アキ・カウリスマキの新作。「20世紀最後のサイレント・フィルム」ということだが、正確にはサイレントではない。歌を歌うシーンなどはそのままだし、効果音もそのまま使われていたりする。つまり、この映画においては「サイレントっぽい表現手法」で映画が描かれているのだ。
いたってシンプルな話だが、この”サイレント手法”がそれをうまくふくらませている。普通サイレントだと表現が狭められてしまうのだが、この映画はサイレントによって表現を広げている。”サイレント手法”によって、より役者の表情や視線などに目が向くようになる。これが、”サイレント手法”を使ったカウリスマキの狙いであり、それはうまくいっていると思う。
ただ、僕が好きな『コントラクト・キラー』『ラヴィ・ド・ボエーム』などにくらべると愛着が生まれないのは、キャラクターが弱いからでしょうね。でも、この作品はこれでいい思う。