どういう経緯があったのかはわからないが、地元(群馬県前橋)でフランスの若手作家のデビュー前の短編映画を集めた上映会があった。でも予想どおりがらがら。客はほとんど入っていなかったが、その上映された9本はどれもそれなりの出来で期待していなかっただけに、ちょっとびっくりした。
しかし、そのうちの1本『岸辺 RIVER』だけはその中でも突出したものだった。これは現在上映されている最良の映画たちに匹敵するレベル。
車の中で寝ている男が起きるシーンで映画が始まる。男は二人の男を待っている。そこは公園。そこに少女が一人いる。という何も説明のない中で徐々に話がわかってくる。その待っている相手と少女は何か関係がありそうだが、それを知ろうとする男と、マイペースを崩さない少女、その二人だけの微妙な関係が観客の気持ちをつかんで放さない。
さらに、ちょっとしたアイテム、ブランコ、ピアノの1音などが観客を刺激しつづける。20分ちょっとの短編だったが中身は、180分の映画で得られるもの以上という密度の濃さ。
この監督はエリック・ゾンカ。帰宅してから、調べるとデビュー作がカンヌでいきなり主演女優賞を取っている。
その新作がこの春に公開される。『天使の見た夢』というタイトルだ。気になって服部弘一郎氏の映画瓦版をチェックすると「僕はこの映画に百点満点をあげてもいい。ただし、この映画を観て自分のことのように感動できたかというと、それは残念ながらなかった。映画の完成度と感動は、別次元の問題ですからね。」と書いてある。さて、自分自身で映画を体験するのが楽しみだ。そしてこの期待する気持ちがどうなるのか、実に楽しみである。