会背景などよりはるかに大きな存在だ。それに、社会映画にありがちな白人対黒人という構造ではなく、あくまで黒人(フォアマン)との対決である。その中で彼がどのように苦境を泳ぎきったか、という記録映画となっている。いや、そもそも相手なんてだれでもいいのではないか。相手がフォアマンでも白人のスピンクスでもアントニオ猪木でさえも。アリとアリ以外の対決ならね。アリをうまく描くことができるような題材を生み出せればね。
その個人の魅力が、題材の魅力が社会状況などを凌駕したときこ、のように優れた伝記映画が出来上がる。しかも、同時にその周囲の状況も十二分に伝えきってしまえる。これぞ神業なんでしょう。素晴らしい作品です。
「アリ・ボンバイエ」「アリ・ボンバイエ」「アリ・ボンバイエ」